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受け口は自力で治せる?症状別の治し方、放置した際のデメリットなども解説

湊 寛明
湊 寛明
この記事の監修者 

歯科医師。医療法人社団ピュアスマイル理事長。インビザライン ブラックダイヤモンドドクター。インビザライン世界サミット23万人いるインビザラインドクターの中からトッププロバイダーの1人に選出。
https://purerio.tokyo/

受け口に悩み、「できれば自力で治したい」と考えている人は多いのではないでしょうか。

 

しかし、自分の力だけで改善できるケースは限られており、多くの場合は専門的な治療が必要です。

一方で、適切な治療を受けることで噛み合わせはもちろん、横顔の印象も改善できる可能性があります。

 

本記事では、自分で改善できる受け口の特徴や受け口の種類症状別の治し方放置した場合に起こり得るデメリットについて解説します。

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1. 受け口は自分で治せる?

幼児期のごく軽い受け口であれば、自然に改善することがあります。

実際、2歳頃までの子どもでは、自然に治るケースも少なくありません。しかし、3歳を過ぎると自然に治る可能性は一気に低くなる点に注意が必要です。

 

また、成長期の子どもであれば、指しゃぶりや舌の癖などの悪習慣をやめたり、口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを行なったりすることで改善が期待できる可能性もあります。

 

ただし、多くのケースでは受け口を改善するにあたって専門的な治療が必要です。自己判断で放置せず、早めに歯科医師に相談しましょう。

2. 受け口の種類

受け口とは、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている噛み合わせのことです。

「反対咬合」「下顎前突」とも呼ばれます。

 

受け口にはおもに3つのタイプがあり、それぞれ原因や特徴が異なります。以下で詳しく見ていきましょう。

2-1. 歯槽性の受け口

歯槽性の受け口とは、歯の傾きや位置のずれによって下の歯が前に出て見える状態です。顎の骨格自体には異常がないのが特徴です。

 

具体的には、下の前歯が外側に倒れていたり、上の前歯が内側に傾いていたりすることで、受け口のような見た目になります。

 

このタイプの受け口はおもに歯並びの問題であるため、歯列矯正で改善できるケースが多い傾向にあります。

2-2. 格性の骨受け口

骨格性の受け口は、上下の顎の骨格バランスが崩れていることで生じます。

 

多くの場合、下顎の骨が過剰に前へ成長している、もしくは上顎の成長が十分でないことが原因です。

遺伝的な要因によって起こるケースが多く、歯の位置だけでなく骨格そのものに問題があるため、治療には外科手術(外科矯正)が必要になることがあります

 

ただし、症状によっては歯列矯正のみで対応できるケースも少なくなりません。

2-3. 機能性の受け口

機能性の受け口とは、もともとは正常な噛み合わせだったにもかかわらず、日常的な癖などによって受け口に進行した状態を指します。

代表的な原因としては、下顎を前に突き出して噛む癖や、舌の位置の癖などが挙げられます。

 

おもに子どもに多く見られるタイプで、成長期のうちに発見できれば、口周りの筋肉を鍛えるトレーニングやシンプルな矯正装置で改善できる可能性があります。

3. 受け口の治し方

受け口は、原因によって治療方法が異なります。

 

ここでは、歯の傾きが原因となる「歯槽性の受け口」と、顎の骨格の成長バランスに問題がある「骨格性の受け口」、それぞれの治し方について解説します。

3-1. 歯槽性の受け口の場合

歯槽性の受け口で症状が軽度なときは、上の前歯を前方へ移動させる矯正治療が適しています。抜歯をせずに済むケースも多く、比較的短期間で改善が見込めます。

 

一方で、中程度の症状になると、矯正治療にあたって歯を動かすためのスペースを確保しなければなりません。具体的には、小臼歯を抜歯して作ったスペースを利用し、下の前歯を後方に下げることで噛み合わせを整えます。

 

歯槽性の受け口では、ワイヤー矯正マウスピース矯正で治療を行なうことが多く、比較的対応しやすいタイプといえるでしょう。

3-2. 骨格性の受け口の場合

骨格性の受け口は、矯正治療だけでは改善が難しいケースが一般的です。

そのため、下顎の骨を切って後方へ移動させる外科手術が必要になることがあります。

 

まず、手術前には術後の噛み合わせが整うようにワイヤー矯正などを行ないます。その後、顎の骨を切離する外科手術、術後矯正を行なう流れです。なお、手術は口の中から行なわれるため、顔の外側に傷跡が残る心配はありません。

 

また、手術は全身麻酔で実施され、数日間の入院が必要です。手術後1~2週間ほどは内出血や腫れが生じ、日常生活に支障が出ることもあります。そのため、スケジュールや回復期間について、事前に歯科医師に相談しておくことが大切です。

 

外科矯正のメリットは、受け口を根本的に改善できる点です。噛み合わせが整うだけでなく、口元の突出感が軽減されて横顔の印象も大きく変わることが期待できます。これらは矯正治療だけでは得られにくい効果です。

 

また、骨格性の受け口は多くの場合「顎変形症」と診断されるため、健康保険の適用対象となります。

そのため、自由診療の矯正治療に比べて費用負担を抑えられる点もメリットです。

4. 受け口を治すための矯正治療

前述のとおり、受け口を改善するには矯正治療や外科手術が必要になるケースがあります。

 

ここでは、受け口を治すために行なわれるおもな矯正治療の種類と特徴について解説します。

4-1. ワイヤー矯正

ワイヤー矯正とは、歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる小さな装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯に継続的な力をかけることで、歯並びを少しずつ整えていく治療法です。

古くから行なわれている矯正方法で症例が豊富なうえ、さまざまなタイプの受け口に対応できる点が特徴です。

 

ワイヤー矯正は歯の移動速度が比較的早く、大きく歯を動かす必要がある治療にも向いています。

 

ワイヤー矯正のうち、特に裏側矯正は前歯を後方へ動かす力が強いため、受け口の治療に適しているとされています。

 

ただし、ワイヤー矯正では金属製の装置を用いるため、歯の表側に取り付ける場合は装置が目立ちやすい点がデメリットです。

見た目が気になる場合は、ブラケットを歯の裏側に装着する裏側矯正を検討するとよいでしょう。

 

また、ワイヤー矯正ではブラケットを接着剤で固定するため、マウスピース矯正のように自分で着脱することはできません。

 

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4-2. マウスピース矯正

マウスピース矯正とは、透明のマウスピース(アライナー)を1~2週間ごとに交換しながら、少しずつ歯を動かして受け口を改善していく治療方法です。

装置は自分で着脱できるため、食事や歯磨きがしやすいほか、装着時に目立ちにくく痛みも少ないメリットがあります。

 

ただし、マウスピース矯正は対応できる症例が限られている点に注意が必要です。症状が重い場合は、ワイヤー矯正が適用されるケースが多く見られます。

 

また、1日20時間以上の装着が必要で、着用時間が不足すると治療期間が延びる可能性もあります。

飲食の際には取り外しが必要で、マウスピースの洗浄など日々のお手入れも欠かせません。そのため、マウスピース矯正は自己管理が重要な矯正方法といえるでしょう。

 

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5. 受け口になる原因

受け口になる原因は、骨格の問題や生活習慣などさまざまです。

 

ここでは、代表的な原因を3点紹介します。

5-1. 遺伝

1つ目の原因は遺伝です。自分と家族を比較すると、顔立ちが似ていると感じることは多いのではないでしょうか。

特に、顔の上半分や下顎の先端(オトガイ部)は遺伝の影響を強く受けるといわれています。

 

そのため、上顎が小さい下顎が大きい、あるいは下の前歯が前方に出ているといった骨格的特徴が遺伝すると、受け口になる場合があります。

5-2. 舌が短い

2つ目の原因は舌の短さです。舌は先端が上の前歯の根元に触れていて、舌全体が上顎の裏側に密着している状態が正常です。

舌が上顎を押すことで、上顎の健全な発達をうながす働きもあります。

 

しかし、舌が短いと上顎をうまく押せません。その結果、上顎の成長が十分に進まないことがあります。

さらに、舌が短いと舌の位置が自然と下顎の後方に下がり、下顎の前方成長を助ける力が働いてしまうため、受け口になりやすい傾向があるのです。

5-3. 悪癖がある

3つ目の原因は悪癖です。指しゃぶりや下顎を前に突き出して噛む癖などが原因で受け口になることがあります。

 

また、口呼吸の習慣にも注意が必要です。口呼吸をしていると舌の位置が下がり、上顎を押し上げる力が弱まってしまいます。

その結果、上顎の成長が不十分になり、下顎が相対的に前へ出てしまうことがあります。

 

上顎の成長が妨げられると、鼻腔が狭くなって鼻の通りが悪くなり、さらに口呼吸に依存する悪循環に陥ってしまいかねません。

6. 受け口を放置するデメリット

受け口をそのままにしておくと、見た目だけでなく、噛み合わせや健康面にもさまざまな影響をおよぼす可能性があります。

 

ここでは、受け口を放置した場合に起こり得るおもなデメリットを紹介します。

6-1. 全身に悪影響がある

受け口だと食べ物をしっかりと噛み切れず、よく噛まずに飲み込む癖が付きやすくなります。

噛む回数が減ることで消化が不十分になり、消化不良胃もたれなどを引き起こす可能性もあります。

 

また、受け口の人は食べ物を噛み切る際に顎へ過度の力がかかるため、顎関節に大きな負担が生じる点にも注意が必要です。

このような状態が続くと顎関節症の発症リスクが高まるほか、関節の痛みや肩こり、首のこりなど全身の不調へとつながりかねません。

6-2. 発音が悪くなる

前歯の位置がずれていると、舌の動きが制限されて「さ行」や「た行」などの音を出しにくくなります。

その結果、発音が不明瞭になったり、言葉がこもって聞こえたりすることがあります。

 

発音にコンプレックスを抱くようになると、人前で話すことに自信を失い、コミュニケーションにも影響をおよぼす恐れがあるでしょう。

6-3. 外見のコンプレックスになる可能性がある

受け口の場合、話したり笑ったりする際に顎のラインや口元のバランスが崩れて見えることがあります。

このような見た目の変化が気になり、人前で話すことを避けるようになったり、笑顔を控えたりする人は少なくありません。

 

外見に対するコンプレックスが強くなると、次第に自信を失い、性格や行動にも影響をおよぼす可能性があります。

6-4. 歯の寿命が短くなる

正常な噛み合わせでは、上顎の歯1本を下顎の歯2本で支える構造になっており、噛む力がうまく分散されています。

しかし、受け口の場合は上顎の歯1本を下顎の歯1本で支える形になるため、歯1本当たりの負担が大きくなり、歯や歯茎に過度な力がかかります。

 

さらに、下顎の位置がずれていることで顎関節に無理な力が加わり、顎関節症を引き起こすケースも考えられるところです。

 

また、歯並びの乱れによって歯磨きが行き届かず、歯垢が溜まりやすい状態になるため、虫歯や歯周病の発症リスクも高まります。

実際、80歳で20本以上の歯を保っている人のうち、受け口の人は極めて少ないことがわかっています。

7. まとめ|受け口が気になるなら一度相談してみましょう!

受け口を自力で治せるのは子どもで症状が軽い場合などごく一部に限られ、多くのケースでは専門的な治療が必要です。

 

受け口をそのまま放置すると、噛み合わせの悪化により歯の寿命が短くなるだけでなく、顎関節や全身にも悪影響をおよぼす可能性があるため、気になる場合は早めに歯科医師へ相談しましょう。

 

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