- この記事の監修者
-
歯科医師。医療法人社団ピュアスマイル理事長。インビザライン ブラックダイヤモンドドクター。インビザライン世界サミット23万人いるインビザラインドクターの中からトッププロバイダーの1人に選出。
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「横顔がのっぺりしている」「口元がモコっとしている」「いつも口が少し開いている」
これらの特徴に当てはまるなら、あなたは『アデノイド顔貌』かもしれません。
アデノイド顔貌とは、鼻の奥にある「アデノイド(咽頭扁桃)」が肥大することで、口呼吸が習慣化し、顔の骨格や歯並びに影響を与える状態のことをいいます。
アデノイド顔貌は、顔の印象に影響するだけでなく、睡眠時無呼吸症候群やいびき、中耳炎のリスクも高めることに注意が必要です。
アデノイド顔貌を治療したい場合は、いくつかの方法から選択できます。ただし、症状には個人差があるため、どの方法がご自身に適しているかを見極めて適切に対応することが大切です。
この記事では、アデノイド顔貌の特徴や治療法、治療の際の注意点などを紹介します。
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- 1. 横顔が印象的な「アデノイド顔貌」とは?
- 1-1. アデノイド顔貌の特徴
- 1-2. 口ゴボ・出っ歯との違い
- 2. 【アデノイド顔貌の治療法1】歯列矯正
- 2-1. マウスピース矯正
- 2-2. ワイヤー矯正(表側矯正)
- 2-3. 裏側矯正(舌側矯正)
- 3. 【アデノイド顔貌の治療法2】外科手術
- 3-1. アデノイド肥大の切除
- 3-2. 顎骨体移動術
- 4. 【アデノイド顔貌の治療法3】歯列矯正と外科手術の併用
- 5. 【アデノイド顔貌の治療法4】美容整形・セラミック治療
- 6. アデノイド顔貌は自力で治せる?
- 7. アデノイド顔貌は何科に相談すればいい?
- 7-1. 耳鼻科
- 7-2. 矯正歯科
- 8. アデノイド顔貌の原因
- 8-1. アデノイド肥大
- 8-2. 口呼吸
- 9. アデノイド顔貌を放置するリスク
- 9-1. 審美性が悪くなる
- 9-2. 耳にかかわる病気の発症につながる可能性がある
- 9-3.睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクが高まる
- 9-4. 歯並びや噛み合わせに悪影響をおよぼす
- 9-5. 日常生活の質が下がる
- 10. 歯列矯正でアデノイド顔貌を治療する際の注意点
- 10-1. 信頼できる歯科医院に依頼する
- 10-2. 治療後も口呼吸を行なわないようにする
- 11. 自分でできるアデノイド顔貌の対策
- 11-1. 生活習慣の悪癖を改善する
- 11-2. 鼻呼吸テープで口呼吸を防ぐ
- 11-3. MFT(口腔筋機能療法)を行なう
- 11-4. あいうべ体操を行なう
- 11-5. 鼻づまりの治療をする
- 11ー6. 口周りの筋肉を鍛える
- 12. アデノイド顔貌の矯正治療に関するよくある質問
- Q1. アデノイド顔貌は歯並びにも影響する?
- Q2. 歯列矯正でアデノイド顔貌の見た目はどう変わる?
- 13. まとめ|歯列矯正を行ないアデノイド顔貌からの卒業を目指そう!
1. 横顔が印象的な「アデノイド顔貌」とは?

「アデノイド顔貌(がんぼう)」とは、口呼吸が習慣化し、顔の成長に影響をおよぼすことで生じる特徴的な顔付きのことです。
これは、鼻の奥にある「アデノイド(咽頭扁桃)」が肥大することにより、鼻呼吸が難しくなり、無意識のうちに口呼吸を続けることで起こります。
1-1. アデノイド顔貌の特徴
🔹 アデノイド顔貌の主な特徴(見分け方)
以下のような特徴がある場合、アデノイド顔貌の可能性があります。
✅ 口が常に少し開いている(ポカン口)
✅ 下顎が引っ込んで、顎が小さく見える(後退顎)
✅ 鼻の下が長く、顔が間延びした印象になる
✅ 首と顔の境目がはっきりせず、二重顎になりやすい
✅ 出っ歯のように見えることがある
✅ 歯並びが悪く、噛み合わせが悪い(叢生や開咬)
✅ いびきをかきやすく、睡眠時無呼吸症候群のリスクがある
このような特徴がある場合、アデノイド顔貌の可能性が高いです。
🔹 なぜアデノイド顔貌になるのか?
アデノイド顔貌になる主な原因は「口呼吸の習慣化」です。
👃 通常の鼻呼吸の場合
・舌は上顎に正しく付き、下顎の発達を促す
・口の周りの筋肉が適切に発達するため、バランスの取れた顔になる
👄 口呼吸が習慣化すると…
・舌の位置が下がり、上顎が過度に発達(出っ歯傾向に)
・下顎の発育が遅れ、顎が小さく見える(後退顎)
・口の周りの筋肉が衰え、常に口が開いた状態になる
つまり、アデノイド顔貌においては「アデノイドの肥大」が直接の原因ではなく、そこから派生する口呼吸が問題なのです!
🔹 自分でできる「アデノイド顔貌」セルフチェック
自分がアデノイド顔貌に該当するかどうかを簡単に確認できるチェックリストを用意しました。
🟢 セルフチェックリスト(3つ以上当てはまると要注意!)
☑ 普段から口が開いていることが多い
☑ 口を閉じると顎や口元に力が入る
☑ 横顔を撮影すると、下顎が引っ込んでいる
☑ 「いー」と発音すると、上の前歯がかなり見える
☑ いびきをかいたり、寝ているときに口を開けたりしている
当てはまる項目が多い場合は、アデノイド顔貌の可能性が高いです。
1-2. 口ゴボ・出っ歯との違い
アデノイド顔貌は、「口ゴボ」や「出っ歯」と混同されることが多いですが、それぞれ特徴が異なります。
| 特徴 | アデノイド顔貌 | 口ゴボ | 出っ歯 |
|---|---|---|---|
| 口元の状態 | 口が開きがち、顎が後退して見える | 口元が前に出て盛り上がる | 上の前歯が前に出ている |
| 横顔の印象 | 顎が小さく、Eラインが崩れる | 唇が突出し、鼻と顎のバランスが悪い | 上顎前突のため、歯が目立つ |
| 原因 | 口呼吸・アデノイド肥大・舌の位置異常 | 骨格の形や歯並びの影響 | 遺伝・指しゃぶり・口呼吸 |
💡 ポイント
・アデノイド顔貌
→ 顎が後退し、口がポカンと開く(原因は口呼吸)
・口ゴボ
→ 唇全体が前に出る(骨格や歯並びが原因)
・出っ歯
→ 上の前歯だけが突出(歯の角度が影響)
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2. 【アデノイド顔貌の治療法1】歯列矯正

軽度~中度のアデノイド顔貌であれば、歯列矯正治療によって症状の改善が可能です。
特に、噛み合わせや歯並びが原因となっている場合は、歯列矯正を行なうことで以下のような効果が期待できます。
✅ 口呼吸が改善され、鼻呼吸が習慣化する
✅ 口元の突出感が軽減し、横顔のバランスが整う
✅ 歯並びが改善され、フェイスラインがスッキリする
なお、症状によっては小臼歯の抜歯を行なうケースもありますが、健康面・審美面の両方で大きなメリットがあります。
ただし、矯正治療後の後戻りを防ぐためには、保定期間が必要になるため、長期的な治療計画を立てることが重要です。
幼少期であれば、成長段階のトレーニングによってアデノイド顔貌を防げる可能性があります。
しかし、成長が終わった大人の場合は原則として矯正歯科などクリニックでの治療になります。
重度であれば外科的手術の場合がありますが、軽度であれば矯正歯科治療での改善が可能です。
矯正費用については、原則として自由診療になるため歯科医院によって異なります。
また、矯正期間や、矯正後の後戻りを防ぐ保定期間も人によってばらつきがあります。
歯列矯正でアデノイド顔貌を治療する際は、原因やお口の状態に合わせた矯正装置で治療することが大切です。
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2-1. マウスピース矯正

マウスピース矯正は、「アライナー」と呼ばれる透明な矯正装置を使用し、歯並びを少しずつ整えていく治療法です。
最近では芸能人や一般の方にも人気が高く、目立ちにくい矯正方法として注目されています。
🔹 マウスピース矯正の仕組みと治療期間
・ 約2週間ごとに新しいマウスピース(アライナー)に交換し、徐々に歯を動かしていきます。
・ 治療期間は3ヵ月〜3年程度(症状や歯並びの状態によって異なります)。
🔹 マウスピース矯正のメリット
✔ 装置が透明なので、周囲に気付かれにくい!
✔ 着脱が簡単で、食事や歯磨きがしやすい!
✔ 矯正前とほぼ同じ生活ができる!
🔹 マウスピース矯正の注意点
⚠ 食事・歯磨き以外は1日20時間以上の装着が必要。
⚠ 装着時間が短いと、治療効果が出にくくなるので要注意。
⚠ 歯並びの状態によっては、ワイヤー矯正が適している場合も。
| 矯正の範囲 | 期間 | 費用 | |
|---|---|---|---|
| マウスピース矯正(全体) | 上下・全体 | 1年〜3年 | 60万円〜100万円 |
| マウスピース矯正(前歯中心) | 上下・前歯中心 | 3ヵ月〜1年半 | 10万円〜60万円 |
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2-2. ワイヤー矯正(表側矯正)

ワイヤー矯正は、金属製のブラケットとワイヤーを使用して歯を少しずつ動かす矯正方法です。
歯の表面にブラケットを装着し、ワイヤーの力を利用して歯並びを整えます。
✅ 通院頻度:月に1回程度、ワイヤーの調整を行ないながら歯の動きを確認します。
🔹 ワイヤー矯正のメリット
✔ あらゆる歯並びの乱れに対応可能!
✔ 重度の不正咬合にも適応できる!
✔ 歯を細かくコントロールしやすい!
🔹 ワイヤー矯正のデメリット
⚠ 矯正装置が目立ちやすい(審美ブラケットで軽減可)。
⚠ 装置が取り外せないため、虫歯や歯周病のリスクが高まる。
⚠ 矯正期間中、人によってはストレスを感じることも。
💡 審美ブラケット(白色や透明の装置)を使用すれば、目立ちにくくなりますが、通常のワイヤー矯正より費用が高くなることがあります。
| 矯正の範囲 | 期間 | 費用 | |
|---|---|---|---|
| ワイヤー矯正(表側・全体) | 上下・全体 | 1年〜3年 | 60万円〜130万円 |
| ワイヤー矯正(表側・全体) | 上下・前歯中心 | 1年前後 | 30万円〜60万円 |
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2-3. 裏側矯正(舌側矯正)

裏側矯正(舌側矯正)は、歯の裏側(舌側)にブラケットとワイヤーを装着する矯正法です。
装置が見えないため、周囲に気付かれにくい矯正方法として人気があります。
🔹 裏側矯正のメリット
✔ 装置が歯の裏側にあるため、見た目が気にならない!
✔ ワイヤー矯正なので、あらゆる歯並びの矯正が可能!
🔹 裏側矯正のデメリット
⚠ 装置が舌に当たるため、違和感や滑舌の悪化を感じることがある。
⚠ 歯磨きが難しく、虫歯や歯周病のリスクが高まる。
⚠ 表側矯正に比べて費用が高額。
💡 目立たない矯正を希望する方には最適ですが、違和感や費用面のデメリットも考慮する必要があります。
| 矯正の範囲 | 期間 | 費用 | |
|---|---|---|---|
| 裏側矯正(全体) | 上下・全体 | 1年〜3年 | 100万円〜170万円 |
| 裏側矯正(全体) | 上下・前歯中心 | 1年前後 | 40万円〜70万円 |
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3. 【アデノイド顔貌の治療法2】外科手術

アデノイド顔貌が中度~重度の場合、歯列矯正だけでは十分な改善が得られないことがあります。
このようなケースでは、外科手術による治療が選択肢の一つとなります。
主な手術方法は以下の2つです。
1️⃣ アデノイドの切除(アデノイド肥大が原因の場合)
2️⃣ 顎骨体移動術(骨格の問題が原因の場合)
また、外科手術を単独で行なうのではなく、手術の前後で歯列矯正を併用することもあります。
3-1. アデノイド肥大の切除
アデノイド肥大の治療の際は、一般的に抗生剤や点鼻薬などで行ないます。
しかし、極端に肥大したアデノイドが完全に気道を塞いでしまうケースには、アデノイドの摘出手術を行なう可能性があります。
肥大したアデノイドの切除は、フェイスラインだけでなく睡眠時無呼吸症候群などの身体的な病気の改善も期待できます。
また、手術によって口呼吸やいびきが改善されると、狭心症・高血圧・心筋梗塞などのリスクが大きく軽減します。
3-2. 顎骨体移動術
重度のアデノイド顔貌で、特に見た目を改善するケースには顎骨体移動術が効果的です。
上顎が前方に突出している場合は、上顎を切断して上後方へ移動します。
逆に下顎が後退している場合には、下顎骨を切断して前方へ移動して顎の輪郭を整えます。
手術によって骨を移動した後は、患部が治癒するまで歯列をワイヤーで固定します。
アデノイド顔貌の治療は原則として自由診療ですが、顎変形症の症状も改善する必要がある場合、保険適用での顎骨体移動術を受けることが可能です。
■参考:矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは(日本矯正歯科学会より出典)
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4. 【アデノイド顔貌の治療法3】歯列矯正と外科手術の併用

重度のアデノイド顔貌の場合、骨格性の下顎後退や上下顎のズレといった骨格異常が強いため、歯列矯正だけでは十分な改善が難しく、外科手術との併用による治療が検討されることがあります。
この併用治療では、手術前および術後に矯正治療を行ない、噛み合わせを整える準備・仕上げを進めるのが一般的な流れです。
矯正は、手術後に顎や骨格を移動させた際の新しい上下顎の噛み合いを安定させ、後戻りを防ぐ目的があります。
このように、外科手術と矯正治療を組み合わせることで、顔貌の審美性、咀嚼機能、呼吸機能のいずれも改善を目指します。
外科処置で顎の位置や角度を矯正し、矯正装置で歯の配列を整えることで、見た目のバランスだけでなく、噛み合わせや気道の通りを改善できる可能性があります。
ただし、大規模な手術をともなうため、費用・リスク・回復期間については事前に十分な説明を受け、主治医と慎重に相談することが不可欠です。
外科併用治療を受ける際は、治療のメリット・デメリット・代替案も含めて複数の専門医(矯正歯科、口腔外科、形成外科など)から意見を聴き、納得したうえで進めるのが理想かもしれません。
5. 【アデノイド顔貌の治療法4】美容整形・セラミック治療

アデノイド顔貌の“見た目”を調整する目的で行なわれる方法として、美容整形やセラミック治療が選択されることがあります。
美容整形では、下顎や顎先にシリコンプロテーゼを挿入し、下顎を前方に出すことで後退感を改善する施術が行なわれることがあります。
この方法により、アデノイド顔貌に見られがちな後退した顎の印象を目立たなくすることが可能です。
歯科的アプローチとしては、セラミッククラウンやラミネートベニアといった治療により、前歯の形態や位置を調整して口元の突出感を緩和する方法があります。
例えば、前歯の被せ物をややスリム化したり後退気味に整えたりすることで、相対的に顎の後退感を目立たなくすることが可能です。
ただし、これらはあくまで審美的改善を目的とし、アデノイド肥大や口呼吸といった根本原因を解決する治療ではないという点を理解しておく必要があります。
そのため、美容整形やセラミック治療を検討する際には、まず耳鼻科・矯正歯科などでの診断を受け、根本治療が必要かどうかを見極めたうえで適用するとよいでしょう。
6. アデノイド顔貌は自力で治せる?
注意点として、大人のアデノイド顔貌は自力で治すことはできません。
これは、10歳頃から骨の成長が止まり始めるため、顔のトレーニングやマッサージでは効果が出ないのです。
また、自力で鼻呼吸に変えたとしても、顔の骨格が変化しないのでアデノイド顔貌の症状は改善されません。
大人のアデノイド顔貌を改善する際は、歯科医院や形成外科などの医療機関で行なうのが一般的です。
7. アデノイド顔貌は何科に相談すればいい?

アデノイド顔貌を改善したい場合、その相談先は2種類あります。
・耳鼻科を受診
・矯正歯科を受診
7-1. 耳鼻科
耳鼻科で「アデノイド顔貌」を治療する場合、視診やレントゲンで「アデノイドの肥大状態」を観察、鼻口腔の通りが悪くないかを確認。
レントゲンだけでははっきりしないときは、鼻からファイバー(内視鏡)を入れて確認します。
「呼吸障害」「睡眠障害」がひどい場合、手術が必要になることもあります。
中耳炎や副鼻腔炎を発症している場合は、その治療も行なっていきます。
7-2.矯正歯科
矯正歯科で治療を行なうことも可能です。
口呼吸が習慣化している場合は、歯並びを改善することで鼻呼吸になり、同時に見た目も改善されます。
大人の場合、口呼吸を治しただけでは、アデノイド顔貌を改善するのは難しく、やはり「矯正」を行ない、歯並びを整え、見た目を変えることが必要となります。
矯正だけでは改善しない場合は、「顎骨体移動術」などの外科手術を行なうのも効果的です。
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8. アデノイド顔貌の原因

それでは、アデノイド顔貌の原因について、詳しく解説していきますね。
原因は大きく2つ、「アデノイド肥大」と「口呼吸」です。
8-1. アデノイド肥大
まずアデノイド肥大について、最初のほうでもお伝えしましたが、アデノイドとは「咽頭扁桃(いんとうへんとう)」という喉の奥のほうにある「リンパ組織」のこと。
鼻から喉につながる部分にあり、「扁桃線」と同じく、細菌やウイルスが体内に侵入するのを防ぐ機能があります。
この「アデノイド」と呼ばれる部分が腫れてしまって、顔つきに変化が表れるのが「アデノイド顔貌」です。
これは子供のとき(10歳まで)に起こります。
子供は免疫力が低いからで、大人になって免疫力が高くなると「アデノイド」は小さくなっていきます。(大人になってもアデノイドが肥大化したままのこともあります)
アデノイドが肥大化すると、「顔貌」が変わるだけではありません。
気道が狭くなるので、「いびき」をかくようになり「睡眠障害」「呼吸困難」に陥ります。
睡眠不足は、知能、認知、感情にも良いことはありません。
そして、アデノイドには細菌が棲みついているので、風邪を引きやすくもなります。
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8-2. 口呼吸
アデノイド顔貌の2つ目の原因が、「口呼吸」です。
口呼吸が癖になっている方は下顎骨の筋肉が付きづらく、顎の骨も成長しなくなってしまいます。
そのため、舌の位置や動かし方に変な癖が付き、「アデノイド顔貌」になってしまう方もいます。
口で呼吸することで、細菌やウイルスが体内に入り込みやすくなり、腫れを引き起こし、「アデノイド」が肥大化します。
口呼吸は「口の発育」にも影響します。
口呼吸で常に口を開けていると、舌や唇、頬の力のバランスが崩れて、顎の骨や歯の成長に影響し「歯並びが悪くなる」こともあります。
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9. アデノイド顔貌を放置するリスク

アデノイド顔貌を本人が気にしていなくても、放置しておくのはあまりおすすめできません。
また、アデノイド顔貌の原因にもなっている、アデノイド増殖症もさまざまな悪影響をおよぼします。
9-1. 審美性が悪くなる
アデノイド顔貌のルックスは、老けた印象や不機嫌な印象に見られることがあります。
また、自信がない表情に見えることもあるので社会的にもあまり良くありません。
人によっては、顔付きにコンプレックスを感じてしまい、ストレスや消極的な性格になるケースもあります。
9-2. 耳にかかわる病気の発症につながる可能性がある
アデノイドの肥大を放置すると、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)などの発症リスクが高くなります。
滲出性中耳炎とは、鼓室と呼ばれる鼓膜の奥に水が溜まって難聴を引き起こす病気です。
これは肥大したアデノイドが耳管を圧迫して起こります。
また、汚れた鼻水が耳管の周囲に溜まって中耳炎を引き起こすこともあります。
一般的にはアデノイドの肥大は6歳頃がピークで、その後は10歳頃までには小さくなっていきます。
そのため、小学校に入る前後までが中耳炎にかかることが多い時期です。
また個人差がありますが、風邪を引くたびに中耳炎になるケースもあります。
9-3. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクが高まる
アデノイド顔貌は、場合によってはSAS(睡眠時無呼吸症候群)を引き起こすことがあります。
これは、肥大したアデノイドが気道を圧迫してしまうことが原因で、無呼吸になってしまう症状です。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう深刻な病気です。
厳密には1時間当たりで5回以上を目安に、無呼吸や低呼吸が繰り返されるとSASという判断をします。
SASが慢性化すると、狭心症・高血圧・心筋梗塞などのリスクが高くなるため治療が必要です。
また、SASは深い睡眠が取れないため、イラついたり集中力にかけたりと精神面にも影響をおよぼす可能性があります。
■参考:睡眠時無呼吸症候群(厚生労働省より出典)
9-4. 歯並びや噛み合わせに悪影響をおよぼす
アデノイド肥大によって口呼吸が常態化すると、舌の位置が下がりやすくなります。
これにより、舌の上顎を押し上げる力が発揮しにくくなり、上顎の発育が不十分になるケースもあることに注意が必要です。
結果として、上顎骨が前方・側方に広がらず、歯が正しく並ぶための十分なスペースが確保できない「狭窄上顎」状態になることがあります。
口呼吸と低位舌の影響で、下顎は後退傾向を強め、前後の位置バランスが崩れやすくなります。
これが、「出っ歯(上顎前突)」や「開咬(奥歯は接するが前歯が噛み合わない)」といった不正咬合を起こしやすくする要因の一つです。
こうした歯並びや噛み合わせの乱れは、咀嚼効率の低下を招いたり、発音の明瞭さに影響をおよぼしたりすることがあります。
そのため、見た目だけでなく、機能面でのデメリットも無視できません。
9-5. 日常生活の質が下がる
口呼吸が続くと鼻を経由した空気の取り込みが十分に行なわれず、酸素の取り込み効率が低下する可能性があります。
これが長引くことで、集中力の低下や注意力散漫の状態が起こりやすくなるため注意が必要です。
また、睡眠の質が低下するリスクもあり、夜間のいびきや無呼吸が発生するかもしれません。
子供の場合、学校中の集中力低下や倦怠感、学習意欲の減退と結び付く可能性も指摘されています。
さらに、口呼吸によって口腔が乾燥したり顎の発育が遅れたりすると、口臭や発音の不明瞭さが生じやすくなります。
そのため、コミュニケーション面で不利益を被る可能性も考えられるでしょう。
加えて、唾液の自浄作用が働きにくくなることで、虫歯や炎症リスクなども上昇する可能性があります。
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10. 歯列矯正でアデノイド顔貌を治療する際の注意点

歯列矯正によってアデノイド顔貌の治療を行なう際は、いくつかの注意点を理解したうえで取り組むことが大切です。
10-1. 信頼できる歯科医院に依頼する
アデノイド顔貌は、鼻腔・咽頭の肥大や呼吸機能異常など、耳鼻科領域とも関係が深いといえます。
そのため、症例に応じて耳鼻科や形成外科などと連携できる体制を持つ医院を選ぶことが重要です。
例えば、矯正歯科専門医が在籍しているかどうかや、治療計画段階で耳鼻科での診察所見(アデノイドの状態、鼻閉、アレルギー性鼻炎の有無など)を取り込める体制が整っているかどうかを確認するとよいでしょう。
また、治療実績やカウンセリングの質も重要な判断軸です。
これまでアデノイド顔貌に関する治療経験がある医院か、相談時に過去症例を見せてもらえるかなど、複数の視点で確認しておくと安心して依頼できます。
複数の医院で見積もりや治療方針を比較して、自分にとって最適と感じられる場所を選ぶことが望ましい方法です。
10-2. 治療後も口呼吸を行なわないようにする
矯正治療に成功して歯並びが整っても、治療後に口呼吸傾向が残っていると「後戻り」や再発のリスクが高まります。
そのため、鼻呼吸を習慣化させるための取り組みを矯正と並行して行なうことが大切です。
具体的には、MFT(口腔筋機能療法)を導入して、舌・唇・頬の筋肉を正しく使うトレーニングを行なう方法があります。
MFTを併用することで、舌の正しい位置(スポット)定着、口唇閉鎖・呼吸パターンの改善などが期待できるでしょう。
また、鼻づまり対策やアレルギー性鼻炎治療も継続的に行なう必要があります。
理由は、鼻がしっかり通る状態を保たなければ、無意識に口呼吸に戻ってしまう可能性があるためです。
併せて、口を閉じて過ごす、鼻呼吸を意識するなど、日常生活での呼吸習慣改善を心がけ、再発防止に努めましょう。
11. 自分でできるアデノイド顔貌の対策

「アデノイド顔貌」は自力で治せるか?
結論からいうと、大人になってからでは難しいです。
子供のうちなら治せるかもしれません。
大人は骨格が固まっていますが、子供はまだ骨が軟らかいからです。
いくつか方法がありますので、それぞれご紹介しますね。
11-1. 生活習慣の悪癖を改善する
幼少期に成長したアデノイドは、小学生になる頃から小さくなっていきます。
そのため通常であれば、口呼吸だった子も鼻呼吸に適応していく時期でもあります。
ところが指しゃぶりや前歯を押し出す舌癖などの生活習慣で、口呼吸が改善されないケースがあるのです。
成長期も口呼吸が続くと、アデノイドが小さくならずにさらに肥大する可能性があります。
そのため、根気良く悪癖を直して鼻呼吸に変えていくことが大切です。
11-2. 鼻呼吸テープで口呼吸を防ぐ
睡眠時など口呼吸を意識的にコントロールできないときは、鼻呼吸テープを活用してもよいでしょう。
ただし、鼻づまりが重度である場合は口を塞ぐとかえって危険を招くことがあります。
また、テープによる唇のかゆみ・かぶれできちんとした睡眠が取れないという方もいます。
鼻呼吸テープを使用する場合は自分で判断せずに、医師に症状を相談してから使うようにしましょう。
11-3. MFT(口腔筋機能療法)を行なう
アデノイド顔貌になる大きな要因に口呼吸があげられます。
そのため、幼少期の口呼吸を成長期のうちにしっかりと鼻呼吸にシフトすることが大切です。
鼻呼吸にシフトする方法の一つとして、MFTと呼ばれる「口腔筋機能療法」があります。
これは、食べる、飲む、喋る、呼吸をするときに「舌」「唇」の位置を改善するトレーニングです。
これを続けていくことで、口周りの筋肉のバランスが整えられ、指しゃぶりや舌癖などの悪癖を改善し、アデノイド顔貌の原因である「口呼吸」が「鼻呼吸」に変わっていきます。
具体的にどのようなトレーニングなのか、ご紹介しますね。
🔷スポット
舌の正しい位置を覚えるためのトレーニングです。
舌の正しい位置は、舌の先端を上の前歯の少し後ろにある「スポット」に置き、舌が上顎全体に当たっている状態のこと。
STEP1 「スポット」にスティック(アイスの棒)などを当て、5秒数える
STEP2 スティックを外し、舌の先を「スポット」につけ、5秒数える
これを5~10回繰り返します。
🔷ティップ
舌先の力を付けるトレーニングです。
STEP1 スティックを口の前に垂直に持つ
STEP2 舌先をとがらせて、スティックを3秒押す
STEP3 スティックを外して、口を閉じる
これを5~10回繰り返します。
🔷ホッピング
舌の位置を正しくするために、舌を持ち上げる力を付けるトレーニングです。
STEP1 舌先を「スポット」に付け、舌全体で上顎を吸い上げる
STEP2 大きく口を開ける
STEP3 音が出るように舌を話す
これを10~15回繰り返します。
11-4. あいうべ体操を行なう
あいうべ体操とは、口呼吸を鼻呼吸にしていくための「お口の体操」です。
STEP1 あー と大きく口を開く
STEP2 いー と口を大きく横に広げる
STEP3 うー と口を強く前に突き出す
STEP4 べー と舌を突き出し下に伸ばす
これを1日30セット繰り返してください。
自然と鼻呼吸ができるようになっていくと思います。
11-5. 鼻づまりの治療をする
大人でも子供でも、鼻が詰まっているとどうしても口呼吸になってしまいます。
そのため、花粉症やアレルギー性鼻炎、軟骨や骨の異常など、鼻呼吸しにくい原因を除去することが重要です。
治療によって口呼吸から鼻呼吸になることで、アデノイドの肥大が改善する可能性があります。
一般的な鼻づまりの治療は抗生剤・点鼻薬などで行ないますが、あまりにも症状がひどい場合はアデノイドを切除して鼻づまりを改善します。
11ー6. 口周りの筋肉を鍛える
アデノイド顔貌を防ぐためには、鼻呼吸のために自然に口を閉じていられることがポイントになります。
しかし、口呼吸が習慣化している方は口周りの筋肉が衰えているため、自然には口を閉じていられないことがあります。
常に口を閉じているためには、口周りの筋肉である口輪筋を鍛えるトレーニングが有効です。
幼少期であれば吹き戻しというおもちゃもありますが、口笛も口輪筋の発達につながります。
また、矯正歯科ではボタンプル法など、クリニックによってさまざまな口呼吸を防止するトレーニングを受けることもできます。
12. アデノイド顔貌の矯正治療に関するよくある質問

ここでは、アデノイド顔貌の矯正治療に関して、よくある質問を紹介します。
治療を検討している際は、事前に確認しておくと安心です。
Q1. アデノイド顔貌は歯並びにも影響する?
アデノイド肥大によって鼻呼吸が妨げられて口呼吸が常態化すると、舌の位置が下がりがちになり、舌が上顎を押す力が弱まります。
そうすると、上顎の発育が抑制されやすくなり、上顎が狭くなる「上顎歯列の狭窄」が生じやすくなります。
その結果、出っ歯(上顎前突)や開咬(前歯が噛み合わない状態)などの不正咬合を引き起こしやすくなるため注意が必要です。
こうした咬合異常は、正常な噛み合わせを乱すだけでなく、咀嚼機能を低下させたり、発音に支障を生ぜしめたりすることがあります。
そのため、アデノイド顔貌が疑われる場合、早期に歯科的介入を行なうことが望ましいでしょう。
Q2. 歯列矯正でアデノイド顔貌の見た目はどう変わる?
アデノイド顔貌の方は、一般的に口元の突出や顎後退、下顎線の不明瞭さといった特徴を持つことが多いでしょう。
矯正治療を行なうことで歯並びが整い、前歯・奥歯の位置が適正化されると、口元の突出感が減少し、顎先の印象が後方へ修正されるケースが見られます。
また、Eライン(鼻先と顎先を結ぶ線)との関係が改善されると、より自然な横顔ラインになる傾向があります。
ただし、顔の変化には個人差が大きく影響するため、骨格構造が強固な人や矯正治療範囲が限定的なケースでは、変化が目立ちにくい可能性もあるでしょう。
以上のことから、矯正治療は機能改善とともに見た目改善も期待できる点が魅力ではあるものの、変化の程度や可能性については治療前に担当医とよく相談することが重要といえます。
13. まとめ|歯列矯正を行ないアデノイド顔貌からの卒業を目指そう!
大人であっても、軽度であれば歯科矯正でアデノイド顔貌の改善が可能です。
また、口呼吸が習慣化している方は、歯並びを改善することで鼻呼吸しやすくなるほか、外見上の問題も改善できる可能性があるため、審美性と健康面の両方にメリットがあります。
ただし、症状には個人差があり、適した治療法もさまざまです。そのため、治療計画をしっかり立てられる矯正医師に相談することが重要といえるでしょう。
アデノイド顔貌の治療を考えている方は、まずはカウンセリングなどを利用して具体的な治療計画の相談などをしてみるのがおすすめです。
安心かつ安全にアデノイド顔貌の治療に取り組みたい場合は、マウスピース矯正に特化した歯科医院を探すためのポータルサイト『ウィ・スマイル』の活用がおすすめです。より理想的な横顔を目指したい方は、ぜひご活用ください。
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