歯科矯正と同時にできるホワイトニングの方法と矯正装置とは

「歯科矯正とホワイトニングを同時に受けたい」

歯並びをきれいに整えるなら、同時に輝く白い歯も手に入れたいと思うかもしれません。実際に、歯科矯正治療とホワイトニングの施術は同時に受けることができます。ただし、いくつかの注意点もあるため、事前に内容を理解しておくことが大切です。

今回は、歯科矯正の治療とホワイトニングを受ける際のポイントについて解説します。また、ホワイトニングの種類や矯正方法との相性についても詳しくご説明します。

ホワイトニングを受けるタイミングは、矯正方法によって違いがあります。では、矯正前と後ではどちらが良いしょうか。あるいは同時に行うこともできるのでしょうか。正確にいうと「歯科矯正とホワイトニングは同時にできるケースがある」ということになります。

同時に行いたい方は、それぞれの流れや注意点を理解してから検討しましょう。

矯正治療の開始前であれば、どの治療方法であってもホワイトニングを行えます。

歯科矯正は数年かかる可能性もあるため、気になる方は事前のホワイトニングがおすすめです。事前に白くなった歯は気分もよく、矯正治療へのモチベーションが上がるというメリットもあります。また、矯正治療を控えている場合は数回で白くなるオフィスホワイトニングが効果的です。

ただし、前後に重なるように乱れた症状の場合、後ろに隠れている部分が白くならないリスクがあります。そのため、八重歯や叢生の方は矯正後のホワイトニングがおすすめです。

矯正中のホワイトニングは、矯正方法によってそれぞれ注意点が異なるため、歯科医師と相談した上で計画を立てましょう。

・ワイヤー矯正の場合

表側のワイヤー矯正の方は、ほとんどの歯科医院でホワイトニングはすすめられていません。すべての歯に薬剤が行き渡らないため、ホワイトニングの効果が出にくくなります。

また、オフィスホワイトニング剤は効果が強いため、装置の周辺がムラになりやすいリスクがあります。

ワイヤー矯正であっても、リンガル矯正（裏側矯正）の場合はオフィスホワイトニングを受けることができます。

・マウスピース矯正の場合

マウスピース矯正であれば、矯正中であってもホワイトニングを同時に行えます。アライナーに薬剤を注入できるため、オフィスホワイトニングやホームホワイトニングのいずれも可能です。

注意点として、矯正用のマウスピースはホワイトニング用の装置よりもさらにフィットする構造になっています。そのために薬剤がはみ出してしまったり、行き渡らない箇所が出る可能性があります。同時に行いたい方は、担当の歯科医師と相談してみましょう。

矯正治療を終えた後は、どの矯正方法であってもホワイトニングを受けられます。

一般的には多くの歯科医院が矯正後のホワイトニングを推奨しています。これは、整った歯並びには薬剤が全体に行き渡るため、効果的なホワイトニングが行えるからです。叢生などのように照射しにくかった方も、矯正後はムラなく白い歯を手に入れることができます。

ホワイトニングにはいくつかの種類があり、施術の方法や注意点などそれぞれの特徴があります。そのため、矯正治療と同時に行う場合は、受けている矯正方法との相性も踏まえて選ぶようにしましょう。

オフィスホワイトニングとは、歯科クリニックで歯を白くする施術です。

ホワイトニング薬剤の漂白効果が高く、1回の施術でも効果を実感しやすい特徴があります。即効性はあるのですが、じっくり白くするホームホワイトニングに比べて色戻りしやすいです。色戻りを防ぐには定期的に通院するか、ホームホワイトニングとの併用で白さを維持することができます。

・矯正治療と同時にできる？

漂白効果が高く、矯正治療と同時に行うとムラになりやすいためワイヤー矯正（表側）との併用はできません。

一方で、マウスピース矯正や裏側矯正の場合は、装置が邪魔にならないので同時に行うことができます。ただし、もとの歯並びによって難しいケースもあるため、歯科医師と相談して受けるようにしましょう。

ホームホワイトニングは、歯科医院ではなく自宅で行うホワイトニングです。薬剤と装置を歯科医院で購入すれば、好きな時間と場所で気軽にできる特徴があります。また、刺激の少ない薬剤を使うため歯へのダメージも少なく、色戻りまでの期間も長めです。

デメリットとしては、毎日の装着を続けることが面倒になってしまうリスクがあります。

・矯正治療と同時にできる？

ワイヤー矯正中の方は、矯正装置が邪魔でホワイトニング用のマウスピースが装着できません。一方でマウスピース矯正の方は、もとの歯並びが大きく乱れていない限り同時にホワイトニングできます。ただし、矯正中は知覚過敏になる方もいるため、いずれにしても歯科医師に相談しましょう。

セルフホワイトニングには2つのパターンがあります。

ひとつは自分で市販の薬剤を購入してホワイトニングを行います。もうひとつは、サロンのような専門店で設備を利用して自分で施術を行うシステムです。簡単に言うと、日焼けサロンをイメージするとお分かりいただけるでしょう。

通常のホワイトニングとの違いは、漂白ではなく表面の汚れを落とすことを目的にしています。歯を内部から漂白するわけではなく、もともと持っていた自分の歯の色に戻すのがセルフホワイトニングです。そのため他のホワイトニングに比べると、白さという点では効果は高くありません。

・矯正治療と同時にできる？

矯正治療と同時に行う場合、歯科医師によって判断が異なります。市販の薬剤で行う、またはサロンで行う場合も歯科医師への相談をおすすめします。いずれにしても異常が出た場合の処置が重要なため、自己判断で行わないようにしましょう。

すでに矯正治療とホワイトニングを前提に考えている方はマウスピース矯正がおすすめです。ワイヤー矯正でも、裏側矯正であれば不可能ではないですが、ホワイトニングの選択肢は限られてきます。

どのような白さを求めるかによって個人差がありますが、同時に行う場合は事前に検討しておきましょう。

矯正中にホワイトニングを行う場合、マウスピースが取り外せるのは大きなメリットになります。取り外せるということは、白さの希望や仕事の都合でホワイトニングの方法を変えることも可能です。一方で、ワイヤー矯正の場合は同時にできるホワイトニングの方法には限りがあります。

■参考記事：マウスピース矯正の効果は？症例とリスク、クリニック選びのポイント

マウスピース矯正でいちばんのメリットも言える点が審美性ではないでしょうか。

透明でぴったりフィットしている装置のおかげで、周りの人に気づかれずに矯正を受けられるのです。そのため、接客業や芸能人などの人前で話す機会が多い方に人気の高い矯正方法です。

マウスピース矯正は、口内の環境を健全な状態に保ちやすい治療法です。

1日のうち20時間以上は装着する必要がありますが、食事や歯磨きの際は外すことができます。そのため歯磨きや歯間ブラシ、フロスまでストレスなく行えるのでしっかりとした虫歯予防が可能です。

さらに、マウスピースは薄くフィットしているので、治療中も違和感なく生活することができます。ワイヤー矯正のように金属が当たることもないため、傷や口内炎のリスクもほとんどありません。

ホワイトニングを同時に行う際は、装置が邪魔にならないマウスピース矯正が適しています。ただし、マウスピース矯正とホワイトニングの同時進行にもいくつかの注意点があります。

矯正治療のは、開始直後やマウスピースを交換したときに、歯の移動によって痛みを感じることがあります。これは、歯が知覚過敏になっているため、ホワイトニング剤の刺激が影響しやすく痛くなるのです。矯正中のホワイトニングで痛みが出た場合は、歯科医師の判断で矯正治療を優先することもあります。

また、未成年のホワイトニングには注意が必要です。身体の成長期は、歯や歯根も同じように成長過程です。特にオフィスホワイトニングの薬剤は刺激が強く、歯や歯根の形成に影響を及ぼす可能性があります。

ホワイトニングのタイミングは、本来であれば歯並びが整った矯正後がベストではあるのです。しかし、せっかくきれいな歯並びにするのですから、同時に白い歯も手に入れたいかもしれません。そのためには、歯科矯正とホワイトニングを同時に行う計画を立てることがポイントです。

これから治療を検討する方は、治療方法の希望や仕事の都合なども踏まえて歯科医師と相談してみましょう。

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