「矯正するなら親知らずは抜いたほうがいいの?」
親知らずと聞くと「歯みがきしにくい」「むし歯になりやすい」などを改善するために抜歯することが多い歯です。では矯正治療を行う場合、親知らずは抜歯したほうが良いのでしょうか。
そこで当記事では、歯列矯正の際に必ず抜歯をすべきなのかについてご説明します。また、親知らずが歯並びに与えてしまう症状やリスクも詳しくご紹介します。
- 1.親知らずとは
- 1-1.親知らずの特徴
- 1-2.親知らずによる3つのリスク
- 1-2-1.虫歯や歯周病のリスクが上がる
- 1-2-2.歯肉炎の原因になる
- 1-2-3.歯列の乱れにつながる
- 2.歯列矯正時に親知らずを抜歯する3つのケース
- 2-1.歯を動かすスペースを確保する場合
- 2-2.親知らずが歯並びに悪影響を与えている場合
- 2-3.後戻りの原因になる可能性がある場合
- 3.歯列矯正時に親知らずを抜歯する際の注意点
- 3-1.歯列矯正目的の場合は保険適用外となる
- 3-2.虫歯などがあれば保険が適用できることも
- 3-3.矯正歯科医院で抜歯できないケースがある
- 4.歯列矯正で親知らずの抜歯は必須?
1.親知らずとは
親知らずとは、一般的には「乳歯がないのにいきなり生えてくる奥歯」と認識されています。正式には第三大臼歯という名前で、智歯(ちし)とも呼ばれる歯です。人によってはデメリットになることがある歯で、正しいケアや処置を行う必要があります。
1-1.親知らずの特徴
親知らずは、歯列のいちばん後ろの位置にある永久歯です。
親知らずが生えるタイミングは、15歳ごろから20代前半が一般的です。すべて生えると上下左右で4本になりますが、生えてくる本数には個人差があります。また、歯根が曲がっている場合には、斜めに生えたり途中で止まったりすることもある歯です。
1-2.親知らずによる3つのリスク
親知らずを放置すると、様々なリスクがあります。そして、長期的に放置した場合、虫歯などが手前の奥歯(第二大臼歯)まで影響してしまうこともあるのです。そのため、親知らずのせいでリスクがあると判断した場合、一般的には抜歯による処置を行います
1-2-1.虫歯や歯周病のリスクが上がる
親知らずは、意識しても非常に歯ブラシが届きにくい歯です。そのため、虫歯や歯周病などの病気にかかりやすいというリスクがあります。また、親知らずが虫歯になった場合、接触する手前の歯まで虫歯になるリスクを伴うため注意が必要です。
1-2-2.歯肉炎の原因になる
親知らずがある人の中には、歯肉炎の痛みを発症する傾向が見られます。
特に一部分だけ生えているような方は、大半が歯肉で覆われて歯と歯肉の間に隙間ができてしまいます。その隙間で細菌やプラークが繁殖すると、親知らず付近の歯茎に炎症が起きてしまうのです。これは、親知らず特有の痛みである歯肉炎で、智歯周囲炎と呼ばれています。
1-2-3.歯列の乱れにつながる
親知らずは曲がって生えるなど正しく生えない場合、歯列の乱れに影響することがあります。
歯が並ぶスペースが狭い場合、親知らずが手前の歯を徐々に押し出してしまいます。その結果、他の歯がはみ出したり前歯にまで影響したりする可能性があるのです。これは、親知らずが正しく生えていても曲がって生えていても、手前の歯に影響を与える可能性があります。
また、4本ではなく一部の親知らずだけが生えている場合、不正咬合のように噛み合わせのバランスがズレてしまう症例もあります。
参考リンク:親知らず(出典:厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-036.html
2.歯列矯正時に親知らずを抜歯する3つのケース
一般的には、様々な理由からほとんどのケースで親知らずを抜歯をしたほうが良いとされています。これは、親知らずの移動が歯列矯正の対象外な上に、矯正後の整った歯列に悪影響を与えないようにするためです。また、矯正治療中に親知らずが矯正器具の邪魔にならないというメリットもあります。
ただし小臼歯など、親知らず以外の抜歯矯正については歯列矯正の対象になります。
2-1.歯を動かすスペースを確保する場合
歯がきれいに並ぶスペースを確保する必要がある場合は親知らずの抜歯を行います。例えば、でこぼこに乱れるような叢生や出っ歯などは、空いたスペースに合わせて歯列を整えるためです。また、患者さんのお口の状態によっては、親知らずではなく他の歯を抜歯することもあります。
2-2.親知らずが歯並びに悪影響を与えている場合
歯並びの乱れている方で、親知らずが関係していると判断した場合は抜歯を行います。これは、親知らずが手前の歯を圧迫して押しているなどの原因です。また、歯並びに影響する親知らずについては、原則として矯正前に抜歯を行います。
2-3.後戻りの原因になる可能性がある場合
後戻りとは、矯正治療を受けた後に元の歯並びに戻ってしまうことを言います。
親知らずが後戻りの原因になると判断した場合は抜歯を行います。特に、前歯だけなどの部分矯正をした場合などは非抜歯になることがあります。しかし、治療後に残した親知らずの圧迫が影響して、後戻りの原因になってしまうことがあるのです。
さらに、子供の頃に矯正をした方は、親知らずが生えてくる前に歯列矯正を終えています。そのため、矯正歯科治療を受ける方は、歯科医師に親知らずの影響も想定してもらいましょう。
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3.歯列矯正時に親知らずを抜歯する際の注意点
歯列矯正を考えている方で、親知らずがある方は抜歯について事前に確認しておくことをおすすめします。これは、マウスピース矯正・ワイヤー矯正など、どの矯正方法であっても同じです。また、矯正治療を受ける歯科医院によっては、抜歯ができない可能性もあります。
3-1.歯列矯正目的の場合は保険適用外となる
他の歯と同様、親知らずも基本的に保険適用で抜歯をすることができます。これは多くの親知らずが正しく生えず、智歯周囲炎や埋伏歯、水平埋伏歯などで保険適用になることが多いためです。
その一方で、歯列矯正を目的とした親知らずの抜歯は、保険の適用外となる可能性があります。歯科矯正は、原則として保険適用外の治療なので、親知らずの抜歯も歯列矯正の一部となるためです。ですから親知らずの保険適用については、矯正を行う前に歯科医師に確認することをおすすめします。
3-2.虫歯などがあれば保険が適用できることも
歯列矯正を目的としていないのであれば、保険診療として親知らずを抜歯できます。これは普通の歯と同じ施術となり、虫歯はもちろん、健全な親知らずでも保険は適用となることが一般的です。ただし、親知らずの生え方は様々で、埋伏歯・水平埋伏歯など難易度によって治療費が異なります。
歯列矯正を検討している方は、事前に保険適用で抜歯をしておくと良いでしょう。
3-3.矯正歯科医院で抜歯できないケースがある
矯正歯科では抜歯の治療を行なっていないケースがあります。なぜなら矯正歯科というのは歯列を整える歯科で、一般歯科とは診療科目が異なるためです。これは、抜歯に限らず虫歯や歯周病の治療であっても同じことが言えます。
しかも親知らずの抜歯となると、生え方によっては外科的手術を必要とするケースもあります。このような場合は、対応できる一般歯科や大学病院への紹介状で対応することになります。
親知らずがあって矯正治療を検討している方は、事前に歯科医院への確認をおすすめします。
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4.歯列矯正で親知らずの抜歯は必須?
親知らずは複雑な生え方をすることが多く、せっかく整えた歯並びに影響を及ぼす可能性があります。そのため矯正治療を考える際は、リスクを避けるために親知らずを抜歯することが一般的です。また、歯磨きなどのケアも行いにくい歯なので、お口全体の健康面を考えても抜歯には多くのメリットがあります。
「歯列矯正はしたいけど自分の歯を抜きたくない」という方は、親知らずを残したリスクもしっかりと理解しておくことが大切です。
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