
- この記事の監修者
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歯科医師。医療法人社団ピュアスマイル理事長。インビザライン ブラックダイヤモンドドクター。インビザライン世界サミット23万人いるインビザラインドクターの中からトッププロバイダーの1人に選出。
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受け口(反対咬合)は、見た目だけでなく、咀嚼や発音などの機能にも影響を与えることがあります。
特に、大人になってからの受け口治療を考えている方にとって、目立たないマウスピース矯正は魅力的な選択肢です。
本記事では、マウスピース矯正で受け口を改善できるのか、治療の流れや費用、放置するリスク、他の矯正方法との比較について詳しく解説します。
- 1. マウスピース矯正で受け口は改善できる?
- 1-1. 受け口の種類とその原因
- 1-2. 歯の生え方による受け口の治療可能性
- 1-3. 骨格的な受け口は治療が難しい?
- 2. マウスピース矯正の費用と治療期間
- 2-1. 部分矯正と全体矯正の違い
- 2-2. 費用の目安
- 2-3. 治療期間と効果が出るまでの目安
- 3. 受け口を放置するとどうなる?
- 3-1. 見た目への影響
- 3-2. 虫歯や歯周病のリスク
- 3-3. 発音や咀嚼(そしゃく)への影響
- 3-4. 顎関節症のリスク
- 4. 子どもと大人の治療法の違い
- 4-1. 子どもの場合の治療方法
- 4-2. 大人の場合の治療方法
- 5. 受け口治療において診断を受ける重要性
- 6. 他の矯正方法との比較
- 6-1. マウスピース矯正とワイヤー矯正の違い
- 6-2. 外科矯正が必要なケース
- 7. まとめ
1. マウスピース矯正で受け口は改善できる?

受け口を矯正したいと思う方は多く、その治療方法についての不安も少なくありません。特に、手軽に見えるマウスピース矯正での受け口改善が可能かどうかは多くの患者さんが気にするポイントです。
この章では、マウスピース矯正による受け口治療がどこまで有効なのか、治療が難しいケースについても解説していきます。
1-1. 受け口の種類とその原因
受け口(反対咬合)とは、通常は上の歯が下の歯を覆うように噛み合うところが、逆に下の歯が上の歯よりも前に出た状態です。このような受け口の状態には、主に「歯の生え方」による受け口と、「あごの骨格」に起因する受け口の二つのタイプがあります。
前者は、上の前歯が内側に生えている、あるいは下の前歯が前方に生えすぎていることで起こり、比較的軽度なものが多いです。一方、後者のあごの骨格に由来するものは、生まれつき下あごが大きい、あるいは上あごが小さいことで生じるため、成長に伴って悪化する可能性が高く、治療も難しくなります。
噛み合わせに不具合があると、見た目だけでなく噛む力の伝わり方に影響が出るため、さまざまな面で機能不全が生じます。噛み合わせがうまくいかないことで食べ物が咀嚼しにくくなったり、発音が不明瞭になったりする可能性もあります。そのため、受け口の治療方法を考える際には、受け口の原因と種類に応じた対応が重要です。
1-2. 歯の生え方による受け口の治療可能性
歯の生え方が原因で生じている受け口の場合は、マウスピース矯正でも治療が可能なケースが多いです。具体的には、上の前歯が内側に傾いて生えている、あるいは下の前歯が前方に出ているといった、歯の位置の問題によって受け口が生じている場合が典型的です。
これらのケースでは、歯の傾きを調整することで上下の歯が正常に噛み合うようにできるため、比較的軽度な症例に該当します。このような症例では、部分的なマウスピース矯正を行うことが可能で、治療期間も短く、数か月から半年程度で効果が現れることが一般的です。
さらに、部分矯正は比較的軽い力で歯を動かすため、治療の負担が軽く、費用も全体矯正に比べて抑えられる点がメリットです。ただし、部分矯正を用いる場合でも、歯科医師による適切な診断が必要です。歯の生え方による受け口が本当にマウスピース矯正で対応可能かを見極め、無理なく治療を進めることが大切です。
1-3. 骨格的な受け口は治療が難しい?
あごの骨格に由来する受け口の場合、マウスピース矯正だけでは効果が見込めないことが多くなります。このタイプの受け口は、上下のあごの成長不均衡や遺伝的な要素が原因で、下あごが前方に突き出している場合や、上あごの発育が不十分な場合に発生します。こうしたケースでは、軽度の矯正では歯並びが整ってもあごの位置は変わらず、理想的な噛み合わせに戻すには限界があります。
このような骨格的な受け口では、マウスピース矯正ではなく、ワイヤー矯正や外科的な手術が推奨されることが多いです。
外科的な手術では、下顎骨切り術(セットバック法)という手法であごの骨を調整することが一般的です。この手術は、特に重度の受け口の場合に選択される治療法であり、医療費は自由診療として高額になる傾向があります。
骨格に問題がある受け口は早期発見が重要で、特に成長期の子どもの場合は、早い段階で治療を開始することで改善が期待できることもあります。
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2. マウスピース矯正の費用と治療期間

マウスピース矯正には、部分矯正と全体矯正の二つの選択肢があり、それぞれで費用や期間が異なります。治療費や治療期間を把握しておくことで、受け口治療を考えている方がより計画的に準備を進めることができます。
ここでは、部分矯正と全体矯正の違い、費用、期間の目安について詳しく解説します。
2-1. 部分矯正と全体矯正の違い
マウスピース矯正では、特定の部位のみを矯正する「部分矯正」と、全体の歯並びと噛み合わせを矯正する「全体矯正」の二つのアプローチが可能です。
部分矯正は、前歯など一部の歯並びのみを整える治療法で、軽度の不正咬合や軽度の受け口に適しています。この方法は、治療が短期間で済むため負担が少なく、比較的手軽に取り組むことができるのが特徴です。
一方、全体矯正は、全ての歯を動かしながら噛み合わせを調整するため、噛み合わせが乱れているケースや、中度から重度の受け口に対応する際に適しています。全体矯正は細かく歯を動かすため、治療期間も長くなりますが、噛み合わせ全体を正常に近づけるため、しっかりとした矯正効果が期待できます。
2-2. 費用の目安
以下に、マウスピース矯正の費用の目安をまとめました。
矯正方法 | 費用(目安) | 特徴 |
部分矯正 | 約20万〜50万円 | 前歯の軽度な矯正に適し、短期間で治療が完了する |
全体矯正 | 約80万〜150万円 | 咬み合わせ全体を調整し、より理想的な歯列を目指せる |
外科手術併用 | 100万〜200万円 | 顎の骨の位置を調整し、骨格から受け口を治療する方法 |
また、保険適用外の自由診療となるため、歯科医院によっても料金設定が異なります。
治療費には、診察料やマウスピースの作製費用、調整費用が含まれることが多いため、治療を開始する前に費用に関する説明をしっかりと受けることが大切です。
2-3. 治療期間と効果が出るまでの目安
治療期間は症例によって異なり、軽度の受け口であれば1年から3年程度の矯正が必要とされるケースが一般的です。治療が完了した後も、歯並びが元の位置に戻らないように保定装置(リテーナー)を装着する期間が必要です。
通常、この保定期間は1年以上に及ぶことが多く、保定装置をしっかりと装着することが矯正治療の効果を長く維持するために重要です。
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3. 受け口を放置するとどうなる?

受け口を治療せずに放置することで、見た目や健康面にさまざまなリスクが生じる可能性があります。
この章では、治療をせずに放置することで起こりうるリスクについて解説します。
3-1. 見た目への影響
受け口の状態をそのままにしておくと、下あごが前に突き出している見た目が強調され、顎の突出感が目立つ場合があります。外見上、顎の形状が気になり、コンプレックスに感じる方も多いです。
また、受け口の見た目に悩むことで、人前で笑うことや話すことに抵抗を感じることもあります。外見への影響が心理的なストレスとなり、自信を失う原因にもなりやすいのが受け口の特徴です。受け口による見た目のコンプレックスは、日常生活の中で会話やコミュニケーションに対する消極的な態度を生むこともあります。
このような状態が続くと、次第に自己肯定感が低下し、日常生活や仕事、対人関係においても影響が出てくることが考えられます。受け口の治療は、見た目だけでなく、心理的な自信を取り戻すためにも重要な要素となり得ます。
3-2. 虫歯や歯周病のリスク
受け口によって歯並びが不規則になると、歯磨きがしにくく、汚れがたまりやすくなります。歯磨きが届きにくい部分に歯垢が残り、虫歯や歯周病が発生するリスクが高まります。前歯の噛み合わせが悪いことで、歯ブラシが隙間に届かず、口臭が発生する原因になることもあります。
さらに、虫歯や歯周病は進行すると、治療に時間や費用がかかるため、受け口によるリスクを軽減するためには早期の治療が推奨されます。
3-3. 発音や咀嚼(そしゃく)への影響
受け口は通常の噛み合わせとは異なるため、発音に影響を与えることがあります。特に、「サ行」や「タ行」を発音する際に空気が漏れやすくなり、発音が不明瞭になりやすいです。発音が不明瞭なことで、言葉を正確に伝えられないというコミュニケーションの障害が生じ、仕事や日常生活における対人関係で不安を抱く原因にもなり得ます。
また、受け口は咀嚼機能にも悪影響を与え、食べ物を十分に噛み砕けないことで大きなままの食べ物が胃に届き、胃腸への負担が増加します。これにより、消化不良や栄養吸収の妨げが生じることが考えられます。栄養の吸収が妨げられると、体調不良や栄養不足に陥りやすく、健康状態にも大きく影響が出ます。
3-4. 顎関節症のリスク
受け口の状態では、噛むときや話すときに顎に負担がかかりやすく、顎関節症になるリスクが高まります。顎関節症は、口を開ける際に顎関節に痛みを感じることがあり、ひどくなると顎が開きにくくなることもあります。顎関節に常に負荷がかかることで、日常生活に支障が出ることがあり、顎関節症が慢性化する恐れもあります。
顎関節症は、噛む機能や発音に影響を与えるだけでなく、頭痛や肩こりといった症状を引き起こすこともあります。顎の関節が常に緊張状態にあるため、筋肉が硬直しやすくなり、顎の周囲に痛みが広がりやすくなるのです。
顎関節症が悪化すると、食事や会話が困難になり、生活の質が低下するため、受け口による顎への負担を軽減するための早期治療が重要です。
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4. 子どもと大人の治療法の違い

受け口治療は、成長段階にある子どもと骨が固まった大人で治療法が異なります。
それぞれの年齢に適した治療法を知ることが、最適な治療計画を立てるために重要です。
4-1. 子どもの場合の治療方法
成長期の子どもには、あごの成長をコントロールする治療法が適しています。柔軟性のある成長期のあごに対しては、取り外し可能なマウスピースや、拡大床と呼ばれる装置を使用して、あごの骨を適切に広げて噛み合わせを整えます。
このような早期の治療は、将来的な矯正の負担を軽減するだけでなく、あごの成長に沿って正常な噛み合わせに導く効果も期待できます。子どもの場合は、あごの骨が柔軟で成長しているため、適切なタイミングで治療を開始することで、歯の生え方やあごの発達をコントロールしやすい点が大きなメリットです。
治療開始時期によって、あごの位置や噛み合わせを改善することができるため、受け口の早期発見が重要となります。
また、適切な治療法を選ぶことで、将来的にワイヤー矯正や外科的治療の必要性が減少する可能性があるため、子どもの頃から受け口を気にしている親御さんには、専門の歯科医師への相談をお勧めします。
4-2. 大人の場合の治療方法
大人の受け口治療は、骨格が完成しているため、骨の成長を変えることは難しく、主に歯並びを直接整える歯科矯正が基本となります。中度以上の受け口に対しては、ワイヤー矯正や外科的治療を併用することが多いです。
成人の受け口治療は、骨格の変化が見込めない分、根本的な矯正が必要になる場合が多いため、治療方法も異なることを理解しておくと良いでしょう。
大人の矯正治療では、歯の位置や角度を慎重に調整する必要があるため、治療期間も長くなります。
また、あごの骨格に問題がある場合は、手術を行ってあごの骨を調整する必要があり、入院や手術費用が発生することもあります。
大人の受け口治療は治療方法が多岐にわたるため、自身の症状に合った最適な方法を歯科医師と相談しながら選ぶことが重要です。特に、矯正治療は医師との信頼関係が大切になるため、治療内容をしっかりと理解してから始めることが、満足度の高い治療結果につながります。
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5. 受け口治療において診断を受ける重要性

受け口は単なる見た目の問題ではなく、咀嚼機能や発音、歯並び全体の健康にも影響を及ぼします。そのため、治療を始める前に専門的な診断を受けることが非常に重要です。
正確な診断が必要な理由
治療方法の選択に影響する:
受け口の原因が歯の傾きによるものか、骨格的な問題によるものかを判断することで、適切な治療法を決定できます。
治療計画の精度が向上する:
CTスキャンや歯科用レントゲンを使用した診断により、より精密な治療計画を立てることが可能になります。
後戻りを防ぐ:
診断を通じて、治療後の後戻りのリスクを予測し、適切な保定方法を選択することができます。
診断時に確認すべきポイント
受け口治療を検討する際は、以下のポイントについて歯科医師と相談しましょう。
・どの矯正方法が適しているか?(マウスピース矯正・ワイヤー矯正・外科矯正など)
・治療期間と費用の目安
・治療の進行中に注意すべき点(装着時間・メンテナンス)
・治療後の保定方法や後戻りの可能性
受け口は個々の症例によって最適な治療法が異なります。
自己判断で治療方法を決めるのではなく、必ず専門医の診断を受けた上で、納得のいく治療計画を立てましょう。
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6. 他の矯正方法との比較

受け口の治療には、マウスピース矯正以外にもさまざまな選択肢があります。
ここでは、ワイヤー矯正や外科矯正と比較し、それぞれの特徴や適応症例について解説します。
6-1. マウスピース矯正とワイヤー矯正の違い
矯正方法 | 特徴 |
マウスピース矯正 | 目立たず取り外しが可能。軽度な受け口に適応。自己管理が必要。 |
ワイヤー矯正 | 強い力を加えられるため、幅広い症例に対応可能。装置が目立つ。治療期間が比較的長い。 |
マウスピース矯正は、審美的なメリットが大きく軽度な受け口には適していますが、自己管理が求められるため、装着時間を守れないと効果が十分に得られません。
一方、ワイヤー矯正は適応範囲が広く、骨格性の問題を抱える場合でも治療が可能ですが、装置が目立つ点がデメリットとなります。
6-2. 外科矯正が必要なケース
骨格のズレが大きく、通常の矯正だけでは改善が難しい場合には、外科矯正が必要になることがあります。
・顎の骨の成長が原因で受け口になっている場合
・顎の位置が大きく前に出ているため、通常の矯正では修正が困難な場合
・咀嚼や発音に大きな影響を及ぼしている場合
外科矯正では、外科手術と矯正治療を組み合わせて、顎の骨の位置を適切に調整します。手術が伴うため、治療期間は長くなりますが、重度の受け口でも根本的な改善が可能です。
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7. まとめ

受け口の治療には、マウスピース矯正が適応できるケースもあれば、骨格的な問題が影響する場合には外科矯正やワイヤー矯正が必要になることもあります。
また、受け口を放置すると見た目だけでなく、咀嚼や発音、顎関節への負担など、機能的な問題も引き起こす可能性があります。
治療を検討する際は、専門医による正確な診断を受け、自分の症例に最適な治療法を選択することが重要です。早めの対策で、健康的な咬み合わせと美しい口元を手に入れましょう。