矯正治療は見た目のメリットだけではありません。もちろんきれいな歯並びは魅力的ですし、コンプレックスを持つ人もいらっしゃいます。では、自分に合う治療法はどんなものでしょうか。歯科矯正は費用も高額になる傾向があり、治療に踏み切れない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、歯科矯正を受ける際の見た目のメリットと肉体的メリットについてご説明します。さらに、治療を受けるタイミングや、費用面の工夫についても役立つ情報を知ることができます。
- 1.歯科矯正とは
- 1-1.歯科矯正の概要
- 1-2.歯科矯正の目的
- 2.歯並びの症状と原因
- 2-1.出っ歯
- 2-2.八重歯
- 2-3.すきっ歯
- 3.歯科矯正のタイミング
- 3-1.小児矯正
- 3-2.成人矯正
- 3-3.中・高齢者の矯正
- 4.歯科矯正の方法
- 4-1.マウスピース矯正
- 4-2.ワイヤー矯正(表側矯正)
- 4-3.ワイヤー矯正(審美ブラケット)
- 4-4.ワイヤー矯正(裏側矯正)
- 5.歯科矯正と健康保険
- 5-1.歯科矯正に健康保険は原則使用できない
- 5-2.歯科矯正で健康保険が使用できる可能性があるケース
- 6. 歯科矯正とは?歯並びを改善する方法とメリット「まとめ」
1.歯科矯正とは
歯科矯正は矯正歯科や歯科クリニックで行う治療です。歯列矯正とも呼ばれ、主に歯並びの改善をイメージする方が多いと思います。ところが実際には歯並びだけでなく、噛み合わせの異常や顎関節症などの口内に関する問題を改善する治療です。
1-1.歯科矯正の概要
歯列矯正とは、乱れている歯並びや噛み合わせを理想的な状態に整える治療です。
患者さんの年齢や症状に適した装置を使用して、少しずつ歯を移動しながら歯並びを整えます。治療前に行う検査結果によっては、治療のための抜歯を必要とするケースもあります。
1-2.歯科矯正の目的
歯科矯正の目的は歯並びの改善により、見た目の美しさや正しい噛み合わせを目的としています。正しい歯並びや噛み合わせは、審美的な要素だけでなく健康面においてもメリットがあります。
・見た目の改善
きれいに整った歯並びは、コンプレックスから解放されて気持ち良く生活できます。堂々と人前で笑うことができるため、仕事面や対人関係にも自信を持つことができるというメリットがあります。
・健康面の改善
歯科矯正は見た目の治療と思われがちですが、実は健康面において非常に重要な役割を持っています。
乱れ方によっては歯みがきが行き届かないため、歯石や歯垢がたまりやすく虫歯や歯周病にかかりやすくなります。矯正治療によって歯並びが改善されると、毎日のブラッシングがしやすく、健康な口内を保つことができるのです。
さらに、顎関節症や不正咬合などの噛み合わせの異常は、様々な問題を引き起こすと考えられています。食べ物をしっかり噛み砕けずに飲み込むため、胃や消化器官に負担をかけてしまうのです。また、片側の歯で噛み続ける癖があると、長期的には骨格の歪みを引き起こすことがあります。身体の歪みは、肩こりや慢性的な頭痛を引き起こすと考えられているため注意が必要です。
2.歯並びの症状と原因
歯並びの乱れは人それぞれですが、先天的なものと生活習慣などが招く後天的なものが原因です。どちらが原因であっても、歯並びの乱れ方や度合いによっては様々な問題のきっかけになります。
2-1.出っ歯
出っ歯は医学的に言うと上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼び、上の前歯や上顎が前方に出ている症状です。上の前歯が突出しているため、意識的に閉じていないと自然に口が開いてしまう人が多いです。また、笑ったときに上の歯ぐきが出て目立つケースもあり、コンプレックスになりやすい傾向があります。
出っ歯の原因は先天性の場合と後天的なものが原因となっている症状です。先天的な出っ歯は、元からの骨格異常や親からの遺伝によるものが原因です。
一方で、生活習慣による後天的な出っ歯もあります。幼少期の指しゃぶりや、舌で前歯を押す癖があると前歯が少しずつ前に向いてしまいます。そのまま骨格ができあがってしまうと、永久歯も同じ角度で生えてしまうため出っ歯になってしまうのです。
出っ歯は乱れ方によって、見た目だけでなく虫歯や歯周病の原因になるため注意が必要です。また、正しく咀嚼できないことも多いため、長期的に顎関節症を引き起こす可能性もあります。
2-2.八重歯
八重歯は医学的に乱杭歯(らんぐいば)と呼ばれ、犬歯が歯列から前にはみ出して他の歯に重なって生えている症状です。程度によっては、牙のように前に突き出ているほど目立つ人もいます。また、海外ではバンパイヤ(吸血鬼)に例えられて好まれないこともあり、多くの人が早めに歯科矯正を受けています。
八重歯の原因は、歯の数に対して顎のスペースが足りないために、犬歯の永久歯が正しくない場所に生えてしまうのです。わかりやすくいうと、3人用のベンチに4人が座ろうとしてスペースが足りないというイメージです。なぜ八重歯が常に犬歯なのかというと、永久歯に生え変わるタイミングがいちばん遅いためです。
さらに、八重歯は見た目の問題だけではありません。八重歯と隣り合わせの歯には磨き残しが多く、虫歯や歯周病の原因にもなるため注意が必要です。
2-3.すきっ歯
すきっ歯と聞くと、一般的には前歯に隙間が開いているイメージがありますが、奥歯や歯全体に隙間がある場合もあります。また、それぞれ治療法も異なります。
・前歯の中央に隙間がある:正中離開(せいちゅうりかい)
・全体的に隙間がある:空隙歯列(くうげきしれつ)
すきっ歯の原因
すきっ歯には、先天的な異常と生活習慣が引き起こす場合があります。
生まれつき顎の大きさに対して歯の本数が少ない、または歯の大きさが小さいと、顎のスペースが余って隙間が開くのは先天的な原因です。また、舌で前歯を押す癖や、幼少期の指しゃぶりも正中離開の原因になります。このように、生活習慣が引き起こしたものが後天的なすきっ歯です。
すきっ歯のリスク
すきっ歯には健康面と生活面のリスクがあります。食事の際に食べ物が挟まりやすく、磨き残しがあると虫歯のリスクが高まるのです。また、食べ物に歯ぐきが押されて炎症を起こすと、歯周病の原因になることもあるため注意が必要です。
さらに、すきっ歯は滑舌にも影響することもあります。正中離開は息が抜けてしまい、特にサ行をうまく発音できない人がいます。また、英語は息が抜けると発音できない単語が多いため注意が必要です。
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3.歯科矯正のタイミング
歯並びの矯正治療はどのタイミングで受ければ良いのでしょうか。
歯並びが気になったタイミングでも良いのですが、実は早いほど良いとも言われています。では、大人になってしまった場合はどうしたら良いのでしょう。大人になっても歯列矯正は受けられますし、たくさんのメリットがあります。矯正治療は早く受けたほうが良いけども「気になったらまずは歯科医院へ相談に行く」という認識で良いでしょう。
3-1.小児矯正
小児矯正は、将来的な永久歯の正しい歯並びと噛み合わせを目的としています。
大人になって骨格が形成された後よりも、適応力が高いため短期的な治療が可能です。また、短期的に行うことで虫歯のリスクを大きく減らすことができます。さらに、身体的な負担だけでなく、精神的な負担も短期治療によって大きく軽減されます。
小児矯正は2つの時期に分かれており、治療方法も少し異なります。
1期治療:乳歯と永久歯がある混合歯列期(6~11歳ごろ)
骨の成長期の1期治療は、正しい噛み合わせや永久歯が正しく生えるスペースの確保を目的にしている治療です。同時に、将来的な歯並びに悪影響のある指しゃぶりなどの生活習慣の指導も行います。
永久歯が生えていない頃でも悪習慣が見られる場合は、早めに歯科医師との相談をおすすめします。
2期治療:永久歯が生えそろった永久歯期(12歳ごろ~)
2期治療は永久歯が生え揃っているので、一般的な歯列矯正とほぼ同じ治療になります。
「大人と同じなら大人になってからでも良いのでは?」と思う人もいますがそんなことはありません。永久歯が生えそろう中学生ごろは、骨格が成長過程なため矯正治療への適応力が大人よりも優れています。ですから、骨格が出来上がってしまった大人よりも、短期間でコストを抑えることが可能なのです。
3-2.成人矯正
いわゆる一般的な歯列矯正になります。マウスピース矯正、ワイヤー矯正などから症状に合った治療方法を選択して矯正します。
本来のベストなタイミングは、小児矯正の2期治療にあたる中学生~高校生の時期です。
大人に比べても、骨格が成長過程で骨が動きやすいため、矯正治療による適応力が非常に高いです。きれいな歯並びは様々な病気を防ぐことができるため、将来的なメリットがたくさんあります。
3-3.中・高齢者の矯正
中年層や高齢者の人は、通常の歯科矯正を受けることができます。
きれいな歯並びは、ケアをしやすいため虫歯や歯周病の予防に大きく貢献します。特に高齢者は歯の残存率が低く、最終的に入れ歯になる傾向があります。結果的に咀嚼力が弱くなるため、食べ物も美味しく食べられなくなります。
現在では、咀嚼能力の低下と認知症の進行速度に関連があるということが、疫学的にもわかってきています。しっかりと噛むことができると、脳が刺激されて歳を取るほど矯正治療は効果的です。また、咀嚼によって脳の血液量が増えると、動脈硬化や脳梗塞も起きにくくなるとも考えられています。
4.歯科矯正の方法
歯科矯正にはいくつかの種類があり、ワイヤー矯正とマウスピース矯正は多くの人に知られています。
2つの違いについては、見た目だけではなく治療方法や適している症状も異なります。さらに、価格や治療期間にも違いがありますので、治療を考えている場合は理解した上での検討をおすすめします。
4-1.マウスピース矯正
アライナーという透明の装置を利用して、歯並びを整える治療法です。
着脱が簡単で食事や歯磨きが行いやすく、生活面でのストレスがほとんどありません。1日20時間以上の装着が必要ですが、周囲から矯正していることが目立たないため人気のある治療法です。約2週間ごとにマウスピースを交換して、少しずつ歯を移動させていきます。
主に前歯などの部分矯正に強いマウスピース矯正ですが、ウィ・スマイルのように全体矯正も可能です。症状によって個人差はありますが、5ヶ月~3年ほどできれいな歯並びを手に入れることができます。
費用については、10~100万円程度で口内の状態や歯並びの乱れによって異なります。これは、部分矯正と全体矯正で大きく金額が異なるため、不明点は歯科医院への相談をおすすめします。
4-2.ワイヤー矯正(表側矯正)
ワイヤー矯正は名前の通り、金属製のワイヤーを利用した治療法です。
以前から利用されている治療法で、ブラケットと呼ばれる装置にワイヤーを通して歯を移動します。治療中は月に1度のペースで通院し、歯の移動を確認しながら少しずつワイヤーを調整します。
費用は20~100万円ほどで、治療内容によってさらに超えることもあります。治療期間は全体矯正のケースで、約1~3年程度です。
ワイヤー矯正のいちばんのメリットは、あらゆる歯並びの乱れに対応できる点です。マウスピースでは難しいと診断される歯並びにもほとんど対応できます。しかし、治療している間はワイヤーが目立ってしまうため、あまり好まない人もいます。
4-3.ワイヤー矯正(審美ブラケット)
一般的なワイヤー矯正は、金属製のワイヤーとブラケットが目立つ治療です。しかし現在では、目立たない装置で一般的なワイヤー矯正を行うことができます。
目立たない色のワイヤー装置は、白色や半透明の装置ですので目立たないため人気がある治療です。特に人前に出る接客業の方や、人との交流がある学生さんに人気があります。
ただし、治療費は装置の値段がメタルワイヤーよりも高く、相場的には30~120万円程度です。
4-4.ワイヤー矯正(裏側矯正)
裏側矯正で行う治療内容や治療期間は、通常のワイヤー矯正の治療方法と全く同じです。
舌側矯正やリンガル矯正とも呼ばれており、歯の表面ではなく歯の裏側にワイヤーを装着する治療法です。もちろんワイヤー矯正ですので、マウスピース矯正が対応できない症状にも対応します。いちばんのメリットは「ワイヤー装置なのに目立たない」という点が特徴の治療法です。
治療費については、表側のワイヤー矯正に比べ高額になります。裏側への装着は難易度が高く、高精度な調整が必要なため、治療費は35~150万円程度が相場です。
裏側矯正を利用しつつ費用を抑えたい場合、上と下を分けるハーフリンガルという方法もあります。目立つ上顎を裏側矯正、目立たない下顎をワイヤー矯正にすると費用を抑えることができます。
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5.歯科矯正と健康保険
歯科医院で行う治療でも、原則的に矯正治療は保険適用になっていません。これは、矯正治療する人のほとんどの理由が「きれいな歯並びにしたい」という審美性を目的としているからです。
5-1.歯科矯正に健康保険は原則使用できない
日本の健康保険制度は「健康な身体のためにケガや病気を治療すること」を目的としています。歯並びが悪くても健康には影響しないため、保険が適用されないという仕組みです。このシステムは、民間の医療保険であっても審美性が目的の治療には適用されません。
矯正治療を受ける際は、自分の予算に合う治療を選択する必要があります。これは、治療費とは別に、診察料や通院時の調整料・保定管理料など別料金が発生する場合もあるからです。
おすすめは、追加料金が発生しないトータルフィー (総額支払い制度)を行なっているクリニックです。例えばウィ・スマイルで治療する際は、支払う金額が明確で追加の費用は発生しません。
以下のように、各コースで費用が決まっているため、安心して歯列治療を受けることができます。
【マウスピース矯正】
・1回コース:1,650円
・4回コース:10.78万円
・8回コース:23.1万円
・12回コース:35.2万円
・18回コース:51.7万円
・24回コース:66万円
・難症例コース:別途お見積り
ウィ・スマイルの料金について詳しくはこちら
5-2.歯科矯正で健康保険が使用できる可能性があるケース
歯科矯正は原則として健康保険が適用されませんが、以下の条件に該当した場合は保険の適用が認められています。
①前歯3歯以上の永久歯が生えずに発症した咬合異常(こうごういじょう)
ただし、埋伏歯開窓術を必要とする場合のみ
②顎変形症(がくへんけいしょう)の手術前後に行う治療
ただし、顎離断(がくりだん)などの手術を必要とする場合のみ
③「厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する治療
参考:https://www.jos.gr.jp/facility (引用:日本矯正歯科学会)
上記のような先天性の症状は、日常生活に支障があるため健康保険の適用が可能です。ただし、国の認可を受けた指定医療機関で治療を受けることになります。
6. 歯科矯正とは?歯並びを改善する方法とメリット「まとめ」
矯正治療は見た目の問題だけでなく、精神的・身体的な悪影響も改善することができる治療です。人前で堂々と笑えると自信につながり、さらに頭痛や肩こりといった症状の改善も多くの結果が出ているのです。
精神的に自信を持てて、将来的に好きなものをしっかり噛むことができるという多くのメリットがあります。矯正治療の時期は、もちろん早いうちに受けた方が良いのですが、今からでも遅くありません。
自分の人生を存分に楽しむためにも、積極的に矯正治療を考えてみてはいかがでしょうか。
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