大人の歯科矯正、費用はどれくらいかかる？治療方法別の費用相場や支払い方法をわかりやすく解説！

歯科矯正を考えている方にとって、一番気になるのは「どのくらいの費用がかかるの？」という点ではないでしょうか？矯正治療は決して安くはありませんが、歯並びや噛み合わせが整うことで得られるメリットは大きいです。

この記事では、大人向けの歯科矯正の費用について治療方法や支払い方法、医療費控除についてもわかりやすくまとめました。ご自身に合った矯正方法を選ぶための参考にしてくださいね！

歯科矯正の費用は治療方法や矯正範囲によって異なります。部分矯正と全体矯正では費用に大きな差がありますので、それぞれの相場を見ていきましょう。

部分矯正は、前歯だけなど特定の部分に焦点を当てて治療する方法です。例えば、前歯のすき間を治したい場合などに向いています。比較的費用が安く治療期間も短いのが特徴ですが、噛み合わせの改善には向きません。

部分矯正の利点は、短期間で目立つ部分だけを治療できることです。例えば、「前歯が少しだけずれている」「一部の歯の位置を整えたい」という方には最適です。
しかし、全体の噛み合わせを改善することができないため、治療後に他の部分の歯並びに影響が出る可能性があります。相談時に自分の希望をしっかりと伝えて、部分矯正が適しているか確認することが大切です。

全体矯正は、奥歯も含めて歯列全体を調整する治療方法です。歯並びと一緒に噛み合わせも改善したい場合におすすめです。部分矯正よりも費用と治療期間がかかりますが、長期的な健康への影響を考えると、全体矯正を選ぶ方も多いです。

全体矯正の大きな魅力は、噛み合わせまでしっかりと整えられることです。噛み合わせが悪いと顎関節に負担がかかりやすく、頭痛や肩こり、腰痛などを引き起こすことがあります。全体矯正によって噛み合わせが良くなると、これらの不調が改善されるケースも少なくありません。また、矯正をすることで歯並びが整い、歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクも減らせます。

どちらが自分に合うかは、歯科医師と相談して決めましょう。

矯正の方法にはいくつか種類があり、それぞれに特徴や費用の違いがあります。以下の代表的な方法を紹介します。

透明で目立たないマウスピースを使用して歯を動かす方法です。部分矯正なら10万円〜40万円、全体矯正では60万円〜100万円が相場です。見た目が自然で若い世代に人気がありますが、治療の進行には注意が必要です。

マウスピース矯正のメリットは、透明なため矯正中であることが他人からほとんど気づかれないことです。仕事や日常生活で見た目を気にする方にとっては大きな利点です。また、取り外しが可能なため、食事や歯磨きがしやすく、口腔内を清潔に保ちやすいという点もポイントです。

一方で、自己管理が必要で、マウスピースを決められた時間着用しないと効果が出にくいというデメリットもあります。また、歯の動きに合わせて何度も新しいマウスピースを作成するため、そのたびに費用がかかることも考慮しておく必要があります。

歯の表面にワイヤーを取り付けて行う方法です。長い歴史があり、様々な症例に対応できます。部分矯正の場合は30万円〜60万円、全体矯正では60万円〜130万円が目安です。見た目が気になる方には、目立ちにくいワイヤーも選べます。

表側矯正のメリットは、特に大きく歯を動かす必要がある場合や、複雑な歯並びのケースに適していることです。最近では、透明な素材を使用したブラケットや白いワイヤーを使うことで、矯正器具の目立ちにくさを追求した治療法もあります。

デメリットとしては、やはり矯正装置が見えることです。矯正治療中は笑顔を控えてしまうという方もいますが、目立ちにくい装置を選ぶことでその心配を減らすことが可能です。

歯の裏側にワイヤーを取り付けるため、矯正していることが他人にわかりにくいのがメリットです。費用は高めで、40万円〜170万円が相場です。高度な技術が必要なため、導入しているクリニックも限られます。

裏側矯正の最大のメリットは、矯正装置が全く見えないことです。特に接客業や人前に出る仕事をしている方には人気があります。また、舌側に装置を付けるため、舌の動きが鍛えられ、発音が良くなるという効果も期待できます。

ただし、装置が舌に当たることで話しづらくなることや、舌に違和感を感じやすいというデメリットもあります。また、歯科医師の技術力によって治療の精度が大きく左右されるため、裏側矯正を得意とするクリニックを選ぶことが重要です。

上の歯を裏側矯正、下の歯を表側矯正する方法です。見た目が目立ちにくく、費用を抑えられるのが特徴です。部分矯正の場合は35万円〜65万円、全体矯正は65万円〜135万円です。

ハーフリンガル矯正は、裏側矯正のメリットである「見た目が目立たない」という点と、表側矯正の「費用を抑えやすい」という点を組み合わせた方法です。上の歯は特に見えやすいため、そこを裏側で矯正し、下の歯は表側でリーズナブルに治療を行うスタイルです。

デメリットとしては、部分的に表側矯正を行うため、完全に装置が見えないわけではないことや、裏側矯正に比べて装置の管理が複雑になることがあります。また、費用が完全に安くなるわけではないので、あらかじめクリニックで見積もりを取ることが大切です。

矯正治療には、治療前・治療中・治療後にそれぞれ費用がかかります。以下にその内訳を詳しく紹介します。

・精密検査費：0円～3万円

・虫歯治療や抜歯費用：2,000円～3万円

矯正を始める前に精密な検査を行い、虫歯や歯周病があれば治療します。これらの治療は保険が適用されることが多いですが、矯正のための抜歯は自費になります。

・矯正装置の費用：30万円～150万円

・通院費：3,000円～5,000円/回

矯正装置の種類により費用が異なります。通院費用も積み重なるので、事前に確認しておきましょう。通院頻度は、装置のタイプや治療の進行状況によって異なります。特にワイヤー矯正では月1回程度の調整が必要ですが、マウスピース矯正では2〜3ヶ月に1回程度の通院で済むこともあります。

・リテーナー費用：3万円～6万円

・保定観察費：3,000円～4,000円/回

矯正後は、リテーナーを使って歯の位置を固定します。これを怠ると歯並びが元に戻ってしまうので、しっかりと通院しましょう。リテーナーは固定式のものと取り外し式のものがあり、どちらが適しているかは歯科医師と相談して決めます。

保定期間は一般的に1〜2年が目安ですが、ケースによってはさらに長く必要な場合もあります。リテーナーの管理がしっかりできないと、せっかく治療で整った歯並びが後戻りしてしまうリスクが高まりますので、注意が必要です。

歯科矯正の費用は高額になりがちですが、クリニックごとに支払い方法が異なります。支払い方法は、治療の進行に合わせて柔軟に選べることが多く、以下の2つの方法が一般的です。

治療前に全体の費用を見積もって支払う方式です。治療前の診断で治療計画を立て、総額を決めてから支払いを行います。この方法では、治療後に追加費用がかかりにくいので安心です。例えば、トータルフィー制を採用しているクリニックでは、検査費や通院費も含めた一括料金が提示されることが多いです。

トータルフィー制のメリットは、費用があらかじめ明確になるため、予算を組みやすい点です。大きな出費が一度に発生するため、デンタルローンを利用する患者さんも多いです。また、リテーナーの費用や通院費が含まれている場合が多く、追加料金の心配が少ないことがポイントです。

一方で、デメリットとしては、治療を途中で中断した場合でも全額支払う必要があることや、通院回数が少なくても払い戻しがない点があります。治療前に「リテーナー代は含まれているか」「追加治療は発生しないか」などをしっかり確認することが大切です。

治療の進行に合わせてその都度支払う方式です。矯正前・矯正中・矯正後の各段階ごとに費用を支払うスタイルで、総額が分かりづらい一方で、治療期間が短ければ費用を抑えやすいメリットもあります。

この方式では、カウンセリングや精密検査、虫歯治療などの初期費用を支払い、その後、矯正装置の費用や通院ごとの調整費用をその都度支払います。例えば、初診時に3万円、装置装着時に50万円、調整費として1回ごとに5,000円など、段階的に支払いが発生します。

メリットとしては、途中で治療を中断した場合に未発生の費用を支払わなくて済むことや、治療が短期間で終了した場合に費用を抑えられる点があります。

デメリットは、毎回支払いが必要なため、支出が管理しにくく最終的な総額がわかりにくいことです。

矯正治療は高額な費用がかかりますが、医療費控除を利用することで、節税効果を得られる場合があります。特に噛み合わせの改善を目的とした矯正治療では、医療費控除が適用されることが多いです。

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額（10万円または総所得金額の5％のいずれか少ない方）を超えた場合、その超えた分を所得から控除できる制度です。これにより、課税対象となる所得が減り、最終的には所得税の負担を軽減することができます。

例えば、矯正治療の費用が80万円かかった場合、その一部を医療費控除として申請し、確定申告を行うことで、支払った税金の一部が戻ってくる可能性があります。

成人した後の矯正治療でも、噛み合わせや発音の改善を目的としている場合には、医療費控除の対象になることがあります。具体的には、以下のようなケースが該当します。

・噛み合わせに問題があり、食べ物をうまく噛めない場合

・歯並びの問題で滑舌が悪く、発音が不明瞭な場合

これらのケースでは、治療の必要性を証明するために、歯科医師からの診断書を提出することが求められる場合もあります。また、医療費控除の対象になるかどうかは、税務署やクリニックで事前に相談すると安心です。

逆に、美容目的での矯正（例えば、歯並びをきれいに見せるためだけの矯正）は医療費控除の対象外です。確定申告の際には、自分の治療が医療目的に該当するかを確認し、必要な書類を準備しておくことが重要です。

高額な矯正治療の費用を分割で支払いたい場合、デンタルローンという選択肢もあります。デンタルローンは、歯科治療専用のローンで、クリニックが提携する金融機関を通じて利用できます。

デンタルローンの最大のメリットは、治療費用を月々の分割払いにできることです。
例えば、総額100万円の矯正治療をデンタルローンで60回払いにすると、月々の支払い額が大きく減り、一度に大きな負担がかかることを避けられます。一般的には、金利が年利5％〜10％程度で設定されていることが多いですが、金融機関やクリニックによって異なります。

ローンを利用する場合、事前に金融機関での審査が必要です。審査には、収入証明書や身分証明書が求められることが多く、申し込みから審査結果が出るまでに数日かかることもあります。歯科医院と提携している金融機関でのデンタルローンを利用する場合、クリニックで手続きをサポートしてくれるケースもあるので、気になる方はカウンセリングの際に相談してみると良いでしょう。

デンタルローンを利用する場合は、無理のない返済計画を立てることが大切です。月々の支払い額が少ない方が負担は軽くなりますが、その分返済期間が長くなり、支払う利息も増えてしまいます。支払いが苦しくなって途中でローンを滞納してしまうと、信用情報に影響が出る可能性もあるので注意が必要です。

金利や返済期間、総額をしっかりと確認し、計画的に支払いを行うようにしましょう。また、クリニックによっては金利0％キャンペーンを実施している場合もあるので、タイミングを見て利用すると、さらにお得に治療を受けることができます。

実際に矯正治療を受けた方の例を紹介します。これらはあくまで一例であり、個々の症例によって費用や治療期間は異なりますが、参考にしてみてください。

・症状：上の前歯にすき間がある

・治療内容：マウスピース矯正を使用し、前歯を閉じる治療を行う

・治療期間：約6カ月

・費用：30万円（検査代、アライナー代、リテーナー代込み）

このケースでは、短期間で比較的費用が抑えられるマウスピース矯正が採用されました。前歯のすき間のみが気になる方には、手軽に始められる治療方法です。

・症状：前歯が前方に突出している（上顎前突）

・治療内容：マウスピース矯正を使用し、前歯を内側に動かす治療を行う

・治療期間：約8カ月

・費用：45万円（検査代、アライナー代、リテーナー代込み）

このケースでは、出っ歯の改善を目指してマウスピース矯正が行われました。前歯の突出を改善することで見た目のコンプレックスが解消され、笑顔に自信が持てるようになったそうです。

・症状：前歯のガタつきがあり、全体的に歯列が乱れている

・治療内容：マウスピース矯正を使用し、歯列全体を整える治療を実施

・治療期間：約1年

・費用：45万円（検査代、アライナー代、リテーナー代込み）

このケースでは、全体的な歯のガタつきを解消するため、マウスピース矯正を使用しました。矯正後は歯列が整い、口元の印象が大きく改善されました。

矯正治療を考えている方がよく抱える疑問をQ&A形式でまとめました。矯正治療を始める前に、ぜひ参考にしてください。

A1.部分矯正の場合、6〜10ヶ月、全体矯正の場合は1年半から2年程度が一般的です。

矯正治療の期間は、動かす歯の量や症状の程度によって異なります。例えば、前歯のすき間を埋めるだけの部分矯正は6ヶ月ほどで完了するケースが多いですが、全体的な歯並びや噛み合わせを整える全体矯正では、1年半から2年程度の治療期間が必要です。

また、年齢が高くなると歯を支えている骨の代謝が遅くなるため、若い方と比べて治療期間が長くなる傾向があります。具体的な期間は、初診時に歯科医師から説明を受け、治療計画をしっかり確認しておくと良いでしょう。

A2.口腔内の清潔を保ち、定期的な通院を怠らないことが大切です。

矯正治療中は、ワイヤーやブラケットが歯に取り付けられるため、食べ物が装置に詰まりやすくなります。そのため、毎食後の歯磨きはもちろん、フロスや歯間ブラシを使用して細かな部分まで清掃することが重要です。口腔内が不衛生だと、虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、特に注意が必要です。

また、矯正装置の調整のために定期的な通院が必要です。通院を怠ると、治療が予定より長引いてしまうだけでなく、装置の不具合による口内炎や痛みが発生することもあります。歯科医師と決めたスケジュールに沿って、しっかり通院するようにしましょう。

A3.装置の調整後や初めて装置をつけたときに、歯が動くことで痛みを感じることがあります。

矯正治療では、装置の力で歯を少しずつ動かしていくため、特に装置を取り付けた直後やワイヤーの調整後に歯や歯茎に圧迫感や痛みを感じることがあります。痛みの程度には個人差がありますが、一般的には数日で和らぎます。

もし痛みが強く、生活に支障が出る場合は、無理せず歯科医師に相談しましょう。痛みを軽減するための調整を行ってくれることがあります。また、市販の鎮痛剤を服用することで、痛みを和らげることも可能です。

A4.きちんとリテーナーを使用すれば、歯並びが戻るリスクは低くなります。

矯正治療が終了した後も、歯は少しずつ元の位置に戻ろうとする性質があります。そのため、リテーナー（保定装置）を装着し、歯の位置を固定する「保定期間」が必要です。保定期間は通常1〜2年ですが、場合によってはそれ以上リテーナーを使用することが推奨されることもあります。

リテーナーの装着を怠ってしまうと、せっかくきれいに整えた歯並びが後戻りしてしまうリスクが高まります。リテーナーの装着は不快に感じることもあるかもしれませんが、矯正の成果を長く保つためには非常に重要なステップです。歯科医師の指示に従って、しっかりとリテーナーを使用しましょう。

A5.年齢に関わらず、歯と歯茎が健康であれば矯正治療は可能です。

矯正治療は子どもや若い世代だけでなく、成人後でも受けられます。実際に、40代や50代で矯正治療を開始する方も少なくありません。ただし、歯周病が進行している場合や、歯の骨（歯槽骨）が癒着している場合など、矯正が難しいケースもあるため、まずは歯科医師に相談してみることが大切です。

また、大人の矯正では、見た目の改善に加えて噛み合わせの改善も重視されます。噛み合わせが良くなることで全身の健康にも良い影響を与えるため、年齢を問わず矯正を検討する価値があります。

A6.透明なマウスピースや目立ちにくいブラケットを選ぶと、見た目を気にせずに治療できます。

矯正装置が見た目に影響することを気にして、治療をためらう方も多いです。しかし、最近では目立ちにくい矯正方法が多く登場しています。例えば、透明なマウスピースを使ったインビザラインや、セラミック製の透明なブラケットを使用した表側矯正などがあります。

また、裏側矯正（リンガル矯正）を選べば、装置が歯の裏側に取り付けられるため、他人からはほとんど見えません。装置の見た目が気になる方は、カウンセリング時に歯科医師に相談し、自分に合った目立たない矯正方法を選びましょう。

矯正治療を始める際、費用を賢く管理するためにはいくつかのポイントを押さえておくことが大切です。

矯正治療の費用はクリニックによって異なるため、いくつかのクリニックでカウンセリングを受け、見積もりを取ることが重要です。治療費用が安いからといって必ずしも良いとは限らず、治療の質や歯科医師の経験も大切な要素です。カウンセリング時には、治療の流れや期間、支払い方法についても詳しく説明を受けましょう。

高額な矯正治療費用を軽減するためには、医療費控除やデンタルローンの活用が有効です。特に医療費控除は、年間の治療費が一定額を超える場合に所得税を軽減できるため、積極的に利用する価値があります。また、デンタルローンを利用すれば、月々の支払いを軽減し、無理のない範囲で治療を進めることができます。

矯正治療は高額ですが、見た目や口腔内の健康に与えるメリットは一生続きます。歯並びが整うことで自信を持って笑顔になれたり、口内環境が改善されて虫歯や歯周病のリスクを減らすことができるなど、長期的な健康にとっても大きな価値があります。短期的な費用だけでなく、長期的なメリットも考えて判断することが大切です。

矯正治療は、見た目の改善や健康面での効果が期待できる一方、費用や治療期間などで悩むことが多い治療です。この記事では、矯正方法別の費用相場や、治療にかかる費用の内訳、支払い方法、医療費控除について詳しく解説しました。治療を決める際には、歯科医師とよく相談し、自分に合った治療方法を選ぶことが大切です。

まずは気になるクリニックでカウンセリングを受け、自分の状態や希望に合った治療計画を立ててもらいましょう。費用だけでなく、信頼できる歯科医師や治療の質を見極めることも大切です。理想の笑顔を手に入れるために、一歩踏み出してみてください。