
歯科医院で急速拡大装置を勧められたものの、具体的にどのような治療なのかわからず不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
急速拡大装置は、上顎を広げて歯が並ぶスペースを作る矯正装置のことです。おもに成長期の子どもや若年層の矯正治療に用いられます。
この記事では、急速拡大装置の仕組みや適している症例、治療期間や費用、メリット・デメリットについて詳しく解説します。装置を使用する際の注意点も紹介していますので、治療を検討する際の参考にしてください。
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- 1. 急速拡大装置とは
- 2. 急速拡大装置が適している症例
- 3. 急速拡大装置の治療期間
- 4. 急速拡大装置の費用
- 5. 急速拡大装置による顔の変化
- 6. 急速拡大装置は大人にも効果がある?
- 7. 急速拡大装置のメリット
- 7-1. 治療期間が比較的短い
- 7-2. 抜歯を避けられる可能性がある
- 7-3. 鼻呼吸がしやすくなる
- 8. 急速拡大装置のデメリット
- 8-1. 痛みや圧迫感をともなうことがある
- 8-2. 食事や発音がしづらくなることがある
- 8-3. 口腔内の清掃が難しい
- 9. 急速拡大装置を利用するときの注意点
- 9-1. 硬い食べ物や粘着性の高い食べ物を避ける
- 9-2. 清潔な口腔環境を保つ
- 9-3. 定期的に歯科医院でチェックを受ける
- 10. まとめ|急速拡大装置は適切な理解と管理が重要
1. 急速拡大装置とは

急速拡大装置は、上顎の骨を横方向に広げるために使用する矯正装置です。主に成長期の子どもや若年層に使用され、歯列が狭く歯が並ぶスペースが不足している場合に用いられるのが特徴です。
装置は上顎に固定され、中央にあるネジを定期的に回すことで、正中口蓋縫合(せいちゅうこうがいほうごう)と呼ばれる部分を少しずつ拡大します。成長期であれば正中口蓋縫合がまだ柔軟なため、比較的スムーズに拡大することが期待できます。
2. 急速拡大装置が適している症例
急速拡大装置は、上顎が狭く歯が並ぶスペースが不足している症例などに適しています。例えば、歯が重なり合う歯列の叢生(そうせい)や、上顎と下顎の横幅のバランスが悪い交叉咬合(こうさこうごう)などの症例です。

成長期の子どもで、永久歯が生えそろう前の段階であれば、将来的に抜歯が必要になるリスクを減らせます。また、口呼吸が習慣化している場合や、鼻腔が狭く鼻づまりを起こしやすい症例でも改善が期待できます。
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3. 急速拡大装置の治療期間
急速拡大装置の治療期間は、拡大期間と保定期間の2つに分かれます。拡大期間は1ヵ月程度で、この間に装置のネジを回して上顎を広げていきます。
その後、拡大した状態を安定させるための保定期間として、装置を装着したまま約2ヵ月間経過を観察します。保定期間中は骨が固まるのを待つため、装置の調整は行ないません。
なお、これらの期間はあくまで目安であり、顎の動き方によって個人差があります。
4. 急速拡大装置の費用
急速拡大装置の費用は、歯科医院や治療内容によって異なりますが、一般的に10万円から30万円程度です。この費用には診断や検査、装置代、調整料などが含まれます。
矯正治療は原則として自由診療となるため、健康保険は適用されません。ただし、「顎変形症」や「先天的な疾患」といった特定の症状と診断された場合は、保険適用になるケースもあります。
費用や支払い方法については、歯科医院で詳しく確認することをおすすめします。
5. 急速拡大装置による顔の変化
急速拡大装置で上顎を広げることにより、一時的に小鼻の幅が広くなることがあります。
一方で、歯列が整うことで顔立ちのバランスが良くなり、引き締まった印象になるケースも見られます。
いずれにしても、装置を使う期間は通常、数ヵ月程度と限られており、治療終了後は徐々に元の状態に近づいていくことが一般的です。急速拡大装置の使用による顔の変化については、過度に心配する必要はないでしょう。
6. 急速拡大装置は大人にも効果がある?
急速拡大装置はおもに成長期の子どもに使用されますが、大人でも使用される場合があります。ただし、大人の場合は顎の骨がすでに成長を終えて硬くなっているため、子どもと比べて効果が出にくい傾向があります。
近年では、アンカースクリュー(顎の骨に一時的に埋め込む小さなネジ)を用いた拡大法も選択肢の一つです。この方法により、大人でも上顎を拡大できるケースがあります。
一方で、外科手術と組み合わせた治療法や、通常の矯正治療のほうが適している場合もあります。適切な治療法は骨格や歯並びによって異なるため、歯科医師による詳細な検査と診断が必要です。
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7. 急速拡大装置のメリット

ここからは、急速拡大装置のメリットについて解説します。
7-1. 治療期間が比較的短い
急速拡大装置の特徴として、比較的短期間で上顎を拡大できる点が挙げられます。装置を装着して上顎を広げる拡大期間は、一般的に1ヵ月程度です。拡大した状態を安定させる保定期間は、2ヵ月程度が目安です。
従来の矯正治療と比較すると、目に見える効果が早く表れます。短期間で効果が実感できることは、治療のモチベーション維持にもつながるでしょう。
7-2. 抜歯を避けられる可能性がある
歯をきれいに並べるには、十分なスペースが必要です。しかし、顎が小さいとスペースが足りず、歯が重なったり曲がったりしてしまいます。急速拡大装置は上顎を広げることでこのスペースを作り出し、抜歯をせずに歯並びを整えられる可能性があります。
特に成長期の子どもは、大人と比べて顎の骨がまだやわらかいため、装置による拡大効果を得やすいことが特徴です。永久歯に生え変わる前にスペースを作っておくことで、矯正治療にともなう抜歯を避けられる場合もあります。
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7-3. 鼻呼吸がしやすくなる
上顎の幅が狭いと鼻の通り道も狭くなり、口呼吸になりがちです。急速拡大装置で上顎を広げると、鼻腔も同時に広がるため、鼻呼吸がしやすくなる効果を期待できるでしょう。
鼻呼吸が増えると、口腔内が乾燥しにくくなり、虫歯や歯周病のリスク軽減にもつながります。さらに、いびきの軽減、睡眠の質向上、集中力アップなど、全身の健康面にも良い影響を与えます。
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8. 急速拡大装置のデメリット
急速拡大装置には多くのメリットがある一方で、治療を検討する際には知っておくべきデメリットも存在します。ここでは、急速拡大装置のおもなデメリットについて解説します。
8-1. 痛みや圧迫感をともなうことがある
急速拡大装置は上顎の骨を物理的に広げるため、装置を調整したあとに痛みや圧迫感を感じることがあります。
特に調整直後は、歯や上顎全体に痛みや違和感を覚える方が少なくありません。個人差がありますが、痛みや違和感は数日から1週間程度続き、その後落ち着いていきます。
8-2. 食事や発音がしづらくなることがある
急速拡大装置は上顎に固定されるため、取り外しができません。装置が口のなかのスペースを占めるため、食事がしづらくなることがあります。食べ物を小さく切って食べることで、ストレスを軽減できるでしょう。
また、舌の動きの制限により、特にサ行やタ行などの発音がしづらくなる傾向があります。この場合は、意識的に発音練習を行なうと改善できる場合があります。
8-3. 口腔内の清掃が難しい
急速拡大装置は装置の周囲に食べかすやプラークが溜まりやすくなります。
特に装置と歯の境目や装置の細かな部分は、通常の歯ブラシだけでは十分に清掃することが困難です。清掃が不十分な状態が続くと、虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。
そのため、デンタルフロスや歯間ブラシ、タフトブラシなどの補助的な清掃用具を使用し、丁寧にケアする必要があります。子どもは自分だけでは磨き残しが出やすいため、保護者の方が仕上げ磨きをしてあげるとよいでしょう。
歯科医院での定期的なクリーニングも、口腔内の健康を維持するために重要です。
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9. 急速拡大装置を利用するときの注意点

急速拡大装置による治療を成功させるには、いくつかの注意点を守ることが重要です。最後に、急速拡大装置を利用する際に気を付けるべきポイントについて解説します。
9-1. 硬い食べ物や粘着性の高い食べ物を避ける
急速拡大装置を装着している間は、硬い食べ物や粘着性の高い食べ物を避けましょう。せんべいやナッツ、氷などの硬いものを噛むと、急速拡大装置が破損したり外れたりする可能性があります。
また、キャラメルやキャンディー、ガムといった粘着性の高い食品も、装置の破損や外れにつながります。さらに、装置に絡みついて清掃が困難になり、付着した糖分が長時間残ってしまうと、虫歯のリスクが高まるため注意が必要です。
食事の際はやわらかく、粘着性の低いものを選び、小さく切って食べるなどの工夫をしましょう。
9-2. 清潔な口腔環境を保つ
急速拡大装置を装着している期間は、毎食後に丁寧な歯磨きとうがいを行ないましょう。装置の周囲には食べかすが溜まりやすく、放置すると虫歯や歯肉炎の原因になります。
通常の歯ブラシに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシ、タフトブラシといった補助的な清掃用具を使用し、装置と歯の境目や細かな部分まで丁寧に磨きましょう。
また、うがい薬(マウスウォッシュ)で口をゆすぐと、食べかすを洗い流すだけでなく殺菌効果も期待できます。清潔な口腔環境を保つことが、治療を順調に進めるための基本です。
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9-3. 定期的に歯科医院でチェックを受ける
急速拡大装置による治療中は、歯科医院で定期的に経過観察を受けることが必要です。拡大の進行状況や装置の状態、口腔内の健康状態を確認し、必要に応じて調整を行ないます。
装置の破損や異常を感じた場合は、次の予約を待たずにすぐに歯科医院に相談しましょう。装置が外れたり変形したりすると、治療効果に影響が出る可能性があるためです。
痛みが強い場合や長引く場合も、我慢せずに早めに相談することで、適切な対処を受けられます。定期的な受診と迅速な相談により、安全で効果的な治療につなげていきましょう。
10. まとめ|急速拡大装置は適切な理解と管理が重要
急速拡大装置は上顎を広げて歯並びを整える効果的な矯正方法です。治療期間の短さや抜歯回避の可能性、鼻呼吸の改善などのメリットがある一方、痛みや食事制限、口腔ケアの手間といった注意点もあります。
急速拡大装置が適した症例や治療にかかる費用は個人によって異なるため、歯科医師とよく相談して治療方針を決めることが大切です。治療に入った後は硬い食べ物を避け、毎食後のケアを徹底し、定期受診を欠かさないことも重要です。
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