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八重歯が抜けた!放置は危険?緊急時の応急処置と治療の選択

湊 寛明
湊 寛明
この記事の監修者 

歯科医師。医療法人社団ピュアスマイル理事長。インビザライン ブラックダイヤモンドドクター。インビザライン世界サミット23万人いるインビザラインドクターの中からトッププロバイダーの1人に選出。
https://purerio.tokyo/

生え代わり以外で歯が抜ける場面は、なかなか想像しにくいかもしれません。しかし、八重歯のように外側に飛び出している歯は、衝撃を受けやすく、転倒やスポーツ中の接触などで抜けてしまうこともあります。

 

特に犬歯は、噛み合わせのバランスにも影響する重要な歯なので、抜けたまま放置するのは厳禁です。

 

この記事では、八重歯が抜けたときの応急処置や注意点放置してはいけない理由抜けたあとの治療法などを紹介します。緊急時に落ち着いて行動できるよう、ぜひ参考にしてみてください。

 

なお、八重歯が生える原因や犬歯との違いなどは、以下の記事で詳しく解説しています。

 

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1. 外傷で八重歯が抜けたときの応急処置

八重歯に限らず、外傷で歯が抜けたときは迅速な応急処置が必要です。落ち着いて適切に対処すれば歯を元の状態に戻せる場合もあります

 

ここでは、八重歯が抜けたときに取るべき行動を順番に説明します。

1-1. 抜けた歯を探す

歯が完全に抜けた場合でも、早めに処置すれば元の状態に戻せる可能性が高まります。

歯が抜けたときは、まず口の中に残っていないかを確認して、見当たらなければ周囲をくまなく探しましょう。

 

歯を見つけたら、歯の頭の部分(物を噛む側)を持って拾ってください。歯の根元の部分にある「歯根膜(しこんまく)」という薄い組織が傷付くと、歯を元の状態に戻すのが難しくなります。その後の処置にも影響するため、できるだけ触れないようにしましょう。

1-2. 適切な条件下で歯を保存する

抜けた歯が地面や床などに落ちて汚れている場合は、数秒だけ流水で軽く洗います。歯根膜の損傷を避けるため、こすったり水に長時間さらしたりするのは控えてください。

 

洗った歯は適当な大きさの容器に入れ、専用の保存液牛乳に浸します。容器や保存液・牛乳がない場合は、歯を頬の内側や舌の下に入れるなどして口の中で保存しても構いません。ただし、飲み込まないように気を付けてください。

 

容器などがない場合でも、ティッシュやハンカチで包むのは避けましょう。歯根膜が乾くと、歯を戻す処置がうまくいかなくなるおそれがあります。

1-3. すぐに歯科医院を受診する

口の外に出た歯根膜は30分程度しか持たないといわれています。保存液や牛乳に浸したり、口の中にとどめておいたりすれば多少持ちが良くなりますが、それでも早めの受診が必須です。

 

歯根膜の状態が良いうちに適切な処置を受けるためにも、応急処置が済んだらできるだけ早く歯科医院へ向かいましょう。到着後スムーズに対応してもらうために、あらかじめ電話で状況を伝えておくことも大切です。

1-4. 出血・痛み・腫れがある場合

外傷で歯が抜けた場合、唇や歯茎が傷付いて出血することもあります。出血がひどいときは、清潔なガーゼなどで止血してください。歯が抜けた部分はガーゼや綿などを噛んで止血しましょう。

 

痛みや腫れがある場合は、頬の上から患部を冷やすのが効果的です。氷を直接肌に当てると凍傷になるおそれがあるため、タオルなどで包んで冷やし過ぎないようにしてください。

2. 八重歯が抜けたときの応急処置時の注意点

外傷で八重歯が抜けた場合は、全身の状態にも気を付けなければなりません。

 

頭を強くぶつけた場合やめまい・吐き気がある場合などは、頭部にケガを負っている可能性があります。口がうまく開かない場合や噛み合わせがずれている場合は、顎が骨折しているかもしれません。いずれも緊急性が高いため、すぐに救急車を呼んでください。

3. 八重歯が抜けた状態を放置するリスク

八重歯が抜けたあと、痛みや腫れが治まってくると歯科医院への受診を先延ばしにしたくなるかもしれません。しかし、八重歯(犬歯)が抜けた状態が続くと、さまざまなトラブルを招くおそれがあります。

3-1. 噛み合わせが悪くなる

犬歯は、食べ物を噛み切るだけではなく、噛み合わせを調整して奥歯を守る重要な役割を担っています。例えば、歯ぎしりのように下顎が左右どちらかにずれる場合は、犬歯が先に当たって奥歯にかかる負担をやわらげています。

 

しかし、犬歯がなくなると噛み合わせのバランスが崩れるため、奥歯など特定の歯に過度な負担がかかりかねません。

3-2. 顎関節症のリスクが高まる

犬歯が抜けて噛み合わせが悪くなると、顎にかかる負担が大きくなって顎関節症になるリスクが高くなります。

 

顎関節症になると、口を大きく開けにくくなる・口を開けるときに痛みを感じる・顎を動かすとカクカク音がするなどの症状があらわれ、硬い物や大きな物を食べることが難しくなります。

3-3. 歯並びが悪くなる

歯は左右で支え合い、上下が適切に噛み合うことで全体のバランスを保っています。そのため、1本でも失われると空いたスペースに隣の歯が倒れ込んできたり噛み合っていた歯が伸びてきたりして歯並びが悪くなります。

3-4. 虫歯や歯周病のリスクが高くなる

歯が抜けて歯並びが悪くなると、歯ブラシが届きにくい部分が増え、歯垢を十分に取り除けなくなるでしょう。そして、歯垢が残っていると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。口腔内の衛生状態が悪いと、口臭が発生することもあるため注意が必要です。

 

さらに、虫歯や歯周病があると将来歯を失うことになりかねません。口腔内の健康を維持するためにも、歯が抜けた状態を放置しないことが大切です。

3-5. 顔や口もとの印象が変わる

八重歯には、口角付近の骨を支えて口もとを整える役割もあります。そのため、八重歯が抜けると頬のふくらみが失われて口角が下がり全体的に老けた印象になりかねません。

 

また、八重歯がなくなると、口もとの突出感が目立たなくなる場合もありますが、反対に引っ込みすぎてしまい、今までと違った顔立ちに見えることもあります。

 

歯が抜けた状態のままだと、隙間が目立って不自然な印象になる場合もあるため、早めに対処するとよいでしょう。

4. 八重歯が抜けるのはなぜ?外傷以外の3つの要因

八重歯が抜けるきっかけは、外傷だけではありません。そのほかの原因として多いのは、歯周病や虫歯ですが、部分入れ歯の影響で抜けることもあります。

4-1. 歯周病

歯周病は、歯と歯茎の隙間から侵入した歯周病菌が歯肉に炎症を起こしたり、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)を溶かしたりする病気です。進行すると、歯がグラグラしたり歯茎が下がったりして、食べ物を噛むのが難しくなります。

 

とはいえ、常に腫れや痛みがあるわけではないため、歯科医院を受診しない方もいるでしょう。しかし、放置すると症状は確実に進行し結果として歯を失うこともあります。

 

日本では、成人の約8割が歯周病にかかっているというデータもあるため、定期的に歯科医院を受診して歯や歯茎の健康状態を確認してもらうことが大切です。

 

歯周病については、日本歯周病学会の「ぺりおぶっく」も参考にしてみてください。

4-2. 虫歯

虫歯も歯が抜ける原因の一つです。

 

虫歯は、虫歯菌が作り出す酸により歯が溶けることで生じます。虫歯になり、歯の表面を覆うエナメル質やその内側の象牙質に穴があいても、痛みを感じない場合がほとんどです。

 

しかし、歯に空いた穴が自然にふさがることはありません。症状が進み、神経に達すると激しい痛みを感じるようになりますが、さらに虫歯が進行すると痛みを感じなくなり、最終的に抜けてしまうこともあります。

 

また、虫歯の治療で神経を抜いたり、根の部分を治療したりすると、歯に大きなダメージを与えかねません。治療をして被せ物をしている歯も、歯の根の先端部分で病変が残っている場合があります。

 

いずれの場合も歯が抜けるリスクが高くなるため、早めの治療と定期的な歯科検診が欠かせません。

 

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4-3. 部分入れ歯の影響

部分入れ歯を使うと、金属製のバネを引っかける歯(鉤歯:こうし)に負担がかかり、抜ける原因になることがあります。

 

入れ歯が横方向に動くと、バネと入れ歯の動きに合わせて鉤歯も左右に揺さぶられます。わずかな力でも繰り返し加えられると鉤歯にダメージが生じるため、抜けるリスクが高くなってしまうでしょう。

5. 八重歯が抜けた場合の治療の選択肢

元の歯を戻せなかった場合の治療方法として考えられるのは、「抜けた歯を補う治療」と「歯並びを整える治療」の2種類です。

 

なお、犬歯は噛み合わせのバランスに大きくかかわる歯のため、それぞれの症例に合った治療法を選択する必要があります。

5-1. 抜けた歯を補う治療|義歯(入れ歯)・ブリッジ・インプラント

失った八重歯を人工歯で補い、見た目や噛む機能を回復させたい場合は、義歯(入れ歯)やブリッジ、インプラントが選択肢に入ります。

5-1-1. 義歯(入れ歯)

義歯(入れ歯)は、手術の必要がないため比較的短期間で治療が完了します。保険で治療できるのもメリットです。

 

ただし、装置によっては金具が目立ちやすく、鉤歯に大きな負担がかかりかねません。装着している際に違和感を覚えやすく、使用中に動いたり外れたりする、硬い食べ物を噛みにくいというデメリットもあります。

5-1-2. ブリッジ

ブリッジは、歯が抜けた箇所の両隣の歯を支えにして、人工の歯を補う治療です。取り外しも不要で、異物感も少なめです。

 

しかし、抜けた歯の左右の歯が健康でなければ治療を受けられません。また、ブリッジをかけるために支えとなる健康な歯を削る必要があります。さらに、ブリッジと歯茎の間に汚れが溜まりやすいため、虫歯や歯周病になるリスクが高まる点もデメリットです。

5-1-3. インプラント

インプラントは、顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療です。周りの歯に負担をかけず、自分の歯に近い感覚で噛めることや自然な見た目に仕上がりやすいのがメリットでしょう。

 

一方で、手術が必要で治療期間が長いことや、保険が適用されないため費用が高額になりやすい点には注意が必要です。また、口腔内や全身の健康状態によっては治療が難しい場合もあるため、誰もが安易に受けられる治療とはいえません。

5-2. 歯並びを整える治療|矯正治療

入れ歯やブリッジなどで失った歯を補うのではなく、今ある歯だけで歯並びを整えられる状態であれば、矯正治療を検討する場合もあります。矯正治療では、残っている歯を移動させて歯並び全体を整えながら、噛み合わせも調節します。

 

しかし、矯正治療は治療期間が長く、終了までに数年かかる場合も少なくありません。また、治療対象となる症例が限られているため希望しても別の方法をすすめられることがあります。保険が適用されないため、費用が高額になるのも難点でしょう。

 

なお、症状によっては、マウスピース矯正で対応できることもあります。

6. まとめ|八重歯が抜けたら放置せず早めに受診を

八重歯が抜けた場合は、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。外傷で抜けた場合は、適切な応急処置と早めの受診で歯を元の状態に戻せる可能性が高まります

 

たとえ抜ける前の状態に戻せなくても、入れ歯やブリッジ、インプラント、矯正治療などで口腔内の機能を取り戻すことは可能です。

 

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