
顎が出ていることに悩み、スプーンを使った「スプーン矯正」などのセルフケアを試してみようと考える方もいるかもしれません。
しかし、顎の位置や骨格のズレは自力で完治させるのが難しいうえに、誤ったセルフケアで悪化する恐れもあります。
この記事では、自力での改善が難しい理由をはじめ、顎が出てしまう原因やスプーン療法の危険性、治療方法、セルフケアについて詳しく解説します。
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- 1. そもそも顎が出ている状態を自力で治せるのか?
- 1-1. 自分で顎の状態を治すことは困難
- 1-2. スプーン療法はリスクが大きい
- 2. 顎が出てしまう根本的な原因
- 2-1. 上顎と下顎の骨格に差がある
- 2-2. 歯並び・噛み合わせが乱れている
- 2-3. 顎の筋肉や骨格に悪影響を与える習慣がある
- 2-4. 舌の位置が正しくない
- 3. 顎の位置を改善するための治療方法
- 3-1. マウスピース矯正
- 3-2. ワイヤー矯正
- 3-3. 外科手術
- 4. 顎が出ている人におすすめのセルフケア
- 4-1. 舌を回すトレーニング
- 4-2. 舌癖を改善する口腔筋機能療法(MFT)
- 4-3. 片側で咀嚼する癖を改善する
- 4-4. 口呼吸を鼻呼吸に改善する
- 4-5. 悪い姿勢を改善する
- 5. まとめ|顎が出ているのが気になるなら歯科医師に相談を
1. そもそも顎が出ている状態を自力で治せるのか?
ここでは、出てしまった顎を自分で治すことの可否や、スプーン矯正の注意点について解説します。
1-1. 自分で顎の状態を治すことは困難
結論からいうと、一度出てしまった顎を自分で根本から治すのは困難です。
特に、骨格が原因の場合は、顎を押すなどのセルフケアを行なっても、筋肉の緊張をほぐす程度の効果しかありません。
1-2. スプーン療法はリスクが大きい
SNSなどで話題になっている民間療法に、「スプーン矯正」と呼ばれる方法があります。
スプーンの裏面を上の歯の裏側に当て、柄の部分を顎に押し当てて、出ている顎を矯正するというものです。
しかし、スプーン矯正で顎が出ている状態が改善されるという科学的根拠はありません。
むやみに顎を押すことで歯並びが悪くなったり、顎関節症が悪化したりする可能性もあります。
顎が出ている場合は不確かな民間療法に頼らず、歯科医院などを受診し、専門医に相談することが大切です。
2. 顎が出てしまう根本的な原因

顎が出てしまう原因としては、以下が挙げられます。
2-1. 上顎と下顎の骨格に差がある
下顎の骨が大きく成長して上顎より前に出るケースや、反対に上顎が十分に発達しないことで下顎が前に出て見えるケースがあります。
顔や顎の骨格形成は遺伝的な要因が影響していることが多く、同様の傾向が家族内でも見られる場合は、おおむね遺伝が原因だと考えられます。
2-2. 歯並び・噛み合わせが乱れている
顎の骨の大きさや位置に問題がない場合でも、歯並びの乱れによって顎が出てしまうケースもあります。
前歯が下の歯よりも内側に生える、または下の歯が外側に生えることが原因です。
上の歯よりも下の歯が前に出ている状態を、一般的には「受け口」、医学的には「反対咬合(はんたいこうごう)」や「下顎前突(かがくぜんとつ)」と呼びます。
2-3. 顎の筋肉や骨格に悪影響を与える習慣がある
骨格や歯並びに問題がない場合でも、口呼吸や歯ぎしり、食いしばり、頬杖、爪や唇を噛むなど日頃の癖や生活習慣によって、顎が出てくることがあります。
また、猫背や悪い姿勢は顎の骨格や筋肉に負担がかかります。その状態が続くことでも、顎が出ることがあるので注意が必要です。
2-4. 舌の位置が正しくない
口を閉じたとき、舌先が上顎に付いているのが舌の正しい位置です。
しかし、下の歯の裏側に舌先があることで前歯を押してしまい、その結果、顎が前に出ることがあります。
このように、舌の位置が正しくないと、歯を押したり触ったりする癖が生じやすくなります。こうした癖は「舌癖(ぜつへき)」と呼ばれ、顎や歯並びに悪影響をおよぼす原因の一つです。
無意識のうちに行なわれていることが多いため、日頃から舌の位置を意識することが大切です。
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3. 顎の位置を改善するための治療方法

出てしまった顎の治療にはいくつかの方法があり、原因や症状にあったものを選ぶことが大切です。
3-1. マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、1日に20~22時間以上透明なマウスピースを装着し、少しずつ歯を動かして整える治療方法です。
1枚のマウスピースで、0.25mmほど歯を動かすことができます。骨格に問題がなく、歯並びの乱れが軽度な人に向いています。
治療期間の目安は、おおよそ1年~2年です。
基本的に自由診療となるため、保険は適用されません。
症状によって費用は異なりますが、全体矯正で60万円~100万円、部分矯正で10万円~60万円程度が一般的です。
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3-2. ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる装置を歯に取り付け、ワイヤーを調整して歯を少しずつ移動させる一般的な治療方法です。
歯の表側にブラケットを装着する「表側矯正」と、裏側に装着する「裏側矯正」があります。
歯を大きく動かす症例にも対応可能なため、歯並びの乱れによって顎が出ている場合の治療にも適しています。
治療期間は歯並びの状態によって異なりますが、一般的に1~3年程度です。
表側矯正は歯を動かす力が強く、裏側矯正よりも治療期間を短縮できることがあります。
一方、裏側矯正は前から装置が見えにくいため、見た目を気にする方に向いているでしょう。
ただし、取り付けには高度な技術が必要で、表側矯正よりも治療費が割高な傾向があります。
表側矯正の費用は、部分矯正で30万円~60万円、全体矯正で60万円~130万円が目安です。
裏側矯正の場合は、部分矯正で40万円~70万円、全体矯正で100万円~170万円が目安となります。
3-3. 外科手術
上顎が未発達、下顎が過剰に発達しているなど、骨格の問題で顎が出ている場合は、下顎の骨を削って大きさを整える外科手術で治療できます。
全身麻酔を行なうため、手術中の痛みはありません。ただし、約1~2週間の入院が必要になる場合があります。
また、外科手術の前後にワイヤー矯正を併用するケースもあり、その場合の治療期間は2~4年程度におよびます。
外科手術の費用は、自由診療では80万円以上、「顎変形症」と診断されて保険が適用される場合は30万円~60万円程度が目安です。
4. 顎が出ている人におすすめのセルフケア
前述のとおり、顎の骨や歯並びを自分で完全に治すことは難しいとされています。
しかし、セルフケアで口周りの筋肉を鍛えたり、舌の位置を正しく保つよう意識したりすることで、顎の位置を正常に近づけられる可能性があります。
特に、生活習慣や癖が原因の場合は、それらを改善すれば症状の進行を防ぐことができるでしょう。
ここでは、顎が出ている方におすすめのセルフケアを紹介します。
4-1. 舌を回すトレーニング
口の中で大きな円を描くように舌を動かすと、舌の筋肉を鍛えることができます。
舌の筋力が高まると、舌の位置を正しく保てるようになり、顎が出るのを防ぐだけでなく、唾液の分泌量の増加や、いびき・ほうれい線の改善など、さまざまな効果も期待できます。
舌回しトレーニングの手順は次のとおりです。口を閉じた状態で行ないましょう。
- 1. 舌を右下の奥歯の外側に置く
- 2. 歯の外側をなぞるように、左下の奥→左上の奥→右上の奥と、時計回りに舌を回す
- 3. 舌を左下の奥歯の外側に置く
- 4. 歯の外側をなぞるように、舌を右下の奥→右上の奥→左上の奥と、反時計回りに舌を回す
通常の筋トレと同様に、継続することで舌の筋力が向上していくのを実感できるでしょう。
4-2. 舌癖を改善する口腔筋機能療法(MFT)
口腔筋機能療法(MFT)とは、口周りにある筋肉のバランスを整えるトレーニングのことです。
このトレーニングにより舌や唇、頬の筋肉が正しく機能すると、舌の位置を正しく保てるようになるだけでなく、口呼吸や噛み合わせの改善にもつながります。
口腔筋機能療法(MFT)では、目的ごとにトレーニングの方法が異なります。
🔵舌の位置を正常にするトレーニング
- 1. 正しい舌の位置(上の前歯のすぐ後ろあたり)に舌先を置いて数秒間キープする
- 2. 1日10回ほどくり返し、正しい舌の位置を覚える
🔵唇を鍛えて口呼吸を防ぐトレーニング
- 1. 唇に紙やカードを挟み、落ちないように数秒間キープする
- 2. 慣れてきたらキープする時間を延ばす
🔵舌のコントロール能力を高めるトレーニング
- 1. 口の前にスティック(アイスの棒など)を構えて、舌先で数秒間押す
- 2. 力を抜いたあと、再度同じ動作を5~10回ほどくり返す
4-3. 片側で咀嚼する癖を改善する
片側の歯だけで噛む癖があると、筋肉のバランスが乱れ、顎や顔のバランスに影響をおよぼすことがあります。
食事のときは両方の歯で噛むことを意識しましょう。
また、噛む回数を意識して増やし、顔の筋肉を鍛えることも大切です。
4-4. 口呼吸を鼻呼吸に改善する
口呼吸を鼻呼吸に改善するには、口周りの筋肉を鍛えるのが有効です。
前述の口腔筋機能療法(MFT)に加え、以下の体操を取り入れることをおすすめします。
あいうべ体操
「あ・い・う・べ」の口の形を以下のようにしっかり作ることで、口周りの筋肉を効果的に鍛えることができます。
- 🔵あ:口を大きく開いて「あ」の形をつくる
- 🔵い:口角が真横にくるように「い」の形をつくる
- 🔵う:唇を前に突き出すように「う」の形をつくる
- 🔵べ:舌を突き出し、顎を下げながら「べ」の形をつくる
また、鼻の通りを良くすることも効果的です。
部屋の湿度を40~60%に維持し、バランスの良い食事や水分補給を心がけて鼻粘膜の健康を整えることで、口呼吸の改善につながるでしょう。
4-5. 悪い姿勢を改善する
猫背やストレートネックなど頭が前に突き出した姿勢は、顎の骨格や筋肉に負担がかかり、顎が前に出る原因になります。
顎への負担を減らすためには、日頃から正しい姿勢を心がけることが大切です。
肩甲骨を寄せるように意識するだけでも、自然と姿勢が整います。
また、肩や首の筋肉がこわばると姿勢が崩れやすくなるため、定期的にストレッチを行なって筋肉をほぐすのも効果的です。
5. まとめ|顎が出ているのが気になるなら歯科医師に相談を
顎が出ている状態は、骨格や歯並び、日常の癖などさまざまな要因があり、自力で根本から治すのは困難です。
特に、スプーン療法のような民間療法は、正しい効果が証明されていないだけでなく、症状を悪化させる恐れもあります。
顎が出ているのが気になる場合、まずは歯科医院で原因を正確に診断してもらったうえで、適切な治療を受けることが大切です。
また、トレーニングや姿勢の改善など、正しいセルフケアを取り入れて、顎への負担を減らしましょう。
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