- この記事の監修者
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歯科医師。医療法人社団ピュアスマイル理事長。インビザライン ブラックダイヤモンドドクター。インビザライン世界サミット23万人いるインビザラインドクターの中からトッププロバイダーの1人に選出。
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「矯正治療をしているのに、前歯が前に出てきた気がする」
「矯正したあと、出っ歯になったように見える」
こうした不安や違和感を抱く方は少なくありません。
実際、矯正治療中や治療後には、見た目の変化や歯の動きによっては一時的に“出っ歯になったように感じる”ことがあるのも事実です。
本記事では、矯正によって出っ歯になる原因・見分け方・正しい対処法、そして予防のポイントまでを歯科的な視点でわかりやすく解説します。
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- 1. 矯正が原因で出っ歯になることはある?
- 2. 矯正で出っ歯になったと感じる理由
- 2-1. 治療による口元の変化に敏感になるため
- 2-2. 装置の影響で唇が閉じにくいため
- 2-3. 写真や鏡の角度によって前歯が強調されて見えるため
- 2-4. 表情筋の使い方が変わったため
- 3. 矯正治療中に出っ歯になった原因
- 3-1. スペース不足のまま歯を並べてしまった
- 3-2. 歯列を拡大した影響でアーチ全体が前方へ広がった
- 3-3. 前歯を前方に動かす工程があるため
- 3-4. 下顎が先に動き、前歯が前に出たように見える
- 4. 矯正後に出っ歯になった原因
- 4-1. 骨格の問題を見落としていた
- 4-2. 本来必要な抜歯をせずに非抜歯で進めた
- 4-3. 治療計画や適応判断のミス
- 4-4. 後戻りが起きたため
- 5. 矯正で出っ歯になったと感じたときの対処法
- 5-1. まずは自分の状態を確認する
- 5-2. 担当医に相談する
- 5-3. 状態が改善しない場合はセカンドオピニオンへ
- 5-4. 再矯正が必要になるケースの目安
- 6. 矯正治療で出っ歯にならないためのポイント
- 6-1. 信頼できる医院を選ぶことが最重要
- 6-2. 保定装置(リテーナー)を徹底する
- 6-3. 定期チェックを受ける
- 6-4. 日常でできるクセを改善する
- 7. まとめ|出っ歯かな?と感じたら、まずは信頼できる歯科医に相談しよう
1. 矯正が原因で出っ歯になることはある?

「矯正したのに出っ歯になった気がする」
「治療中なのに前歯が前に出てきたように見える」
こうした不安は、実は矯正治療中・治療後の多くの患者さんが感じるものです。
結論から言うと、矯正が原因で出っ歯に見えること、また実際に出っ歯になってしまうことはあります。ただし、その背景には大きく分けて次の2つのパターンがあります。
① 治療の途中で、一時的に出っ歯っぽく見えているだけのケース
② 治療計画や適応の問題により、実際に出っ歯になってしまっているケース
この2つは見た目が似ていても、意味合いや対処法が大きく異なります。
そのため、「出っ歯に見える=失敗」と焦らず、まずはどちらに当てはまるのかを冷静に見極めることが大切です。

そもそも歯科医学的にいう「出っ歯」とは、主に上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼ばれる状態を指します。これは、上の前歯、あるいは上顎全体が前方に突出している噛み合わせのことです。
ただし、骨格(上顎の位置や下顎の成長)や唇の厚みには個人差があるため、「ここからが出っ歯」と明確に線引きできるものではありません。
一方で、自然に口を閉じにくい状態が続く、あるいは横顔で唇の前突が強く気になるといった変化を感じる場合は、治療の進行状況やゴール設定を一度確認しておくと安心です。
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2. 矯正で出っ歯になったと感じる理由

矯正治療中は、歯や口元が少しずつ変化していくため、実際以上に前歯が目立って見えることがあります。
ここでは、治療自体に問題がなくても「出っ歯になった」と感じやすい主な理由を分かりやすく解説します。
2-1. 治療による口元の変化に敏感になるため
矯正治療を始めると、多くの患者さんは自分の歯や口元の変化に強く意識が向くようになります。以前より頻繁に鏡を見るようになったり、横顔や口元を写真で確認したりする機会が増えるのは、ごく自然な反応です。
その結果、実際には大きな変化がなくても、わずかな前歯の角度や位置の変化を「前に出た」と感じやすくなる傾向があります。
矯正中は歯が動いている途中段階であるため、完成形とは異なる一時的な見え方になることも少なくありません。
つまり、「出っ歯になった気がする」と感じる背景には、歯の問題そのものではなく、治療によって口元への意識が高まっていることが関係しているケースも多いのです。
2-2. 装置の影響で唇が閉じにくいため
矯正治療を始めると、装置の装着や歯の位置変化によって、唇が閉じにくくなると感じることがあります。口を閉じるときに以前より力が必要になったり、唇が前歯に引っかかるような違和感が出たりすることも珍しくありません。
こうした変化により、実際以上に前歯が前に出ているように感じてしまうことがあります。
特に治療初期は、唇や口周りの筋肉が装置に慣れていないため、「口が閉じづらい=出っ歯になった」という錯覚が起こりやすい時期です。
多くの場合、装置や歯の位置に唇が徐々に慣れてくると、この違和感は軽減していきます。治療途中の一時的な変化であることも多いため、過度に心配しすぎないことが大切です。
2-3. 写真や鏡の角度によって前歯が強調されて見えるため
前歯の見え方は、写真や鏡を見る角度、光の当たり方によって大きく変わります。少し下から撮った写真や、口元に影ができやすい環境では、実際以上に前歯が前に出ているように見えてしまうことがあります。
また、スマホで至近距離から撮影すると、レンズの特性によって口元が強調されやすく、横顔や唇の前突が誇張されて写ることも少なくありません。その結果、歯が実際に前方へ大きく動いていなくても、「出っ歯になった気がする」と感じやすくなります。
矯正治療中は見た目の変化に敏感になりやすいため、写真や鏡の印象だけで判断せず、気になる場合は歯科医師による客観的な評価を受けることが安心につながります。
2-4. 表情筋の使い方が変わったため
矯正治療中は、装置の違和感や噛み合わせの変化により、無意識のうちに唇や口周りの筋肉(表情筋)の使い方が変わることがあります。たとえば、口を閉じるときに力が入りやすくなったり、唇を前方へ突き出すような動きが癖になるケースも少なくありません。
その結果、歯の位置自体は大きく変わっていなくても、口元全体が前に押し出されたように見えることがあります。これはあくまで筋肉の使い方の変化による見た目の印象であり、実際に前歯が前方へ移動しているわけではないことがほとんどです。
治療が進んで装置に慣れてくると、表情筋の緊張が和らぎ、口元の印象も自然に落ち着いてくるケースが多いため、過度に心配しすぎる必要はありません。
3. 矯正治療中に出っ歯になった原因

前章で紹介したように、矯正治療中は「出っ歯になったように感じるだけ」のケースも少なくありません。
しかしなかには、治療の進め方や設計によって、実際に前歯が前方へ移動してしまうケースも存在します。
ここからは、矯正治療中に出っ歯のような状態が生じてしまう原因について、具体的に解説していきます。
3-1. スペース不足のまま歯を並べてしまった
特に非抜歯矯正では、もともと歯が並ぶためのスペースが不足している状態で治療を進めると、行き場を失った歯が前方へ押し出されてしまうことがあります。
歯列のなかで最も動きやすいのは前歯のため、十分な余白が確保されていないまま整列を行うと、前歯が前に倒れるように傾斜し、治療途中で出っ歯の状態になってしまうケースが見られます。
このようなトラブルは、「本当に非抜歯で対応できる症例かどうか」という診断が曖昧なまま治療を始めた場合に起こりやすいのが特徴です。
見た目の歯並びだけで判断し、骨格や歯列全体のバランスを十分に検討しないまま非抜歯を選択すると、結果として口元が前に突出した印象になってしまうことがあります。
3-2. 歯列を拡大した影響でアーチ全体が前方へ広がった
拡大矯正や非抜歯矯正、マウスピース矯正では、症例によって歯が並ぶスペースを確保するために、歯列の横幅を広げたり、奥歯を後方へ移動させたりする方法が用いられます。これらは適切にコントロールされていれば問題ありません。
しかし、必要以上に歯列を拡大してしまうと、歯列全体のアーチが前方へ広がる形になり、結果として前歯の角度が前寄りになります。
その影響で、前歯が実際以上に突出したように見え、「出っ歯になった」と感じてしまう原因になることがあります。
特に、拡大量の限界や前歯の傾斜角(トルク)を十分に考慮せずに治療を進めた場合、見た目の歯並びは整っていても、口元のバランスが崩れてしまうことがあります。
歯列拡大は有効な手段である一方、顔貌との調和を考えた繊細なコントロールが欠かせません。
3-3. 前歯を前方に動かす工程があるため
矯正治療では、最終的に前歯を後方へ下げる計画であっても、治療の途中段階で一時的に前歯を前方へ動かす工程が含まれることがあります。これは治療の失敗ではなく、歯を正しい位置に並べるために必要なステップとして行われるものです。
特にマウスピース矯正では、動きやすい前歯から変化が起こりやすいため、治療初期に「前歯が前に出てきた」と感じやすい傾向があります。この段階だけを見ると出っ歯になったように見えても、計画通りであれば最終的に前歯は適切な位置へ戻されます。
ただし、前歯の傾斜が想定以上に強くなっている、口元の突出感が明らかに増しているといった場合は注意が必要です。
そのような変化が見られるときは、治療計画や歯の動かし方を一度見直すべきサインと考え、早めに担当医へ相談することが大切です。
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3-4. 下顎が先に動き、前歯が前に出たように見える
矯正治療中は、歯そのものが前に動いていなくても、下顎の位置(顎位)が後方にズレることで、相対的に上の前歯が前に出たように見えることがあります。これは噛み合わせの変化によって顎の位置関係が一時的に変わることで起こる現象です。
また、上下の歯を抜歯して治療を進めている場合、下顎側の隙間が先に閉じ、その後に上顎の隙間が閉じていくという治療の流れになることが少なくありません。その過程では、一時的に上の前歯だけが前に出ているように見える時期が生じやすくなります。
このような変化は、歯の移動そのものではなく顎の位置や治療工程による一時的な見え方の問題であり、矯正治療の途中では比較的よく見られるものです。
治療計画どおりに進んでいる場合は、最終的に噛み合わせと前歯の位置は調整されていくため、過度に心配する必要はありません。
4. 矯正後に出っ歯になった原因

矯正治療が完了したにもかかわらず、「出っ歯になった気がする」「思っていた口元と違う」と感じるケースもあります。
治療後に起こる違和感は、治療中の一時的な変化とは異なり、治療計画や診断、保定の問題が関係していることが少なくありません。
ここでは、矯正後に出っ歯になったと感じる主な原因を解説します。
4-1. 骨格の問題を見落としていた
矯正後に出っ歯になったと感じる原因で特に多いのが、骨格的な問題を十分に診断できていなかったケースです。
もともと上顎が前に出ている骨格性上顎前突や、下顎が後方に位置するタイプでは、歯並びだけを整えても口元の突出感が残りやすくなります。
本来は、上顎と下顎の前後関係、顔全体のバランス、唇と前歯の位置関係まで含めて、セファロ分析(側面レントゲン)などの精密検査で評価する必要があります。
しかし診断が歯のガタつきだけに偏ってしまうと、骨格の不調和を無視した治療になり、結果として歯は整ったのに出っ歯に見える仕上がりになってしまうことがあります。
矯正後の口元トラブルを防ぐには、歯並びだけでなく骨格を含めた診断が行われているかが非常に重要です。
4-2. 本来必要な抜歯をせずに非抜歯で進めた
出っ歯を改善するためには、前歯を後方へ下げるための十分なスペースが確保できるかどうかが重要です。
にもかかわらず、スペースが明らかに不足している状態で抜歯を行わずに治療を進めると、歯の行き場がなくなり、結果として前歯が前に倒れる(前傾)・歯列全体が前方へ広がる・口元がもったりして見える、といった状態になりやすくなります。
これは非抜歯矯正そのものが悪いわけではありません。
問題なのは、非抜歯では対応できない症例にもかかわらず、その選択をしてしまった点にあります。骨格や歯の大きさ、歯列弓の形態によっては、抜歯によってスペースを確保した方が、自然でバランスの取れた口元に仕上がるケースも少なくありません。
出っ歯にならないためには、「抜歯したくない」という希望だけで治療法を決めるのではなく、骨格・歯列に本当に適した方法かどうかを慎重に見極めることが大切です。
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4-3. 治療計画や適応判断のミス
歯列矯正を行ううえで、経験を積んだ信頼できる専門医による診断と治療計画は非常に重要です。
治療開始前の段階で適応を正しく見極められていなければ、どれだけ時間をかけても、治療後に不満が残ります。矯正治療は、単に歯をきれいに並べるだけの治療ではありません。
骨格(顎の前後・上下の位置関係)、歯列の大きさと形、唇の厚みや閉じやすさ、顔全体のバランス(特に横顔のEライン)、さらに下顎の動きや噛み合わせのクセまで含めて、総合的に評価したうえで治療法を選択する必要があります。
こうした判断が不十分なまま治療を進めてしまうと、本来は下げるべき前歯が十分に後退せず、逆に前方へ押し出されてしまうケースもあります。
その結果、「矯正したのに出っ歯になった」と感じてしまう仕上がりにつながることがあるため、治療計画の精度と医師の経験値は、仕上がりを左右する大きな要因といえます。
4-4. 後戻りが起きたため
矯正治療後に「出っ歯になった」と感じる原因として、最も多いのが後戻りです。
特に出っ歯を改善する治療では、前歯を後方へ下げるために強い力をかけているため、その反動で元の位置に戻ろうとする力が働きやすいという特徴があります。
矯正装置を外した直後から約1年ほどは、歯がまだ安定しておらず非常に動きやすい状態です。
この時期にリテーナーを正しい期間・時間装着できていないと、後戻りが起こりやすく、前歯が再び前に出て出っ歯が強調される可能性が高くなります。一般的に、保定期間は矯正にかかった期間と同程度が必要とされています。
また、後戻りの原因として見落とされがちなのが、生活習慣や筋機能の問題です。
舌で前歯を押すクセ(舌癖)や口呼吸が残っていると、矯正後も前歯に継続的な力がかかり、再び前方へ移動してしまいます。
後戻りは、矯正が失敗したから起こるものではなく、誰にでも起こり得る自然な現象です。だからこそ、適切なリテーナーの選択と十分な保定期間の確保、舌や口周りのクセの改善、そして定期的なチェックを継続することが、出っ歯の再発を防ぐために欠かせません。
5. 矯正で出っ歯になったと感じたときの対処法

矯正中・矯正後に「出っ歯になったかも?」と感じた場合、自己判断で不安を膨らませてしまうのは禁物です。実際には一時的な変化や見え方の問題であることも多く、原因を正しく切り分けることで適切な対応ができます。
ここでは、出っ歯になったと感じたときの対処法を順番に解説します。
5-1. まずは自分の状態を確認する
「出っ歯になった気がする」と感じる場合でも、見た目の錯覚によるものなのか、実際に前歯が前方へ動いているのかで対応は大きく変わります。
まずは、自分がどちらの状態に当てはまるのかを冷静に整理することが重要です。
🔷様子見でOKな状態
矯正治療の初期〜中期では、治療計画の一環として前歯が先に動くことがあります。また、矯正を始めたことで口元の変化に敏感になり、表情筋の使い方や唇の閉じ方が変わった影響で、実際以上に前歯が出ているように感じるケースも少なくありません。
このような場合は、治療の進行とともに自然に解消することが多く、過度に心配する必要はありません。
🔶注意が必要なサイン
前歯の傾きが明らかに前方へ倒れてきている、治療計画に「前歯を後ろへ下げる工程」が含まれていない、矯正が完了したにもかかわらず出っ歯が残っている・悪化している、といった場合は注意が必要です。
また、リテーナーの装着をサボっていた期間がある場合も、後戻りによって出っ歯が強調されている可能性があります。
これらに当てはまる場合は、再矯正や治療計画の見直しが必要なサインと考え、早めに担当医へ相談することが大切です。
5-2. 担当医に相談する
出っ歯になった気がして不安を感じたときは、自己判断せず、担当医に現在の歯の位置を確認してもらうことが最も重要です。
矯正治療では、見た目が一時的に変化する工程が含まれることも多く、患者さん自身では「問題がある変化」なのか「計画通りの途中経過」なのかを判断するのは難しいためです。
確認しておきたいポイントは次のとおりです。
✅まず、今の見た目が治療工程上の一時的なものなのか。前歯を並べるために、あえて先に前方へ動かしている段階であれば、過度に心配する必要はありません。
✅次に、最終的に前歯をどの位置に収める計画なのか。特に非抜歯矯正の場合は、前歯を後ろへ下げるためのスペースが十分に確保されているかが重要です。
✅あわせて、治療計画どおりに歯が動いているか、想定より前歯の傾斜が強くなっていないかも確認してもらいましょう。
不安を感じたタイミングで確認することは、決して迷惑ではありません。
むしろ早めに相談することで、必要があれば微調整ができ、治療後の後悔を防ぐことにつながります。
5-3. 状態が改善しない場合はセカンドオピニオンへ
治療の途中で出っ歯に見える状態が3〜6ヶ月経っても改善しない、あるいは担当医の説明に納得できない場合は、別の矯正専門医に意見を求める(セカンドオピニオン)ことを検討しましょう。
特に、もともと出っ歯ではなかったのに、矯正治療によって前歯が前に出てきたように感じる場合は注意が必要です。適応診断の不足や治療計画の見直しが十分に行われていないなど、判断力や経験の差による影響の可能性があります。
セカンドオピニオンでは、現在の歯の位置や骨格バランス、前歯の傾斜、今後の修正が可能かどうかを客観的な視点で評価してもらえます。治療を続けるか、計画を修正するかを冷静に判断するためにも、不安を抱えたまま進めず、早めに別の専門家の意見を確認することも大切です。
5-4. 再矯正が必要になるケースの目安
次のような状態に当てはまる場合は、治療計画そのものを見直し、再矯正が必要になる可能性が高いと考えられます。
🔵歯を並べるためのスペースが明らかに不足しており、非抜歯のまま歯列が前方へ広がってしまっている
🔵前歯の角度が過度に前傾し、後退させる工程が十分に組み込まれていない
🔵奥歯が後方に動いておらず、前歯だけで帳尻を合わせる治療になっている
🔵マウスピース矯正で本来必要な「前歯の後退」が実現できていない
🔵骨格的な問題(上顎前突・下顎後退など)を治療計画に反映できていない
骨格の問題が強い場合は、矯正単独では限界があり、外科矯正を併用することもあります。
また、後戻りが原因で再矯正が必要になった場合は、同じ医院に相談することで、保証制度などにより費用を抑えられるケースもあります。
一方で、診断や治療計画の不備・経験不足が原因と考えられる場合は、同じ医院にこだわらず、実績のある矯正専門医へセカンドオピニオンを求めた方がよいかもしれません。
🔷再矯正が必要になった場合の期間と費用の目安
治療期間:追加で1〜2年程度かかることがある
費用:数十万円〜100万円以上
実際の期間や費用は症例によって大きく異なるため、必ず担当医、または矯正専門医と十分に相談したうえで判断することが重要です。
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6. 矯正治療で出っ歯にならないためのポイント
矯正治療で「出っ歯になった」と後悔しないためには、治療前の判断と治療後の管理が非常に重要です。
ここでは、治療中・治療後に出っ歯を防ぐために意識したいポイントを解説します。
6-1. 信頼できる医院を選ぶことが最重要

矯正で出っ歯になってしまうトラブルの多くは、治療前の医院選びの段階で防ぐことが可能です。矯正治療の仕上がりは、装置の種類よりも診断力と治療計画の精度によってほぼ決まります。
特に出っ歯の改善や予防では、単に歯を並べるだけでなく、骨格の前後関係・前歯の角度(トルク)・歯列の大きさ・口元や横顔のバランスまで総合的に判断する必要があります。そのため、医院選びは出っ歯を防ぐうえで最も重要なポイントになります。
信頼できる医院を見極める目安として、以下の点を確認しておくと安心です。
✅セファロ分析(側面レントゲン)による骨格診断を行っているか
歯並びだけでなく、上顎・下顎の前後関係や横顔(Eライン)まで評価しているかが重要です。
✅抜歯・非抜歯の判断理由を論理的に説明してくれるか
「非抜歯でいけます」といった曖昧な説明ではなく、なぜその選択になるのかを明確に説明できる医師が理想です。
✅仕上がりの横顔イメージまで提示してくれるか
歯並びだけでなく、治療後の口元や顔貌の変化まで共有してくれる医院は信頼性が高いといえます。
✅マウスピース矯正をAI任せにしていないか
AIによるシミュレーションは便利ですが、医師が前歯の角度やスペース配分を細かく調整しているかが非常に重要です。
✅複数の矯正方法に対応しているか
ワイヤー矯正・裏側矯正・マウスピース矯正など、幅広い選択肢を持ち、症例に応じて最適な方法を提案できる医院が望ましいです。
矯正治療で後悔しないためには、「どの装置を選ぶか」よりも、誰に診断してもらうかが結果を大きく左右します。出っ歯を防ぐ第一歩として、診断力の高い医院選びを最優先に考えましょう。
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6-2. 保定装置(リテーナー)を徹底する

リテーナーと呼ばれる保定装置の装着は、後戻りを防ぐうえで最も重要なポイントです。
矯正治療後に「出っ歯になった」と感じるケースの多くは、治療の失敗ではなく、保定不足による後戻りが原因となっています。
矯正直後の歯は、見た目が整っていても骨や歯周組織がまだ安定しておらず、元の位置へ戻ろうとする力が非常に強い状態です。特に、前歯を後ろへ下げた症例や、口元のバランスに敏感なケースでは、わずかな後戻りでも前突が強調されやすくなります。
そのため、 医師から指示された装着時間を必ず守ること・「もう大丈夫だろう」と自己判断で装着をやめないことが、仕上がりを維持するうえで欠かせません。
また、
✔ リテーナーがきつい、痛みが出る
✔ 装着時に違和感が強い
✔ 歯が動いている感覚がある
といった変化を感じた場合は、後戻りのサインである可能性があります。
そのまま様子を見るのではなく、早めに歯科医院へ相談することで、大きなズレや再矯正を防げる可能性が高まります。
矯正治療は、装置を外した時点で終わりではありません。保定期間まで含めて治療と考え、リテーナーを正しく使い続けることが、出っ歯を防ぎ、理想的な口元を長く保つための鍵になります。
6-3. 定期チェックを受ける

矯正後に出っ歯にならないためには、定期的な通院でプロの目によるチェックを受けることが基本です。
自分では気づきにくいわずかな変化も、歯科医師であれば早い段階で察知できます。
定期チェックでは、
✅前歯が前に傾いてきていないか
✅リテーナーが適切にフィットしているか
✅舌癖や口呼吸の影響が出ていないか
✅噛み合わせが悪い方向へ変化していないか
といった点を総合的に確認します。こうしたチェックを継続することで、小さなズレのうちに調整ができ、悪化を未然に防ぎやすくなります。
通院頻度の目安は、3ヶ月〜半年に1回程度が一般的です。
ただし、
「前歯の位置が気になる」
「リテーナーが合わない気がする」
といった違和感がある場合は、期間を待たず早めに相談することが大切です。
6-4. 日常でできるクセを改善する

出っ歯の悪化や再発には、普段のクセや何気ない生活習慣が大きく影響します。
矯正治療が順調に進んでいても、これらのクセが残っていると、前歯が再び前方へ押し出されてしまうことがあります。
ここでは、今日から意識できる予防ポイントを整理します。
①舌の位置を正しくする
安静時の舌は、上顎の前歯の少し後ろ(スポット)に軽く触れているのが理想です。舌が下に落ちていたり、前歯に触れている状態が続くと、前歯を前方へ押す力がかかりやすくなります。
②口呼吸をやめ、鼻呼吸を基本にする
口呼吸は、唇や舌の筋肉のバランスを崩し、前歯が前に出やすい環境を作ります。日中・就寝時ともに鼻呼吸を意識することが、出っ歯予防につながります。
③頬杖・横向き寝・うつ伏せ寝を避ける
顎に偏った力が加わる姿勢は、歯や噛み合わせのズレを招きます。特に長時間同じ姿勢を続けるクセがある場合は注意が必要です。
④食いしばり・歯ぎしりの改善を意識する
無意識の食いしばりや歯ぎしりは、歯に強い力をかけ続ける原因になります。日中は上下の歯を軽く離す意識を持ち、必要に応じてナイトガードの使用も検討しましょう。
⑤舌を前歯で押すクセをなくす
会話中や飲み込みの際に舌で前歯を押すクセがあると、後戻りや出っ歯再発のリスクが高まります。必要に応じて、MFT(口腔筋機能療法)で舌や口周りの使い方を改善するのも有効です。
矯正後の歯並びを守るためには、装置や通院だけでなく、日常のクセを見直すことが欠かせません。小さな意識の積み重ねが、出っ歯の再発を防ぎ、安定した仕上がりにつながります。
7. まとめ|出っ歯かな?と感じたら、まずは信頼できる歯科医に相談しよう
矯正治療中・治療後に「出っ歯になった気がする」と感じるケースには、治療途中の一時的な見た目の変化と、実際に前歯が前方へ動いてしまっている場合の2つがあります。ただし、どちらに当てはまるのかを自己判断することは難しいです。
出っ歯に見える原因は、歯の動きだけでなく、骨格、顎の位置、唇や表情筋の変化、保定状況などが複雑に関係しています。
そのため、違和感や不安を覚えたときは、信頼できる矯正歯科で専門的な評価を受けることが、最も確実な解決策です。
矯正による出っ歯は、適切な診断と治療計画、治療中・治療後の徹底した管理によって予防できます。
また、早い段階で気づければ、治療方針の見直しや調整による軌道修正も可能です。少しでも気になる変化があれば早めに相談することが、後悔しない矯正治療につながります。
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