- この記事の監修者
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歯科医師。医療法人社団ピュアスマイル理事長。インビザライン ブラックダイヤモンドドクター。インビザライン世界サミット23万人いるインビザラインドクターの中からトッププロバイダーの1人に選出。
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歯並びの乱れが前歯だけの場合、治療費の安い部分矯正で対応できる可能性があります。
しかし、「部分矯正はおすすめしない」という意見もよく見られるため、治療方法を迷う人もいるでしょう。
部分矯正は治療期間が短く、費用の負担が少ない一方、歯全体を矯正する全顎矯正にはないデメリットもあるため、正しく理解したうえで選択することが大切です。
この記事では、部分矯正はおすすめしないといわれる理由について解説します。部分矯正がおすすめできない人や、部分矯正で対応できる症例も紹介しているので、治療の検討にお役立てください。
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- 1. そもそも部分矯正とは?
- 2. 「部分矯正はおすすめしない」とされる5つの理由
- 2-1. 適応症例が限定される
- 2-2. 噛み合わせの改善に制限がある
- 2-3. 歯並びの部分的な改善にとどまる
- 2-4. 後戻りのリスクが高い
- 2-5. 歯を削らなければならないケースもある
- 3. 部分矯正をおすすめできない人の特徴
- 3-1. 噛み合わせを改善したい人
- 3-2. 横顔の印象を大きく改善したい人
- 3-3. 歯並びの乱れが重度の人
- 3-4. 歯を削ることを避けたい人
- 4. 部分矯正で対応できる主な症例
- 4-1. 軽度な歯列不良
- 4-2. 矯正後の部分的な後戻り
- 5. 部分矯正の治療方法
- 5-1. ワイヤー矯正
- 5-2. マウスピース矯正
- 6. 後悔しないために!部分矯正を検討する前に大切なこと
- 7. まとめ|部分矯正をおすすめしない症例もある
1. そもそも部分矯正とは?

部分矯正とは、歯並びが気になる箇所のみを部分的に矯正する治療です。プチ矯正や小矯正(MTM)とも呼ばれ、動かす歯は前歯1~6本程度になります。
部分矯正は、主に審美性の向上を目的としており、すきっ歯(前歯の隙間)を閉じたい人や、前歯の軽いねじれや出っ歯を改善したい人に選ばれることが多い治療です。
歯列全体を動かす全顎矯正と比較して、治療期間が短く費用も抑えられますが、噛み合わせの改善については限定的であるため、大幅な改善は期待できません。
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2. 「部分矯正はおすすめしない」とされる5つの理由

2-1. 適応症例が限定される
部分矯正は主に前歯数本を動かす治療のため、歯を大きく移動させるには不向きです。
軽い歯列の乱れや凹凸、すきっ歯などの治療であれば部分矯正でも対応できますが、抜歯が必要な矯正治療では、歯の移動距離が大きくなるため、全顎矯正が適しています。
また、部分矯正で動かすのは一部の歯だけのため、骨格に問題がある場合も適応しません。この場合も、全顎矯正での治療が必要です。
なお、本来は全顎矯正が適する症例にもかかわらず、予算面や治療期間から無理に部分矯正を選択すると、噛み合わせや歯列全体に悪影響をおよぼすリスクがあります。
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2-2. 噛み合わせの改善に制限がある
部分矯正の場合、部分的にしか歯を動かせないため、奥歯の噛み合わせの改善は困難です。噛み合わせも含めた治療を行ないたいなら、歯列全体を動かせる全顎矯正で治療する必要があります。
また、見た目が気になる箇所を部分矯正で整えられたとしても、矯正によってかえって咬合バランスが崩れることがある点にも注意しなければなりません。
矯正後に前歯で噛みにくくなってしまったり、奥歯の噛み合わせがずれてしまったりする状態が長く続けば、顎関節症のリスクにつながります。さらに、1つの歯に力がかかり過ぎてしまうと、歯のすり減りや破折を起こすおそれもあります。
2-3. 歯並びの部分的な改善にとどまる
部分矯正は、対象となる歯のみを動かす矯正です。気になる部分のみの歯並びを整えることはできますが、全体を整えることはできません。
歯並びや骨格の状態によっては、気になる前歯だけを整えても、横顔やEラインに不自然さが残ることがあります。
例えば、口元全体が前に突出している場合、前歯だけの矯正で引っ込めるには限界があるため、全顎矯正で全体の歯列を後ろに移動させるなどの治療が必要です。
部分矯正の結果に不満で、全顎矯正に移行を希望する人も少なくありません。再度矯正になると、その分費用負担も大きくなります。
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2-4. 後戻りのリスクが高い
部分矯正は、全顎矯正に比べて後戻りが起こりやすい傾向にあります。歯並びの乱れは噛み合わせによっても生じるため、歯が正しく噛み合っていない状態では、歯が元に戻ろうとする力が働きやすくなることが原因の一つです。
部分矯正では、奥歯の噛み合わせの改善はできません。奥歯がきちんと噛み合っている状態なら問題ありませんが、噛み合っていない状態で部分矯正をすると後戻りするリスクが高くなります。
また、部分矯正は全顎矯正に比べて治療が短期間のため、矯正が終わっても歯の周囲組織が安定するまでは歯が動きやすく、舌や唇の圧力を受けて後戻りすることもあります。
2-5. 歯を削らなければならないケースもある
矯正治療で歯を動かすにはスペースが必要になりますが、全顎矯正ではスペースが足りない場合、抜歯して隙間を作ります。
対して、部分矯正では抜歯を行なわず、歯の側面をわずかに削るIPR(ディスキング)という方法でスペースを作ることが一般的です。IPRで削る量はエナメル質の3分の1ほどで、歯質には影響しない安全な範囲で行なわれます。
しかし、歯を削ったことにより、将来的に虫歯や知覚過敏の症状が表れるリスクを完全に否定することはできません。削った部分は再生しないことは、頭に入れておく必要があります。
3. 部分矯正をおすすめできない人の特徴

部分矯正には制約やデメリットがあることをふまえ、部分矯正をおすすめできない人の特徴を4つ紹介します。
該当する人は、部分矯正を行なっても納得のいく治療効果が得られない可能性が高いため、全顎矯正を検討しましょう。
3-1. 噛み合わせを改善したい人
部分矯正は歯の一部分のみを矯正する治療です。治療箇所の噛み合わせは修正できますが、全体的な噛み合わせの改善に対応することは困難です。
また、部分矯正をすることで咬合状態がさらに悪化するおそれもあるため、全体的な噛み合わせも改善したいと考えている人は、全顎矯正の検討をおすすめします。
3-2. 横顔の印象を大きく改善したい人
美しい横顔の基準とされるEラインを整えたい場合も、部分矯正では大きな改善が難しいケースがあります。1~2本の歯だけが問題となっているのではなく、骨格に問題がある場合も多いためです。
口元の突出感や骨格のバランスの改善には、全体矯正が必要な可能性が高いため、部分矯正はおすすめできません。
3-3. 歯並びの乱れが重度の人
部分矯正は、主に審美面の改善を目的とする治療方法であり、歯並びの乱れが軽度の人を対象としています。
歯並びの乱れが重度な人は、噛み合わせも含めた矯正が必要なことが多く、歯を大きく移動させる可能性があるため、部分矯正は向いていません。
3-4. 歯を削ることを避けたい人
部分矯正では、歯を整えるためのスペースが不足している場合、歯の側面を削るIPRという処置が必要になることがあります。
健康な歯を削ることに抵抗がある場合には、全顎矯正で歯を後方に移動する、虫歯や歯周病など問題のある歯を抜歯するといった、他の治療方法を検討する必要があります。
4. 部分矯正で対応できる主な症例

部分矯正は適応範囲が限られますが、状態によっては満足のいく結果となることもあります。
どのような場合に部分矯正で対応できるか、主な症例を紹介します。
4-1. 軽度な歯列不良
以下のような軽度な歯列不良は、大きな歯の移動が必要ないため、部分矯正で対応できる場合があります。
・前歯の軽いガタつきやねじれ
・すきっ歯
見た目を整える程度であれば、数ヵ月から1年ほどの短期間で改善できます。
また、全体の咬合が安定している人も、部分矯正で対応できる可能性が高いでしょう。奥歯の噛み合わせに大きな問題がなければ、咬合バランスの悪化や後戻りのリスクを抑えやすくなります。
4-2. 矯正後の部分的な後戻り
全顎矯正を終えてきれいな歯並びになっても、保定装置の利用不足、舌や唇の癖、口呼吸などさまざまな要因で後戻りを起こしてしまうことがあります。
噛み合わせには問題がなく、前歯だけが後戻りを起こしたケースの再治療は、部分矯正で対応できます。後戻りの早い段階で部分矯正を始めれば、短期間で治療が可能です。
5. 部分矯正の治療方法
部分矯正の治療方法には、大きく分けてワイヤー矯正とマウスピース矯正があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。主な特徴と併せて解説するので、どちらの治療方法が自分に合うか確認しましょう。
5-1. ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯にブラケットとワイヤーを装着して矯正する方法です。装置は、歯の表側・裏側どちらかの動かしたい部分にだけ付けます。
ワイヤー矯正は、マウスピース矯正よりも適応症例が多いことが特徴で、前歯のねじれが大きい場合や、細かなコントロールが必要な場合にも対応できます。
ただし、装着後に自分で装置を取り外すことはできません。そのため、食べ物に制約が生じたり、装置で歯磨きがしづらくなったりするなどのデメリットがあります。また、表側に装置を付けた場合は目立ちやすい点も注意すべきポイントです。
5-2. マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明のマウスピースを定期的に交換することで歯を動かす矯正方法です。
マウスピース矯正では、食事や歯磨きの際に装置の取り外しが可能なため、食事の制限が少なく、口腔内の健康を保ちやすいことがメリットです。また、装置が透明なため、治療中もほとんど目立ちません。
部分矯正では、全顎矯正と同じように全部の歯を覆うマウスピースを使用しますが、枚数は少なく、比較的短期間で終了できます。ただし、治療効果を得るには1日20時間以上装着する必要があり、自己管理が重要になります。
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6. 後悔しないために!部分矯正を検討する前に大切なこと
部分矯正には費用を抑えて短期間で治療できるというメリットがありますが、適応できるケースは限られます。自己判断では適応できるかどうかがわかりにくいうえ、無理に部分矯正を選択すれば、治療失敗のリスクもあります。
費用や期間だけを見て、部分矯正を選ぶのは危険です。部分矯正に関心があるなら、まずは矯正歯科のカウンセリングを受けて、自分の状態が部分矯正に適応するかを確認しましょう。
また、矯正治療を成功させるには、歯科選びも大切です。部分矯正の症例数や説明の丁寧さを比較し、信頼できる歯科医院を選びましょう。
7. まとめ|部分矯正をおすすめしない症例もある
部分矯正は、全顎矯正に比べて安価・短期間で気になる箇所を治療できるため、希望する人も多くいます。しかし、期待する治療効果を得るには、歯並びの乱れが軽度、噛み合わせに問題がないといった条件があり、対応できる症例は限られます。
部分矯正が適応するか否かを自分で判断することは難しく、全顎矯正のほうが適している症例もあるため、矯正歯科のカウンセリングを受けたうえで検討するとよいでしょう。
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