
- この記事の監修者
-
歯科医師。医療法人社団ピュアスマイル理事長。インビザライン ブラックダイヤモンドドクター。インビザライン世界サミット23万人いるインビザラインドクターの中からトッププロバイダーの1人に選出。
https://purerio.tokyo/

デンタルフロスを使ったあとに「なんだか臭い…」と感じたことはありませんか?
実はそのニオイ、ただの食べカスではない可能性があります。
この記事では、
・フロスが臭い5つの原因
・ニオイが口臭なのか・病気のサインなのか見極めるセルフチェック法
・症状別の正しい対処法と、歯科医院を受診すべき目安
を歯科的な視点でわかりやすく解説します。
- 1. デンタルフロスが臭い…これって異常?
- 2. デンタルフロスが臭う主な5つの原因
- 2-1. 食べカスや歯垢が分解されて発生する腐敗臭
- 2-2. 歯周病が原因の膿や出血による強い悪臭
- 2-3. 歯間虫歯の進行で臭いが強くなるケース
- 2-4. 詰め物や被せ物のすき間に汚れが溜まり悪臭の原因に
- 2-5. 間違ったフロスの使い方が歯ぐきを傷つけて炎症・ニオイの原因に
- 3. フロスが臭い=口臭?それとも病気?
- 3-1. 口臭か病気かを見分ける症状別チェックリスト
- 3-2. フロスで臭う場所を見つけるセルフチェック法
- 4. デンタルフロスが臭いときの対策法|自宅でできる予防ケア
- 4-1. フロスの使い方を見直す
- 4-2. 部位に合ったフロス・歯間ブラシを選ぶ
- 4-3. 舌苔・唾液・口呼吸によるニオイ対策
- 5. フロスの臭いが治らないときは歯科医院へ|受診の目安
1. デンタルフロスが臭い…これって異常?

「デンタルフロスを使ったあと、なんだかイヤな臭いがする…」
そんな経験、あなたにもありませんか?
実はこの「フロスのニオイ」に関する悩みは、歯科の現場でもよく聞かれるものです。
中には、「ドブのような臭いがする」「まるで臭い玉みたい…」と感じて驚いた、という方も少なくありません。
しかし、ここで大切なのは
フロスに臭いがつくのは“よくあること”である一方で、体からのSOSサインである可能性もあるという点です。
特に継続的に同じ場所で臭いを感じる場合は、虫歯や歯周病などのトラブルが隠れている可能性もあります。
一方で、「一時的な食べかすや歯垢による臭い」であることもあるため、
「病気なのか、そうでないのか」の見極めが大切です。
次章では、フロスが臭う原因について詳しく解説します。
2. デンタルフロスが臭う主な5つの原因

フロスを使ったあと、鼻を近づけてみると、なんとも言えない嫌なニオイ──。
「ドブ臭い」「排水口のようなニオイ」「まるで臭い玉のよう…」と感じる人も多く、SNSでも多く見られます。
ここでは、フロスが臭う5つの代表的な原因を解説します。
2-1. 食べカスや歯垢が分解されて発生する腐敗臭
最もよくある原因は、歯と歯の間に残った食べカスや歯垢(プラーク)が、細菌により分解されて発生する腐敗臭です。
特に以下のような食品はニオイが強くなりやすい傾向があります。
- ネギ、にんにく、キムチなどの刺激物
- チーズや魚介類など高たんぱく食品
- 納豆、味噌などの発酵食品
こうした残留物が時間とともに分解されると、まるで臭い玉のようなツンとしたニオイや、ドブ臭い悪臭に似たニオイになることがあります。
2-2. 歯周病が原因の膿や出血による強い悪臭
歯茎の炎症が進行し、歯周ポケットが深くなると、そこに溜まった細菌や膿が腐敗臭の原因になります。
特に特徴的なのは、
- フロスを通したときに出血がある
- 鼻をつくような生ゴミ臭、卵が腐ったようなニオイ
- 「毎回同じ場所だけが臭う」
このような場合は、歯周病(歯肉炎・歯周炎)が進行しているサインです。
これはまさに「臭い玉と同じような悪臭の元」が歯ぐきに潜んでいる状態とも言えます。
2-3. 歯間虫歯の進行で臭いが強くなるケース
歯と歯の間にできた虫歯(C2~C3)は、見えづらく、放置されやすい傾向があります。
その結果、虫歯部分に食べカスがたまり、細菌が繁殖して強烈なニオイを発するのです。
実際にあったケース:
という患者さんもいました。
「一箇所だけ異常に臭う」場合は、虫歯の可能性が高いと考えられます。
2-4. 詰め物や被せ物のすき間に汚れが溜まり悪臭の原因に
歯科治療で入れた詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)が古くなったり、歯と合わなくなってくると、わずかなすき間に食べカスやプラークが入り込みます。
このような場所は清掃が難しく、臭いの原因になりやすいのです。
- 同じ場所で毎回フロスが引っかかる
- 噛んだときに違和感がある
- フロスが臭い+銀歯がある歯だった
こういった症状が続く場合は、詰め物や被せ物が合っていない可能性があるため、歯科で状態をチェックしてもらうことが大切です。
■歯と歯のすき間が気になる方はこちら:すきっ歯とは?放置するとどうなる?原因と治療法まで徹底解説
2-5. 間違ったフロスの使い方が歯ぐきを傷つけて炎症・ニオイの原因に
フロスは正しく使えばお口の健康を保つ大切なケアツールですが、力任せに使ったり、何度も同じ場所を擦ったりすると、かえって歯ぐきを傷つけて炎症を起こす原因になります。
炎症が起こると、そこに出血・膿・細菌が集まり、嫌なニオイが発生します。
特に、以下のような使い方には注意しましょう:
・フロスを勢いよく歯茎に突き刺す
・一度使ったフロスを繰り返し使う
・汚れが取れていないのに終了する
フロスをして「痛い」「しみる」「においが強くなった」というときは、使い方を見直す必要があります。
\信頼できる矯正医を探すなら
「WE SMILE」/
3. フロスが臭い=口臭?それとも病気?

「フロスを使ったあとにイヤな臭いがする」このとき、多くの人が真っ先に思うのは
「これって…もしかして口臭の原因?という不安ではないでしょうか。
結論から言うと、フロスの臭い=即「口臭持ち」とは限りません。
しかしそのニオイの“種類”や“場所”によっては、口臭の原因になっていたり、病気のサインだったりする可能性があるのです。
では、自分のケースが「どのタイプ」なのか?ここでセルフチェックしてみましょう。
3-1. 口臭か病気かを見分ける症状別チェックリスト
以下の表に、自分のフロス臭の傾向を当てはめてみてください。
フロス後の状態 | 原因の可能性 | 行動の目安 |
---|---|---|
一箇所だけ明らかに臭い | 歯間虫歯、補綴物の不適合 | 歯科検診で精密チェック |
全体的に臭う+出血する | 歯周病(歯肉炎・歯周炎) | 早期の歯科治療が必要 |
食後だけ臭いが出る | 食べカス残留・セルフケア不足 | デンタルフロスや歯間ブラシの徹底 |
舌苔や口呼吸の傾向もあり | 生理的口臭・乾燥性口臭 | 舌清掃・唾液ケア・生活習慣の見直し |
3-2. フロスで臭う場所を見つけるセルフチェック法
臭いの原因を把握するために有効なのが、「フロス診断」という簡単なセルフチェック法です。
以下の手順で行ってみてください。
✅ フロス診断のやり方
1. 夜の歯磨き後に、1本1本の歯の間にフロスを通す
2. 使用後のフロスを部位ごとに軽く嗅いでみる
3. 明らかに臭う箇所があれば、その歯を意識して観察(例:出血・痛み・詰め物の浮きなど)
実際、「右上の奥歯だけ、毎回フロスが強烈に臭う」という訴えから、歯周ポケットの深さが判明したというケースは少なくありません。
こうした症状は、毎日のフロス習慣が“お口の異常信号”を早期にキャッチしてくれている証拠でもあります。
「なんとなくいつもと違うな…」と感じたときこそ、セルフチェックのチャンスです。
\信頼できる矯正医を探すなら
「WE SMILE」/
4. デンタルフロスが臭いときの対策法|自宅でできる予防ケア

フロスの臭いにはいくつかの原因がありますが、
原因が分かっただけでは「具体的にどう対策すればいいのか分からない…」という方も少なくありません。
ここでは、歯科医院に行かなくても今日から始められる、
「フロスの臭いを防ぐためのセルフケア」を具体的にご紹介します。
4-1. フロスの使い方を見直す
実は、歯の場所によって効果的なフロスやケア方法は異なります。
部位 | 特徴 | おすすめの道具・使い方 |
---|---|---|
前歯(特に下の前歯) | 歯間が狭く汚れが詰まりやすい | ワックス付きの細めのフロス/上下に優しくスライド |
奥歯 | 見えにくく、フロスが通しにくい | ホルダータイプのフロス(Y字型)/鏡を使って確認しながら |
歯間が広い部分 | フロスが緩く当たるため清掃力が落ちやすい | 歯間ブラシとの併用が有効 |
どこが臭うかを把握したうえで、部位に合った清掃方法を選ぶことが、臭いを防ぐ最大のコツです。
4-2. 部位に合ったフロス・歯間ブラシを選ぶ
間違った使い方は、逆に炎症や臭いの原因になることもあります。
NGな使い方 | 正しい使い方 |
---|---|
力任せに押し込む | 歯の面に沿って「Cの字」に優しく動かす |
同じフロスを全歯に使い回す | 歯1本ずつでフロス面を変える(細菌の拡散防止) |
週に1〜2回しか使わない | 毎晩の習慣化が◎(夜は細菌が繁殖しやすいため) |
「フロスで出血するからやめてます」という方が多いですが、実はその出血は歯ぐきが炎症しているサインです。
やさしく続けていくことで、1〜2週間で改善するケースがほとんどです。
4-3. 舌苔・唾液・口呼吸によるニオイ対策

実は、デンタルフロスを丁寧に使っていても、臭いが改善しないケースは少なくありません。
その原因は、口臭の元が「歯間」以外にあることも多いからです。
■ 舌苔(ぜったい)のケア
舌の表面に白く付く汚れ=細菌の温床。
▶︎ 舌ブラシややわらかい歯ブラシで奥から手前に優しく清掃。
■ 唾液の分泌を促す
唾液は口内を洗い流す「天然のマウスウォッシュ」。
▶︎ 水分補給・リラックス・ガムなどで唾液量をキープ。
■ 口呼吸を見直す
口呼吸は乾燥の原因になり、口臭リスクを高めます。
▶︎ 鼻呼吸を意識し、就寝時は「口閉じテープ」も有効。
フロスのニオイが「臭い玉っぽい」「ドブのようなニオイ」と感じる人は、こうした複合的な要因が関係している可能性もあります。
矯正中は歯が少しずつ動くため、歯間に食べカスが残りやすくなるケースも。
これから矯正を始める方も、フロスを使ったセルフケア習慣を身につけておくと、矯正中のトラブル予防にも役立ちます。
定期的なフロスチェックと、歯科での口腔ケア管理を意識しましょう。
\信頼できる矯正医を探すなら
「WE SMILE」/
5. フロスの臭いが治らないときは歯科医院へ|受診の目安

デンタルフロスを丁寧に使っていても、
「どうしても臭いが取れない」「いつも同じ場所が臭う」
そんなときは、口腔内に何らかの異常が起きているサインかもしれません。
フロスのニオイは、歯周病や歯間虫歯、補綴物の不適合など、放置すると悪化する疾患と関係している場合があります。
気になる症状がある方は、歯科医院で早めにチェックを受けましょう。
🔍 歯科受診を検討すべきサイン
以下のような症状が続く場合は、歯科医院での診察をおすすめします。
症状 | 受診の目安 |
---|---|
毎回フロスが同じ場所で強烈に臭う | 歯周病や虫歯の可能性あり |
フロスに血や膿がつくことがある | 歯肉炎・歯周炎の進行リスク |
フロスが引っかかる、痛い | 補綴物のズレや虫歯の可能性 |
2週間以上、ニオイが続く | 自己ケアだけでは改善困難 |
デンタルフロスのニオイがなかなか改善しないときは、お口からのさりげないSOSサインかもしれません。
「いつもと違うな」と感じたら、早めに歯科医院でチェックしてもらうことが、虫歯や歯周病などのトラブルを防ぐ近道になります。
小さな変化に気づけることは、お口の健康を守る大きな第一歩です。
\信頼できる矯正医を探すなら
「WE SMILE」/