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歯列矯正は大人にとって危険?副作用やリスクと回避方法

「大人になってからの歯列矯正は危険」という情報を目にすることがあります。

 

まず結論から言いますと、大人だからといって矯正歯科治療が危険ということはありません。ただ、大人と子どもでは治療におけるリスクには違いがあるというだけです。

 

そこで今回は、大人の矯正歯科治療の正しい知識についてご説明します。当記事を読むことによって、安全に矯正治療を受けるための情報が理解できます。

1.大人の歯列矯正は危険ではない

大人の歯列矯正は危険という情報がありますが、決してそんなことはありません。

 

少なからず、どんな治療にもデメリットと呼ぶリスクや副作用があります。これは、大人に限らず子どもの矯正治療であったとしても同じということです。大切なことは、歯列矯正に対する正しい情報を理解したうえで治療を受けることです

1-1.大人が歯列矯正するメリット

大人になっても歯列矯正を行うメリットはたくさんあります。その中でも代表的なメリットをいくつかご紹介します。

 

・コンプレックスの改善

 

社会に出て生活すると、仕事や人間関係はとても重要なテーマになります。もし歯並びにコンプレックスがあると、視線が気になって笑顔になれない人もいます。

 

大人の歯列矯正はきれいな歯並びになるだけでなく、積極的な行動力も得られる治療です。

 

・虫歯や歯周病の予防

 

歯並びが悪いままだと、口内の環境が悪くなることがあります。歯ブラシも隅々まで届かず、フロスや歯間ブラシが入らない箇所はありませんか?特に歯周病は、重症化すると歯を失うことにつながる病気です。

 

歯並びが整うと歯磨きがしやすく、細いフロスもしっかり行うことができるというメリットがあります。

 

・健康な身体になれる

 

噛み合わせが悪い場合、身体の歪みにもつながるという考えがあります。

 

特に片側の歯で噛む癖がある人は、骨格のバランスが崩れてしまうことがあります。長期的に噛み合わせが悪いと左右のバランスが崩れ、肩こりや偏頭痛、猫背、腰痛などに影響する可能性もあるのです。

 

歯列矯正を行なって正しい噛み合わせになると、歯並びだけでなく健康面のメリットも期待できます。

 

・治療費の総額がわかりやすい

 

大人と子どものいちばんの違いは、治療計画が立てやすいことです。

 

子供の歯列矯正は、1期と2期に分かれているなど、治療期間を確定しきれないことがあります。これは、成長期の変化に合わせながら治療計画を作りなおす必要があるからです。一方で、大人の歯科矯正は骨格が完成されているため、計画通りに治療を進めることができるのです。

1-2.歯列矯正をする前にリスクと副作用を知る必要がある

大人の歯列矯正には、少なからずリスクとなる注意点があります。これから矯正治療を始める際は、事前に内容を理解して検討することが大切です。

 

・虫歯や歯周病にかかりやすい

 

ワイヤー矯正は装置によって歯磨きがしにくく、虫歯や歯周病になりやすいリスクがある治療法です。ワイヤー矯正中の通院時にはクリーニングを行いますが、ご家庭での歯磨きやフロス、歯間ブラシのケアを念入りに行うことが大切です。

 

・歯茎が下がる、歯根が吸収する

 

大人の歯は骨格の成長が終わっているため、子どもの矯正よりも歯が動きにくくなります。骨格が硬い大人の場合、歯を動かす時に力がかかるため、歯茎が下がったり歯根が吸収されてしまったりすることがあるのです。

 

一方で、前歯だけなどの部分矯正は歯を動かす距離と本数が短いため、歯根吸収などのリスクは軽減されます。

 

・子どもより期間が長い

 

大人の骨格は子どものように柔らかくないため、歯が移動するスピードもゆっくりになります。そのため子どもの歯列矯正に比べると、治療期間が長くなることがあります。

 

これから歯列矯正を受けたい場合は、自分の仕事や用事を踏まえて計画することが大切です。重要なイベントやプロジェクトを控えている場合は、治療期間中に支障がないか検討しましょう。

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2.【歯科矯正】マウスピース矯正のリスク

クリアリテーナー

マウスピース矯正は、目立たずに歯列矯正を受けられる非常に人気の高い矯正方法です。

 

食事も治療前のように食べられる上に、歯磨きも普通に行うことができます。しかしマウスピース矯正にも注意すべきリスクがいくつかあります。

2-1.痛みや不快感を覚えることがある

特にアライナー(マウスピース)をつけ始めの頃は、歯に痛みを感じることがあります。これは歯を移動し始めた圧力の違和感なので、一般的には数日で落ち着くことが多いです。また、定期的にアライナーを交換する際は、すでに歯槽骨が動いているため強い違和感はありません。

 

人によっては知覚過敏と似た症状になることもあります。これは、歯を移動している圧力で神経が敏感になるためです。特に冷たいものや硬い食べ物を噛んだときに起こりやすいですが、この症状もしばらくすると収まります。

 

 

装置が頬の内側に当たって口内炎になる人もいますが、装置が薄いためワイヤー矯正ほどのリスクはありません。

2-2.歯根吸収が発生することがある

言葉の通り、歯根が吸収されて短くなる症状を歯根吸収と呼びます。では歯根とは何を指すのでしょうか。人の歯は、歯肉や顎の骨に支えられて1本ずつ立っていて、歯肉に埋まっている部分を歯根と呼びます。この歯根が短くなることが“歯根吸収”です。

 

リスクとしては、程度によって歯の寿命に影響しますが健康な歯であれば多少は短くなっても問題はありません。しかも歯根吸収は、マウスピース矯正に限らずワイヤー矯正であっても可能性は同じです。

 

また、歯列矯正をしたからといって、必ず歯根吸収が起こるわけではありません。

2-3.虫歯や歯周病の治療で矯正が中断してしまうことがある

マウスピース矯正は取り外しができるメリットの反面、逆にリスクになることがあります。食事の時に取り外せるのはメリットですが、歯磨きせずに装着してしまうと虫歯になるリスクがあるのです。

 

特に外食時は、歯を磨かないまま装着してしまい、自宅に戻って歯磨きをする人がいます。これでは食べかすや歯垢が溜まりやすくなり、マウスピースも不衛生になります。歯磨きをしても、装置が不衛生では意味がありません。そのため、マウスピース矯正は食後はすぐに歯磨きをする必要がある矯正方法です。

 

もし、その場で磨けなかった場合は、歯磨きと同時に必ずマウスピースの洗浄も行う必要があります。

 

■参考記事:矯正中は虫歯や歯周病に要注意!虫歯治療と予防しやすい矯正装置とは

2-4.矯正治療期間と装着時間が長い

大人の歯列矯正は、子どもに比べて治療期間は長めにかかります。症状によって個人差がありますが、一般的に5カ月~3年ほどは必要です。

 

期間についてははワイヤー矯正も変わりませんが、マウスピースは1日20時間以上の装着が必要になります。基本的には、食事と歯磨き以外の時間はずっと装着しているというイメージです。ですから、治療期間中はしっかりとした自己管理が必要になります。

 

■参考記事:マウスピース矯正の期間|ワイヤーとの違いと短期間で終えるポイント

3.【歯科矯正】ワイヤー矯正の副作用とリスク

ワイヤー矯正の副作用とリスクについて解説します。まず、痛みや歯根吸収に関してはマウスピース矯正でご説明した内容と同じリスクがあります。

 

この章ではワイヤー矯正に特化した注意点について理解していただける内容になります。

3-1.発音が難しく感じることがある

ワイヤー矯正の治療中は、人によって話しにくい可能性があります。

 

ワイヤー矯正はブラケットという装置を歯の表面につけてワイヤーの力で歯を移動する治療法です。そして常にブラケットが唇や頬の裏に当たっているため、うまく話せないことがあります。

 

特に接客業の人や、会議の進行、結婚式のスピーチなどがある場合は予定を踏まえる必要があります。会話や発声が重要な場合は、マウスピース矯正を選択肢として考えると良いでしょう。

3-2.金属アレルギーのリスク

一般的なワイヤー矯正の装置はメタルブラケットとワイヤーで作られています。ですから、金属アレルギーの可能性がある人は注意が必要です。金属アレルギーを避けたい場合は、金属ではない審美ブラケットかマウスピース矯正が良いでしょう。

3-3.矯正装置が目立ちやすい

基本のワイヤー矯正は、歯の表面に装着する金属の装置が目立つ治療法です。歯並びを治したくて治療するはずが、目立つ装置がコンプレックスになるという人もいます。症状によっては治療が長期間になるため、2年間ならその期間はずっとワイヤーがあるということです。

 

ワイヤー矯正を受ける際は、仕事やイベントごとなどへの影響も想定して治療計画を立てることが大切です。

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4.【歯科矯正】舌側矯正(裏側矯正)の副作用とリスク

この章ではワイヤー矯正のひとつである、舌側矯正(裏側矯正)についての注意点になります。

 

舌側矯正とは、ブラケットを歯の裏側に装着してワイヤーを通す審美性の高い治療法です。装置が歯の裏にあるため、周りの目を気にすることなく歯列矯正を受けることができます。では、舌側矯正にはどのような注意点があるのでしょうか。

4-1.違和感を覚えることがある

舌側矯正は、通常の表側ワイヤー矯正とは少し違った違和感があります。

 

表側のワイヤー矯正は頬の裏に装置が当たりますが、舌側矯正は舌が装置にあたるイメージです。そのため、話しづらさや食べづらさについては、舌側矯正のほうが影響しやすいといえます。また、上顎が圧迫されている感覚があることもありますが、一般的には数週間ほどで慣れてきます。

 

あまりにも違和感が消えない場合は、歯科医師に相談して対応してもらいましょう。

4-2.舌が傷つく恐れがある

装置が常に舌と触れているため、食事や会話の際に舌が傷つくことがあります。一般的には、治療の開始からしばらくすると舌が動ける範囲に慣れることがほとんどです。

 

どうしても舌の違和感に慣れない場合は、ハーフリンガルを検討しても良いでしょう。笑うと目立つ上顎を舌側で、目立たない下顎を表側で行う歯科矯正をハーフリンガルといいます。下顎の装置に舌が当たらず動ける範囲も広がるため、傷つくリスクが減る可能性があります。

5.その他治療に関する注意点

矯正中に虫歯になる確率が高まる3つの理由

前の章では矯正方法の特徴ごとに注意点を説明しました。この章では、大人が歯列矯正を受ける際の全般的な注意点について解説します。

 

高額な費用と時間をかけて受けるのですから、しっかりときれいな歯並びを手に入れたいものです。そのためにも費用面だけでなく、きれいな歯並びを維持するための注意点も理解しておきましょう。

5-1.虫歯と歯周病のリスクがある

歯科矯正中は虫歯や歯周病のリスクが高まります。これは、矯正装置に食べ物が挟まりやすく歯磨きがしにくいからです。

 

特にワイヤー矯正の場合、治療期間中は取り外せないため意識的なケアが重要になります。ただし、矯正治療中は定期的に通院するため、虫歯がひどくなるリスクは多くありません。軽度の虫歯であれば装置をつけたまま治療できますが、位置によっては装置を外す可能性があります。

 

どうしても心配だという人は、取り外しができるマウスピース矯正を検討すると良いでしょう。

5-2.数十万円以上の費用がかかる

基本的には歯列矯正は高額な治療です。国の定める病気であれば保険が適用されますが、審美的な矯正治療はすべて自由診療になります。

 

治療方法や範囲によって費用は異なりますが、平均的な相場は以下の表をご確認ください。

矯正の範囲期間費用
マウスピース矯正上下・全体1年~3年80万円~100万円
マウスピース矯正上下・前歯中心5ヶ月~1年半10万円~70万円
ワイヤー矯正(表)上下・全体1年~3年60万円~100万円
ワイヤー矯正(表)上下・前歯中心1年前後20万円~40万円
ワイヤー矯正(裏)上下・全体1年~3年100万円~150万円
ワイヤー矯正(裏)上下・前歯中心1年前後35万円~60万円

※自由診療のため矯正歯科やクリニックによって同じ治療でも費用は異なります

 

■参考記事:矯正治療や使用装置で費用・相場は変わる?値段の仕組みと医療費控除

5-3.治療後も歯が元に戻る可能性がある

歯列矯正を受けるときに、自分の症状を踏まえて治療期間を調べると思います。しかし実際には、治療期間の後に後戻りさせないための保定という期間が非常に重要です。

 

後戻りとは、整った歯並びが元に戻ってしまう現象で、保定期間が歯列矯正の一部でもあります。終わったばかりの歯並びは、歯槽骨が柔らかいため元に戻ろうとしてしまうのです。後戻りしてしまうと、せっかくの高額な治療費と長かった時間が無駄になってしまいます。

 

矯正治療の後は、リテーナーという装置を使って歯の後戻りを防ぎます。「やっと長い矯正が終わった」と安心したいところですが、保定期間を過ごすことが大切です。

5-4.抜歯が必要になる可能性がある

基本的には歯が大きすぎたり、歯の本数が多かったりと顎のスペースが足りない場合に抜歯をします。

 

「健康な歯なのに抜きたくない」という人もいますが、通常は必要があって行う処置です。非抜歯で治療した結果、歯が並ぶスペースが足りずに出っ歯になってしまったケースもあります。ですから、お口の状態によっては非抜歯で治療を行うリスクもあるのです。

 

最近では非抜歯による矯正の技術も進化していますので、気になる場合は歯科医師に相談してみましょう。

6.副作用やリスクを回避するポイント

歯列矯正を受ける際は、事前に正しく知識を得ることでリスクを避けることが重要です。

 

リスクは費用に関する金銭面と、順調に治療を進めるための身体的な面に分かれます。いずれも治療を始める前に、しっかりと計画を立てておくことがポイントです。

6-1.信頼できる歯科医院で治療する

安心して歯科矯正を行うためには、歯科医院の技術面と患者さんの精神面の両面がポイントになります。最近では、初診料やカウンセリングを無料で行なっている歯科医院も多くあります。以下のポイントを十分に理解して、いくつかのクリニックで初診を受けて決めるのも有効です。

 

・レベルの高い歯科医師がいる

 

歯科医院には、一般歯科、歯科大学付属病院、歯科矯正専門医院(矯正歯科)の3つがあります。専門医ではなくても歯科矯正はできますが、ミリ単位の処置が要求される緻密な技術が必要な治療です。ですから、日頃から矯正治療を行なっている経験豊富な矯正歯科をおすすめします。

 

矯正歯科での注意点としては、虫歯治療や抜歯などの治療を行っていない専門医もいます。その場合は、提携している歯科医院での治療になるため事前に確認しておきましょう。

 

・精度の高い設備が整っている

 

リスクを減らして治療の完成度を高めるためには使用している設備も重要になります。

 

歯科矯正は以前に比べて、治療方法も増えて技術の精度も高くなっている治療です。また、事前の検査と診断を行う専用の機器もコンピュータ化して進化しています。そのため、治療のリスクを減らすためには高精度な検査と診断がとても大切なのです。

 

・患者さんとの相性も重要

 

歯科矯正は治療期間が長くかかることがあります。

 

事前の検査や治療中~治療後の保定期間など、患者さんは不安や疑問を持つかもしれません。医師の経験や知識はもちろん大切ですが、安心して相談できる信頼関係もリスクを減らすポイントです。

 

■参考記事:失敗しない矯正歯科医院の選び方とは?一般歯科と専門医院の違い

6-2.治療計画を事前に立てて守る

リスクを減らして歯列矯正を行うためには、しっかりと治療計画を立てつことが重要です。

 

・費用面の計画

 

ホームページの表示価格は、歯科医院によって総額の場合と装置だけの場合があります。仮に矯正装置だけの表示だと、初診料+診断料+調整料+保定料+保定管理料などが加算されます。するとトータルで支払う金額がわからず、金銭的なリスクが大きくなる可能性があるのです。

 

費用面のリスクを避けたい場合は、トータルフィー方式を行なっている歯科医院を選ぶと良いでしょう。トータルフィー方式は、追加料金の無い総額表示のため治療計画を立てやすい支払いシステムです。また、デンタルローンを利用して分割で支払うとまとまった負担を避けることもできます。

 

・治療方法の計画

 

ワイヤー矯正かマウスピース矯正かを決める際は、自分に合った治療方法がリスクを減らすポイントです。

 

接客業なら目立たない上に、会話に影響しないマウスピース矯正が最適です。また、1日20時間以上の装着を守る自信がない人はワイヤー矯正が良いかもしれません。管理を行えないと虫歯になったり、治療が予定通り進まなかったりするリスクがあります。

 

治療方法を決める際は、自分に向いているものを選ぶようにしましょう。

 

・治療期間の計画

 

歯列矯正は、基本的に長期間になることが多い治療です。そして治療のリスクを減らすためには、計画通りに歯列を整えることが重要になります。

 

長期的なプランで、引越しなどで生活が変わる予定がある場合は提携している歯科医院があると安心できます。転勤や結婚などが想定されるときは、気軽に歯科医院へ問い合わせてみましょう。

7.大人でも安全に歯列矯正を受けられる「まとめ」

自分の歯並びに合わせた矯正方法で短期間に終わらせよう

大人であっても、歯列矯正は危険ではないということがおわかりいただけたでしょうか。

 

歯列矯正は子どもでも大人でも少なからずリスクを伴う治療です。大切なことは、治療方法によって異なる特徴を知ることでリスクを避けられるということです。その結果、もし治療中に問題があってもきちんと対処できるため危険なことはありません。

 

歯列矯正を受ける際は、当記事を参考にしっかりと計画を立てましょう。

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