
- この記事の監修者
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歯科医師。医療法人社団ピュアスマイル理事長。インビザライン ブラックダイヤモンドドクター。インビザライン世界サミット23万人いるインビザラインドクターの中からトッププロバイダーの1人に選出。
https://purerio.tokyo/

歯科矯正の選択肢が多様化する中で、マウスピース矯正はその利便性や審美性の高さから、幅広い年齢層に注目されています。
透明で目立ちにくく、取り外しも可能という特徴を持つマウスピース矯正ですが、その快適性、特に「装着感」は治療の継続に直結する重要な要素です。
今回は、マウスピース矯正における装着感について、違和感の要因、快適性を高める方法などを紹介していきます。
- 1.マウスピース矯正とは
- 1-1.マウスピース矯正の主な特徴
- 2.マウスピース矯正の装着感とは
- 2-1.マウスピースの形状精度
- 2-2.素材の特性
- 2-3.歯の動きによる圧力
- 2-4.舌・唇との接触
- 2-5.取り外し・再装着の頻度
- 3.装着感を改善・快適に保つための対策
- 3-1.チューイーを使用する
- 3-2.エッジ処理の確認と修正をしてもらう
- 3-3.口腔内を保湿する
- 3-4.正しく着脱する
- 3-5.日常的にクリーニングを行う
- 4.ワイヤー矯正との装着感の違い
- 4-1.異物感の違い
- 4-2.圧力の感じ方の違い
- 5.まとめ:装着感を理解しておこう
1.マウスピース矯正とは

マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを用いて、歯を少しずつ理想的な位置へと動かしていく矯正治療の一つです。
治療計画に基づき数週間ごとにマウスピースを交換しながら、段階的に歯並びを整えていきます。
1-1.マウスピース矯正の主な特徴
マウスピース矯正には、以下のような特徴があります。
• 透明で目立ちにくい
透明なので目立ちにくく、見た目に矯正治療中だとわかりにくいです。
• 取り外し可能
食事や歯磨き時に外せるため、口腔衛生を保ちやすいです。
• 金属を使用しない
金属アレルギーの方も心配がありません。
• 比較的痛みが少ない
他の矯正方法と比べて過度な力がかかりにくく、歯や歯茎への負担が穏やかと言われています。
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2.マウスピース矯正の装着感とは

マウスピース矯正における「装着感」とは、口腔内に装置を装着した際に感じる感覚のことです。
以下のような要素が含まれます。
• フィット感(歯との密着具合)
• 締め付け感(歯の移動に必要な圧力)
• 違和感(舌や唇に当たる感覚)
• 発音や咀嚼への影響
• 口腔内の乾燥感や摩擦感
これらのような強い違和感や痛みがある場合、治療の継続のモチベーションが下がる可能性があります。
そのため、装着感はマウスピース矯正を行う上で、非常に大切なポイントの1つと言えます。
では、そもそもその装着感に影響を与えるのは、どのような要素なのでしょうか。
装着感に影響する要因について詳しく見ていきましょう。
2-1.マウスピースの形状精度
マウスピースは、患者さん一人ひとりの歯並びや顎の形状に合わせてオーダーメイドで製作されます。
近年では口腔内スキャナーの精度が向上し、ミクロン単位でのデジタル印象が可能になっていますが、それでもスキャン時のわずかなズレや、製造工程での収縮・変形などによって装着時に微妙な「浮き」や「圧迫感」が生じることがあります。
たとえば、犬歯など形状が鋭角な部位では特に摩擦を感じやすく、違和感の原因になりやすいと言われています。
このような不快感を軽減するには、精度の高い事前検査をしてくれる歯科医院選びと、信頼できるメーカーを選択することが重要になってきます。
2-2.素材の特性
マウスピースの素材には、主にポリウレタンという合成樹脂などが使用されています。
素材の種類やその処理方法により、装着感は大きく異なります。
•柔らかい素材
柔軟性がありフィット感が良いため、装着初期からの違和感が少ない傾向にあります。
ただし、歯を動かす力がやや弱くなるため、治療期間が長引くことがあります。
•硬めの素材
矯正力が強く、歯を効率的に移動させることができますが、装着初期には圧迫感や痛みを伴うことが多いです。
慣れるまでに時間がかかることもあります。
2-3.歯の動きによる圧力
マウスピース矯正では、段階的に歯を移動させるために2週間前後で新しいマウスピースに交換するのが一般的です。
新しいマウスピースを装着した直後は、特定の歯に強い力がかかるため、締め付けられるような圧迫感や軽い痛みを感じることがあります。これはマウスピースが計画通りに歯を動かそうとしているためであり、多くの場合2〜3日程度で落ち着きます。
違和感が長く続く場合や激しい痛みを感じる場合には、マウスピースが適切にフィットしていない可能性があるため、歯科医師に相談が必要です。
2-4.舌・唇との接触
マウスピースの縁(エッジ)が舌や口腔内の粘膜と接触することで、不快感や刺激を感じることがあります。
特に下顎の内側や上唇の裏側は敏感な部位であり、角張ったカットやバリの残りによって、口内炎や擦れを起こすこともあります。
このような場合、歯科医院でマウスピースのエッジを滑らかに研磨してもらうことで改善できます。
また、一部のマウスピースメーカーでは初めから角が丸く加工されているものもあるため、敏感な方は素材やメーカーの選択も重要になります。
2-5.取り外し・再装着の頻度
マウスピースは、基本的に1日20〜22時間の装着が推奨されています。
食事や歯磨きの際には取り外す必要がありますが、そのたびに口腔内の湿度や温度が変化し、再装着時に「冷たさ」「締め付け感」「異物感」を感じることがあります。
特に長時間外していた場合、アライナーと歯の位置に微妙なズレが生じるため、装着直後の違和感が強くなることも。
この感覚も一時的なものですが、頻繁に装着・脱着を繰り返すことでマウスピースの変形や破損の原因にもなるため、可能な限り装着時間を守ることが大切です。
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3.装着感を改善・快適に保つための対策

装着感に不快を感じたとしても、多くの場合はちょっとした工夫や対策によって改善が可能です。
以下では、日常の中で実践できる具体的な方法をご紹介します。
3-1.チューイーを使用する
チューイーとは、シリコンや柔らかいプラスチックでできた円柱状の咬合補助具のことです。
マウスピースを装着した後、数分間チューイーを前歯や奥歯でしっかりと噛むことで、マウスピースが歯列全体に均等に密着しやすくなります。
これにより、マウスピースと歯の間に隙間ができにくくなり、浮きやズレを予防できます。
特に新しいマウスピースに交換した直後や、長時間外した後の再装着時に使用することで、装着感の違和感を大幅に軽減する効果があります。
チューイーは1日1〜2回程度、数分間の使用が目安で、継続的に取り入れることで矯正効率の向上にもつながります。
3-2.エッジ処理の確認と修正をしてもらう
マウスピースの縁(エッジ)が鋭かったり、バリ(不要な出っ張り)が残っていたりすると、口内の粘膜や舌に不快な刺激を与え、擦れや痛みを引き起こすことがあります。
特に下唇の裏や頬の内側は敏感なため、少しの角張りでも口内炎や炎症の原因になることがあります。
こうした症状を感じた場合は自己処理せず、必ず歯科医師に相談しましょう。多くのクリニックでは、マウスピースのエッジを滑らかに整えることが可能です。
快適な装着感を得るには、製品の品質だけでなく、細かな調整も重要なポイントです。
3-3.口腔内を保湿する
マウスピースを装着している間は、唇を閉じたままでも口呼吸になりやすく、口腔内が乾燥することがあります。
乾燥すると、粘膜が刺激に敏感になり、ヒリヒリ感や違和感が増すほか、細菌が繁殖しやすくなるため口臭の原因にもなります。
対策としては、こまめな水分補給を行うこと。さらに、市販されている口内保湿ジェルやスプレーを使用すると、より長時間にわたり口腔内の潤いを保てます。
特に就寝中は唾液の分泌が少なくなるため、保湿ケアを習慣化することで装着感が快適になります。
3-4.正しく着脱する
マウスピースの取り外しは、慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、無理に引っ張ったり、爪を使って力任せに外そうとすると、マウスピースが歪んだり、破損するリスクがあります。
変形したマウスピースは装着感が悪くなるだけでなく、矯正効果にも悪影響を及ぼします。装着時はまず奥歯からゆっくり押し込み、均等に前方へフィットさせていきましょう。
外す際には、奥歯側から順に丁寧に浮かせて外すのが基本です。
クリニックで指導された着脱方法を守ることが、マウスピースを長持ちさせ、装着時の快適さを保つために非常に重要です。
3-5.日常的にクリーニングを行う
アライナーは1日20時間以上口の中に入れているため、プラーク(歯垢)や食べ物のカスが付きやすく、放置すると細菌の温床になります。
その結果、装着時にぬめりを感じたり、においが気になったりするなど、装着感に悪影響を及ぼします。
毎日のケアとしては、流水でのすすぎに加え、中性洗剤や専用クリーナー(発泡タブレットなど)を用いた清掃が推奨されます。熱湯で洗うと変形の原因になるため、必ずぬるま湯以下で行いましょう。
定期的なクリーニングによって、衛生面だけでなく快適性や透明感も保てるため、日課としてしっかりと行うことが大切です。
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4.ワイヤー矯正との装着感の違い

従来からある矯正治療方法であるワイヤー矯正。
歯にブラケットと呼ばれる装置を取り付け、そこにワイヤーを通して矯正するという方法ですが、このワイヤー矯正とマウスピース矯正の装着感にはどのような違いがあるのでしょうか。
4-1.異物感の違い
まず、マウスピース矯正は透明な素材でできており、薄く軽量なため、装着していても口の中に異物を入れている感覚も比較的少ないのが特徴です。
ワイヤー矯正は金属製のブラケットやワイヤーが常に歯に固定されているため、初期段階では頬の内側や舌に擦れることが多く、痛みや口内炎の原因になることもあります。
4-2.圧力の感じ方の違い
また、矯正時の圧力の感じ方にも差があります。
マウスピース矯正は段階的に少しずつ歯を動かす仕組みであるため、圧力は比較的穏やかです。
新しいマウスピースに交換した直後は締め付けるような感覚があるものの、数日で慣れることが多いです。
一方、ワイヤー矯正ではワイヤーを調整した直後に強い引っ張り感や圧痛が現れやすく、人によっては日常生活に支障をきたすほどの痛みを伴うこともあります。
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5.まとめ:装着感を理解しておこう

マウスピース矯正は、従来の矯正方法と比較して高い審美性と快適性を備えていますが、「装着感」は治療の継続を左右する重要な要素です。
違和感の原因は、アライナーの形状、素材、着脱頻度、口腔内の状態など多岐にわたります。
しかし、適切な対策や工夫を行うことで、多くのケースにおいて快適な治療生活を実現できます。
マウスピース矯正を検討している方は、装着感について正しく理解し、自分に合った矯正方法を選ぶことが、満足度の高い矯正治療への第一歩となるでしょう。
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