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歯科矯正は医療費控除制度の対象になる?適用条件と手続き方法を解説

「歯科矯正は医療費控除制度の対象になる?」

 

「どうやって手続きすればいいの?」

 

医療費控除制度は、条件を満たすことで所得税が控除される制度で、支払った所得税が一部返ってきます。歯科矯正も一部のケースは、医療費控除制度の対象です。医療費控除制度について知っておくと、所得税の一部が返ってくることで経済的な負担を軽減できます。

 

本記事では、歯科矯正が医療費控除制度の対象となる条件や手続き方法について解説します。確定申告直前に慌てないよう、医療費控除の準備を進めておきましょう。

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1.医療費控除制度とは?支払った所得税の一部が返ってくる

部分矯正の値段の相場

医療費控除制度とは、所得税の一部が控除される制度です。条件によって金額は異なりますが、支払った所得税の一部が返ってくることで医療費の負担が軽減されます。

 

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医療費控除制度は、自分の医療費だけでなく同一生計の家族の医療費も合算して申請できるのが特徴です。なお、年末調整では手続きできないので、給与所得者である会社員も確定申告が必要となります。

1-1.医療費控除対象となる費用項目

医療費控除の対象となるのは、病院で支払った費用だけではありません。下記のように「治療のために関連して支払ったすべての費用」が対象となります。

 

  • ・治療費+薬代(市販薬も可)
  • ・医療施設への交通費(自車のガソリン代は不可)(※)
  • ・治療に必要なマッサージ・鍼(はり)・お灸などの費用
  • ・入院・自宅療養の付添料(親族・友人は不可)
  • ・分娩の介助をした助産師への費用
  • ・介護保険制度に基づいた一定の介護サービス費用

 

※交通費についてはタクシー代も認められていますが、電車やバスの移動が困難な場合に限るといった条件があります。

 

参考:病院に収容されるためのタクシー代|国税庁

2.歯科矯正は医療費控除制度の対象となる?3つの適用条件

歯科矯正では、次の3つの条件をすべて満たすことで医療費控除制度の対象となります

 

  1. 1.1年間の医療費の合計が10万円を超えている
  2. 2.1月1日~12月31日までに支払った医療費である
  3. 3.治療目的の歯科矯正である

 

歯科矯正においては、とくに3番の条件が重要なので、理解を深めておきましょう。

2-1.1年間の医療費の合計が10万円を超えている

医療費控除制度を受けるためには、1年間の医療費の合計が10万円を超えていることが条件です。医療費の合計金額を算出する際は、下記の金額を差し引く必要があります。

 

  • ・生命保険や医療保険によって支給された保険金額
  • ・デンタルローンの金利や手数料
  • ・10万円(1年間の総所得金額が200万円未満の場合は、総所得金額の5%の金額)

 

医療費の合計は最大200万円とされており、200万円を超える医療費に対しては医療費控除制度は適用されません

 

関連記事:大人の歯列矯正にかかる値段は?前歯を削る費用や医療費控除について解説

2-2.1月1日~12月31日までに支払った医療費である

医療費控除制度の対象となる医療費は、その年の1月1日〜12月31日までに支払ったものです。この期間内に支払った医療費の合計金額が、10万円を超えていることが条件です。

 

医療費控除は、確定申告で手続きします。確定申告は通常2月16日〜3月15日に実施されるので、それまでに前の年の医療費を整理しておくとスムーズです。

 

なお、医療費の合計には、自分だけでなく同一生計の家族の分も含めることが可能です。たとえば、4人家族で主に父親の給与で生計を立てているケースでは、家族全員分の医療費を合算し条件をクリアしていれば、父親名義で確定申告することで所得税の一部が還付されます。

 

歯科矯正は自由診療のため医療費が高額になりやすく、1人でも条件をクリアできるケースが多くなります。万が一、1人で条件を満たせない場合は、同一生計の家族の医療費を合算することも検討してみましょう

2-3.治療目的の歯科矯正である

歯科矯正で医療費控除が適用されるのは、下記のように治療目的だと判断された場合に限ります。

 

  • ・噛み合わせ異常など、診断名が付く症状の場合
  • ・生活に支障があるなど、治療が必要だと歯科医師が判断した場合

 

「見た目を整えたい」といった美容目的で歯科矯正をする場合は、医療費控除制度を利用できません

 

子どもの歯科矯正は治療目的のケースが多く、医療費控除制度が適用されやすい傾向があります。

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3.医療費控除制度の対象外となる歯科矯正のケース

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医療費控除制度の対象外となるケースは、美容目的の歯科矯正です。国税庁のホームページには下記のように記載があり、美容目的の歯科矯正にかかる費用は医療費控除制度の対象外となることが明記されています。

 

容姿を美化し又は容貌を変えるための歯列矯正の費用は、医療費控除の対象とはなりません(所得税法施行令第207条、所得税基本通達73-4)。

 

引用:歯列を矯正するための費用|国税庁

 

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大人の歯科矯正は美容目的も多く、税務署の担当者の判断によって医療費控除制度の対象外とされてしまうことがあります。

 

医療費控除制度の確定申告では、適切に判断するために医師による診断書の提出を求められるケースがあるので、事前に準備しておくとスムーズです。

4.いくら戻る?医療費控除制度の計算方法

医療費控除制度によって、いくら所得税が戻ってくるのか、2つの計算式にわけて計算方法を解説します。

 

  • ・医療費控除額の計算式
  • ・還付金の計算式

 

還付金額を確認し、医療費控除の手続きをするかどうかを決めましょう。

4-1.医療費控除額の計算式

還付金を計算するためには、医療費控除額を算出する必要があります。医療費控除額の計算式は、以下の通りです。

 

医療費控除額(最高200万円)=(実際に支払った医療費の合計額-(A)の金額)-(B)

 

計算に必要な項目は、下記を確認してみてください。

 

項目概要
A・生命保険や医療保険の保険金で補てんされる金額

・デンタルローンの金利や手数料

B10万円(※)

※1年間の総所得金額が200万円未満の場合は、総所得金額の5%の金額

4-2.還付金の計算式

還付金は、医療費控除額に対して下記の税率を掛け算して算出します

 

医療費控除による還付金額=医療費控除額×課税所得ごとの税率

 

課税所得ごとの税率は、下記を確認してみてください。

 

課税所得額(所得の合計金額)税率
1,000~1,949,000円5%
1,950,000~3,299,000円10%
3,300,000~6,949,000円20%
6,950,000~8,999,000円23%
9,000,000~17,999,000円33%
18,000,000~39,999,000円40%
40,000,000円以上45%

参照:所得税の税率|国税庁

 

以下に医療控除額から還付金を算出する例を紹介するので、参考にしてみてください。

 

【Aさんの例】

夫の所得:500万円

妻の所得:200万円

総所得額:700万円

年間の医療費の合計:90万円

医療費の保険金:15万円

 

【計算式】

医療費控除額:(90万円-15万円)-10万円=65万円

還付金:65万円×23%=13万円

 

医療費控除を申請することで、Aさんは13万円の還付金を受け取れます。90万円の医療費のうち20万円が矯正歯科の費用だった場合、実質7万円で矯正治療を受けられたと考えることも可能です。

 

このように、医療費控除制度を適切に使うことで、医療費の負担を軽減できます

5.医療費控除制度の申請に向けた準備

確定申告で医療費控除を申請する前に、2つの準備が必要です。

 

  • ・1年間の医療費を記録しておく【必須】
  • ・歯科矯正の診断書をもらっておく【必須ではない】

 

確定申告の際に困らないよう、余裕をもって準備しておきましょう。

5-1.1年間の医療費を記録しておく【必須】

確定申告で医療費控除を申請する際、「医療費控除の明細書」という書類を提出します。この書類には、治療を受けた病院名や支払った金額を細かく記入するため、1年間の医療費を記録しておく必要があります。「医療費控除の明細書」をコピーして、治療を受けるたびに記録しておくとスムーズです。

 

こまめに記録するのが苦手な場合は、病院でもらった明細書や領収書を保管しておき、時間のあるときにまとめて記入するとよいでしょう。

 

なお、確定申告では、病院からもらった明細書や領収書を提出する必要はありません

5-2.歯科矯正の診断書をもらっておく【必須ではない】

医療費控除の申請に置いて、医師による診断書の提出は義務ではありませんが、もらっておくといざというときに便利です。美容目的ではなく、治療目的で歯科矯正治療を受けていることが証明できるためです。

 

とくに大人の場合は、美容目的で歯科矯正を受ける方も多いため、税務署の判断によっては医療費控除の対象外とされてしまいます。判断材料として、医師による診断書の提出を求められることもあるため、用意しておくとスムーズに手続きを進められます。なお、あらかじめ添付して提出することも可能です。

6.医療費控除制度の手続き方法

医療費控除制度の手続き方法を、大きく3つにわけて解説します。

 

  1. 1.提出に必要な書類を用意する
  2. 2.「医療費控除の明細書」と「確定申告書」を用意する
  3. 3.所定の場所へ提出する

 

あらかじめ提出物の内容を理解しておくと、手続きをスムーズに進められるので、参考にしてみてください。

6-1.提出に必要な書類を用意する

医療費控除制度の手続きのために確定申告をする場合、下記の書類の用意が必要です。

 

必要な書類概要
本人確認書類・確定申告書の提出時に必要

・ただし、e-Taxでの手続き時は不要

【マイナンバーカードをもっている場合】

マイナンバーカードを用意する

【マイナンバーカードをもっていない場合】

下記の【A】と【B】の両方を用意する

【A】

・個人番号が書かれた通知カード

・住民票の写し

・住民票記載事項証明書

【B】

・運転免許証

・公的医療保険の被保険者証

・パスポート

・身体障害者手帳

・在留カード

・税務署から送付される「確定申告のお知らせ」はがき

源泉徴収票(給与所得者の場合)・確定申告書書を作成するときに必要

・手続きの際に提出や提示は不要

医療通知書・加入している健康保険組合から届く書類

・医療通知書を添付すると「医療費控除の明細書」の記載を簡略化できる

医療費控除の明細書

PDF/Excel

・1年間の医療費を記載する明細書

・医療通知書を提出できる場合は記載を簡略化できる

・手続き後5年間は保存が必要

確定申告書

PDF/確定申告書作成コーナー

・確定申告に必要な書類

・手続き後5年間は保存が必要

 

国税局でダウンロードできる「医療費控除の明細書」や「確定申告書」は、最新のものに間違いがないか確認してから利用しましょう。たとえば「確定申告書」は、かつては「確定申告書A」の区分がありましたが、令和4年以降から統合され区分がなくなりました。

6-2.「医療費控除の明細書」と「確定申告書」を用意する

各書類を用意できたら、「医療費控除の明細書」と「確定申告書」に必要事項を記入します

 

PDFをダウンロードすると手書きしてコピーすることになりますが、Excelデータをダウンロードすると、入力してからコピーできます。また、国税庁の「確定申告書コーナー」を利用すると、よりスムーズに書類の作成が可能です。

 

「医療費控除の明細書」と「確定申告書」の大まかな記載内容は、以下の通りです。

 

医療費控除の明細書確定申告書
・医療を受けた者の氏名

・医療費を支払った病院や薬局名

・支払った医療費の金額

・控除額の計算結果

など

・個人番号、氏名、住所、生年月日

・収入金額

・所得金額

・控除額

など

6-3.所定の場所へ提出する

書類が準備できたら、以下の方法で所定の場所へ提出しましょう。

 

提出方法提出先
確定申告書提出窓口確定申告申請期間に各自治体で展開される提出窓口
郵送納税地を管轄する税務署
e-TAXe-Taxシステム

 

e-TAX以外はお住まいの自治体によって提出先が異なりますので、自治体の税務署のホームページで確認しましょう

7.歯科矯正の医療費控除制度についてよくある質問

歯科矯正の医療費控除制度についてよくある質問に、ウィ・スマイルがお答えします。

7-1.年末調整で医療費控除の手続きはできますか?

会社員といった給与所得者は、年末調整によって所得控除を受けられますが、医療費控除の手続きはできません。その年の医療費控除は、翌年3月までに行われる確定申告で手続きする必要があります。

7-2.ふるさと納税と医療費控除は併用できますか?

ふるさと納税と医療費控除は併用できます。ただし、医療費控除の手続きのために確定申告が必要となるため、ふるさと納税のワンストップ特例制度が使えなくなります。また、医療費控除を受けた分、ふるさと納税による控除限度額が減る点も注意が必要です。併用前に控除額をシミュレーションしておくと、後悔せずに活用できます

7-3.歯科矯正費用をローンで支払っても医療費控除制度の対象となりますか?

歯科矯正費用をローンで支払った場合も、医療費控除制度の対象です。この場合、医療費控除の手続きの際、歯科ローンの契約書や信販会社の領収書が必要となるため、保存しておきましょう。国税庁の公式ホームページ「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」にも記載されているので、参考にしてみてください。デンタルローンについては、下記の記事でくわしく解説しているので、あわせてご覧ください。

 

歯科矯正で利用できるローンとは?知っておきたい利用時の留意点

7-4.歯科矯正で高額医療費制度は利用できますか?

高額医療費制度は、保険診療が対象です。歯科矯正は基本的に自由診療にあたるため、高額医療費制度は利用できません。ただし、顎変形症といった一部の症例に対する治療で歯科矯正を行う場合は保険診療にあたるため、この場合は高額医療費制度を利用できる可能性があります。

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8.まとめ:医療費控除制度を活用して歯科矯正費用を抑えよう

マウスピース矯正の基礎知識と期待できる効果

確定申告で医療費控除を申請すると、支払った所得税の一部が返ってきます。歯科矯正も治療目的の場合に限り医療費控除を申請できるので、利用すると治療費の負担を軽減できます

 

ただし、「見た目を整えたい」という美容目的で歯科矯正を行う場合は、医療費控除の対象とならないため注意が必要です。矯正治療の際は、医師に医療費控除の対象となるか確認してみるとよいでしょう。

ウィ・スマイルでは、治療費の支払い時に負担を軽減できる「定額制」で矯正治療を受けられます。月額1,760円からマウスピース矯正を受けられるため、1回の支払額を手頃に抑えられるのが特徴です。歯科矯正にかかる費用を抑えながら治療を進めたい方は、ぜひウィ・スマイルにお問い合わせください。

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