- この記事の監修者
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歯科医師。医療法人聖礼会理事長。ICOI国際インプラント学会認定医・指導医、日本口腔インプラント学会認定医・専門医、臨床研修指導医、インプラントフェロー認定、iACD歯科総合認定医・研究指導医。
https://www.us-shika.com/
歯ぎしり用と歯科矯正用のマウスピース
それぞれ役割や目的が異なりますが、どちらも歯の健康を守るために重要なアイテムです。
歯ぎしり用マウスピースは、睡眠中の歯や顎への負担を軽減するためのもの。
一方で、歯科矯正用マウスピースは、目立たず取り外し可能な矯正方法として注目されています。
この記事では、それぞれのマウスピースのメリットやデメリット、注意点を詳しく解説します。
自分に合ったマウスピースを選びたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 1.歯ぎしりと歯の寿命の関係
- 1-1.歯ぎしりによる影響
- 2.歯ぎしりの治療にはマウスピース(ナイトガード)矯正がおすすめ
- 2-1.歯ぎしりと歯科矯正用マウスピースの違い
- 3.歯ぎしり用マウスピースの種類
- 3-1.ソフトタイプ
- 3-2.ハードタイプ
- 4.歯ぎしり用マウスピースのメリット
- 4-1.睡眠中の歯ぎしりを確認できる
- 4-2.歯や顎への負担を少なくできる
- 5.歯ぎしり用マウスピースのデメリット
- 5-1.慣れるまでに時間がかかる
- 5-2.費用がかかる
- 5-3.定期的なメンテナンスの必要がある
- 6.歯ぎしり用マウスピースを上だけに付ける理由
- 7. 歯科矯正用マウスピースのメリットは?
- 7-1. 矯正が目立ちにくい
- 7-2. 取り外しができる
- 8.歯科矯正用マウスピースのデメリットは?
- 8-1. 飲食が制限される
- 8-2. 発声しにくいときがある
- 9. 歯科矯正用マウスピースの矯正で押さえておきたい注意点
- 9-1. 着用時間が歯の動きに影響する
- 9-2. 対応できない歯並びもある
- 9-3. 食事中は取り外す
- 9-4. 口腔ケアは丁寧に
- 10. デメリットも理解したうえで、納得のいくマウスピース矯正を
1.歯ぎしりと歯の寿命の関係
睡眠中の歯ぎしりを誰かに指摘されたことはありませんか?
たとえ健康な歯であっても歯ぎしりの力で歯が削られて歯がすり減ったり、歯がぐらついて隙間ができ歯周病になりやすくなったりと、歯の寿命を縮めるリスクがあります。
上下の歯を擦り合わせる癖、つまり歯ぎしりには3つのタイプがあります。
歯ぎしりの中でも多いとされる現象が「グラインディング」です。
これは周りの人も「歯ぎしりしていたよ」と指摘するくらい一般的な上下の歯を噛んだ状態でギリギリと横に滑らせ擦り合わせる動きの事を言います。3つのタイプの中でも一番歯にダメージを与える歯ぎしりです。
「食いしばり」と呼ばれる歯ぎしりは「クレンチング」です。
横に擦り合わせることはなく、強い力で歯をぐっと噛みこむ歯ぎしりです。音が出ないため、周りの人に気づかれることは少ないようです。
3つ目は上下の歯をカチカチと噛み合わせる「タッピング」です。
3つの中では比較的起こる事の少ない現象です。
では、歯ぎしりによる影響についてみていきましょう。
1-1.歯ぎしりによる影響
歯ぎしりを放置するとどうなるのでしょう?
つぎのような影響が出る可能性があります。
・顎への負担が大きい
歯ぎしりを放置するとその負担から「顎関節症」になる時があります。
顎関節症は単に顎が痛いだけではなく、顎関節の変形や頭痛・肩こりといった二次的な症状にもつながります。
・歯が欠けたりすり減ったりする
歯ぎしりの中でも「グラインディング」は歯と歯を強い力で擦るので、当然歯がすり減ったり欠けたりします。
歯のすり減りがひどくなると知覚過敏状態になる事もあります。
・歯周病になる、悪化するリスクがある
長い間の歯ぎしりは歯の根っこにダメージを与えます。
だんだんと歯がぐらつくようになると歯と歯茎の間に隙間ができてしまい、歯周病になったりそれが悪化したりするリスクがあります。
・被せ物や詰め物が取れる
歯ぎしりの影響で、歯の被せものや詰めものもとれる可能性があります。
その場合、歯ぎしりをなおさない限り、何回被せものや詰めものをしても繰り返すことが多いです。
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2.歯ぎしりの治療にはマウスピース(ナイトガード)矯正がおすすめ
「ナイトガード」とも呼ばれる、歯ぎしりの治療に用いられるマウスピースがあります。
そのマウスピースの使用により歯に加わる力を分散させ、筋肉の緊張を解消する効果や歯の欠け防止効果が期待されます。
次に、歯ぎしり用マウスピースと矯正用との違いを説明していきます。
2-1.歯ぎしり用と歯科矯正用マウスピースの違い
歯ぎしり治療に用いられるマウスピースは
矯正用マウスピースと違って厚く強く作られており、一般的に上の歯に装着して使用します。
一方、矯正用マウスピースは
薄いプラスチック製で噛みあう部分まで覆われており、歯ぎしりをする人がそれをつけると睡眠時の歯ぎしりで壊れてしまう事もあるようです。
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3.歯ぎしり用マウスピースの種類
歯ぎしり用マウスピースは大きく分類して「ソフトタイプ」と「ハードタイプ」に分けられます。
以下、それぞれについて解説していきます。
3-1.ソフトタイプ
ソフトタイプは、素材が半透明の柔らかいゴム製です。
指で曲げられるほどやわらかく、装着時の違和感が少ないです。
どちらかと言うと歯ぎしりが弱い人向けで、歯ぎしりが強い人がソフトタイプを装着すると摩耗が進んで穴が開く可能性があります。
ソフトタイプは一部の歯科医院では取り扱いをしていないケースがありますのであらかじめ確認しておきましょう。
3-2.ハードタイプ
ハードタイプは、レジンと呼ばれる硬いプラスチック製であり、ソフトタイプに比べて装着時に違和感を覚えやすいですがとにかく耐久性が高いです。
違和感の問題はある程度の期間装着する事で慣れて解消することが多いようです。
ハードタイプマウスピースは耐久性が高いので穴が開きにくく、歯ぎしりが強い方におすすめできます。
また、ハードタイプのもう一つのメリットとして製作後でも細かな調整が可能な点も挙げられます。
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4.歯ぎしり用マウスピースのメリット
歯ぎしり用マウスピースは歯と歯の間に挟まれることで、上の歯と下の歯の間の緩衝材になります。
ナイトガードと呼ばれるだけあり、装着して寝ることで様々なメリットがあります。
主なメリットについて見ていきましょう。
4-1.睡眠中の歯ぎしりを確認できる
歯ぎしりの自覚のない患者さんは多くいます。
本当に歯ぎしりをしているのかどうかまずは確認したい気持ちは当然です。
そこでマウスピースをしながら眠っていただくことで、そのすり減りや傷度合いをのちに自らが確認できるのです。
まずは現状認識をすることで治療へのモチベーションをあげ、その後の対策につなげていきましょう。
4-2.歯や顎への負担を少なくできる
マウスピースは緩衝材(クッション)の役割を果たします。
歯ぎしりは奥歯に力が集中するとされていますが、マウスピースをはめることでその力を歯列全体に分散させることができます。
結果として1本1本にかかる負担はやわらぎ、歯の欠けや折れを防止する効果が期待されます。
また、装着中は歯がガッチリと噛みあう事もないため顎の力を抜いたようなリラックス状態になる事が期待でき、顎関節の負担を少なくします。
歯ぎしりは歯と同様に顎にもダメージを与えます。
放置すると顎関節症になりかねないため、マウスピースで負担を軽減していきましょう。
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5.歯ぎしり用マウスピースのデメリット
マウスピース装着のメリットは説明しましたが、デメリットももちろんあります。
以下の注意点を把握したうえでの使用が推奨されます。
5-1.慣れるまでに時間がかかる
歯ぎしり用マウスピースは、異物を口に入れたまま寝ることになるため、最初は違和感を覚える方が多いです。
特に装着開始から2~3日は、慣れない装着感や軽い不快感により、眠りが浅くなることもあります。
さらに、装着初期には以下のような症状が見られる場合があります。
顎の痛み:
噛み合わせが高くなることで、普段使わない筋肉が緊張することが原因です。
口の渇き:
唇が閉じにくくなり、唾液が蒸発しやすくなるため起こります。
これらの症状は、マウスピースの装着に徐々に慣れてくることで次第に緩和されます。
初期の違和感を和らげるためには、日中の短時間からマウスピースを装着する練習を取り入れるのも効果的です。
5-2.費用がかかる
歯ぎしり用マウスピースは、保険が適用される場合
費用はおおよそ5,000円程度と比較的手頃ですが、耐久性には個人差があります。
使用頻度や歯ぎしりの強さによって、以下のようなことが起こり得ます。
穴が開く場合:
半年以内に穴が開いた場合、保険の規定により新しいマウスピースは自費診療になるため、追加費用が発生します。
交換のタイミング:
一般的にはソフトタイプ・ハードタイプともに1年が目安ですが、半年ほどで交換が必要な方もいれば、2~3年使える方もいます。
耐久性を長持ちさせるためには、使用後の適切なメンテナンスが重要です。
マウスピースを清潔に保つことで寿命が延びるだけでなく、口腔内の健康も守ることができます。
5-3.定期的なメンテナンスの必要性がある
マウスピースは口の中に入れるわけですから毎日お手入れして衛生的に使用する必要があります。
また、マウスピースを日々装着し続けていると、歯ぎしりの影響もありだんだん削れていき、装着時の噛み合わせもずれていきます。
よって、マウスピースは歯科医院で定期的な調整・メンテナンスをすることが求められます。
そのメンテナンス周期の目安は3,4か月に1回ほどです。
マウスピースの効果を実感するためにもメンテナンス意識を高めていきましょう。
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6.歯ぎしり用マウスピースを上だけに付ける理由
歯ぎしり用マウスピースは、上顎に装着することが一般的です。
これは、口腔構造や装着時の効果を最大化するためであり、以下のような理由があります。
安定性が高い
上顎に装着することで、マウスピースが歯にしっかりと固定されやすく、装着中にずれたり外れたりするリスクが低くなります。また、上顎は下顎よりも骨が安定しているため、力を分散させやすいという利点もあります。
呼吸への影響を最小限に抑えられる
下顎にマウスピースを装着すると、舌の動きを制限しやすく、場合によっては気道を圧迫する可能性があります。上顎に装着することで、舌の自然な動きを妨げず、快適な装着感を得ることができます。このため、睡眠時にも呼吸を妨げることなく利用できるのが特徴です。
力の分散が効果的
歯ぎしりの力は非常に強く、顎全体に大きな負担をかけます。上顎にマウスピースを装着することで、力を均等に分散し、歯や顎関節にかかるダメージを軽減する効果があります。特に、上顎は下顎よりも広い面積で力を受け止められるため、全体的な負荷が軽減されるのです。
睡眠中の快適性
多くの人は睡眠中に無意識に歯ぎしりを行いますが、上顎に装着するマウスピースは、装着感が良く、睡眠を妨げにくい設計が一般的です。また、上顎用のマウスピースは形状が舌に触れにくいため、違和感を感じにくいという利点があります。
★例外的に下顎に装着する場合
一部のケースでは、歯科医の判断で下顎用マウスピースが選ばれる場合があります。
以下のような理由が考えられます:
・噛み合わせの問題により、下顎の方が適している場合
・上顎の歯列が不規則で、フィット感が得られにくい場合
・特定の顎関節症の治療目的で下顎を優先する場合
どちらの装着タイプが適しているかは、歯科医が口腔内の状態を診断し、最適な選択を提案します。
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7.歯科矯正用マウスピースのメリットは?
数ある矯正方法の中から、マウスピース矯正を選択するメリットはどのようなところにあるのでしょうか。
7-1. 矯正が目立ちにくい
マウスピース矯正は矯正装置が目立ちにくい、矯正していることが見た目で気付かれにくい点が最大のメリットと考える方も多いでしょう。
マウスピース矯正では透明のマウスピースを使うため、歯に装着してもあまり目立ちません。
口を大きく開けて笑っても、話していても、装着していることが分からないくらいの薄いマウスピースを使って治療します。
従来からあるワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットと呼ばれる金具やワイヤーなどの装置をつけることが多いため、口を開けた際に装置が目立ってしまう、矯正していることが周りに分かってしまいやすいですよね。
そのため、歯列矯正がしたいと思っていても、装置が目立つことに抵抗があり躊躇していた方もいると思いますが、マウスピース矯正はそんな悩みを少し解決できる治療方法です。
7-2. 取り外しができる
また、マウスピースは自分で取り外しできることも、メリットの1つでしょう。
食事の際や歯磨きをする際に矯正装置を取り外せば、矯正していないときと同じように食事や歯磨きができます。
また取り外したマウスピースは、洗うのも手軽です。
これがワイヤー矯正の場合は、自分では自由に装置を取り外せないため、食べているときに違和感があったり、丁寧に口腔ケアが行えなかったりすることもあります。
特に歯ブラシで装置の間を丁寧に洗うなど、お手入れが難しい場合もあります。
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8.歯科矯正用マウスピースのデメリット
マウスピース矯正は目立たず、取り外しができるためお手入れも簡単。
様々なメリットがあることが分かりましたが、反対にデメリットもあるのでしょうか。
8-1. 飲食が制限される
マウスピース矯正では、食事を取る、歯磨きをする以外の時間は矯正装置を装着しておく必要があります。
1日の装着目安時間は20時間以上。
頻繁に間食を取ると、矯正装置を外す時間が増えてしまい、矯正効果を実感できなくなる可能性があります。
また、虫歯予防、歯周病予防のためにはマウスピース装着の前に都度歯磨きが必要です。
マウスピースも、一度取り外せばお手入れしてから装着するのが衛生的にもよいため、ケアの手間が何度もかかることになります。
また、食べ物だけではなく、飲み物を飲む際にも気を使わなければいけません。
水以外の飲み物を飲んだ後には、マウスピースへの着色とともに、虫歯や歯周病を予防するため、歯磨きやマウスピースの手入れをする必要があります。
そのため、矯正中は普段と同じように飲食ができないことはデメリットの1つと言えるでしょう。
8-2. 発声しにくいときがある
また、マウスピースを装着したばかりのときは、話しにくいと感じることがある方もいます。
矯正装置が唇の裏に当たり、発生するときに違和感を覚えやすいのです。
マウスピース矯正は他の矯正方法と比べ、痛みは感じにくい矯正方法ではありますが、中には歯の動く際に痛みを感じる人もいます。
もちろん、ワイヤー矯正など他の矯正方法でも同様の違和感を覚えることはあります。
ほとんどの場合、次第に慣れていくことが多いので、デメリットとして重く捉えなくてもいいでしょう。
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9. マウスピース矯正で押さえておきたい注意点
メリットもありますが、デメリットも存在するマウスピース矯正。
メリット・デメリット両方を総合的に考え、マウスピース矯正を行う前に押さえておきたい注意点をまとめました。
9-1. 着用時間が歯の動きに影響する
マウスピース矯正は、常に歯に装着し続けるワイヤー矯正とは異なり、付け外しには本人の意思が必要な矯正方法です。
自分で取り外しができてしまうため、装着するのを忘れてしまうなどで、装着時間が短くなると、矯正の効果が感じられない恐れがあります。
決められた装着時間を守らなければ、歯の動きに影響し、矯正期間が長くなってしまうこともあるため、必ず装着時間は守るようにしましょう。
9-2. 対応できない歯並びもある
矯正装置が目立たない矯正方法としてメリットの大きいマウスピース矯正ですが、どのような症例でも対応可能なわけではありません。
歯並びの凸凹が大きい、骨格の問題等、複雑な歯並びの場合は、マウスピース矯正では十分に動かすことができないこともあります。
自分の症例がマウスピース矯正で対処できるかどうかは矯正歯科で相談し、医師の判断を仰ぐことが必要です。
マウスピース矯正を開始する前に、歯の動きを確認し、シミュレーションしてもらえる歯科医院もあります。どのくらいの期間がかかるのか、理想の歯並びになれるかどうか、確認しておきましょう。
9-3. 食事中は取り外す
マウスピースは食事中、取り外さなければいけません。
水以外の飲み物を飲む場合も同じです。
マウスピースへの色素沈着を防止するとともに、虫歯や歯周病などの予防するためです。
9-4. 口腔ケアは丁寧に
マウスピース矯正を効果的に進めるためには、毎日の口腔ケアがとても大切です。
歯やマウスピースが汚れたままだと、矯正の効果が十分に発揮されないこともあります。
マウスピースを装着する前には、歯磨きやデンタルフロスで歯の汚れをしっかり落とし、口腔内を清潔に保ちましょう。
また、マウスピース自体も専用のクリーナーやぬるま湯で定期的に洗浄することが大切です。
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10.デメリットも理解したうえで、納得のいくマウスピース矯正を
マウスピース矯正にはメリットも多い矯正方法ですが、デメリットも存在します。
メリットだけに目が行きやすいですが、必ずデメリットも理解したうえで矯正を開始することが大切です。
また、適応できない例もあるので、マウスピース矯正を希望する際には、まず矯正歯科で歯科医師へ相談してください。
マウスピース矯正をした際にかかる費用、期間などを確認したうえで、納得のいくマウスピース治療を受けましょう。
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